この講義(Ⅱ)では,Ⅰの内容と手法を踏まえ、18世紀以降を取り扱うことで、現代社会に大きな役割を持っている「科学技術」(Science Based Technology)の諸特徴を,さらに深く読み解くことを目標とする.生産力発展に関わる「技術」や新技術開発に利用される「科学」の2つをゆうごうさせた科学技術は、19世紀に登場する.この融合までの過程を,「歴史学」(過去の事実を分析する学問),および「科学技術社会論」(科学技術と社会・経済との関連を理解する学問)に関わる基礎概念を学ながら,技術史および科学史に関わる具体的な事例を取り上げながら、歴史順に学習してゆく.
概要:
半期科目(この科目はⅡであり、Ⅰの内容および方法を踏まえている).半年を2つに区切り、Ⅰで区分したAとBに続いて、Cでは、イギリス産業革命と技術、Dでは、科学依存型技術の起源、のように18世紀から現代までの科学技術を中心とした歴史を学ぶ。各講義には、現代の科学技術と社会に関わる問題点(現状分析)を踏まえ、こうした問題点に関わる論点を歴史的事例から学ぶことを目標とする。
主に「社会の中の科学,技術」を理解するための基礎的な学習を行う.
この期で扱う主な学習内容:(古代から中世)
具体的には,古代社会から中世社会の科学および技術を扱い,①人類進化と技術との関わり,②技術がその時代の社会制度にもたらした役割,③科学や技術がその時代の社会制度から受けた影響などを分析してゆく.
授業の進め方・方法:
Ⅰと同様に講義形式を中心とする.配布するプリントは「ワークブック形式」となっているので、毎授業の前半では、前回の授業分の答え合わせおよび補足(映像含む)をおこなう(30から40分程度).小休止を挟んで、後半では、新たなテーマについて、講義形式で授業を行う.
注意点:
利用する「教科書」は、配布プリント(ワークブック形式).これを、講義に加え、補助教材として購入してある『詳説世界史B』などを利用して、完成させることが必要である.授業内容を理解するいは、ノートを取ることと連動させて、補助教材を予習用テキストとして利用し、配布プリントを復習用に利用することが大切である.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
C1.熟練工と「道具」-マニュファクチュアの利点と限界は何か? - |
生産力向上の第1の要素に分業がある点を、マニュファクチュアの事例から理解する.
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2週 |
C2.道具と機械の概念区分- 紡糸作業体験から道具の限界を知る - |
生産力向上の第2の要素に労働手段としての機械の登場があることを、産業革命を事例に理解する.
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3週 |
C3.紡績機の発明に始まる産業革命-機械における作業機の登場の意味 - |
産業革命の直接の起源である綿紡績工場を通して、作業機械の役割を理解する.
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4週 |
C4.産業革命における動力機(1)-動力機としての水車の役割と限界はなにか? - |
発達した機械の3要素における、動力機の意味を、水車の役割と限界を通して理解する.
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5週 |
C5.産業革命における動力機(2)-蒸気機関:ポンプから工場用動力へ - |
発達した機械の3要素における、動力機の意味を、蒸気機関と水車とを比較して、理解する.
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6週 |
C6.産業革命の確立と工作機械-機械を作る機械の登場 - |
産業革命完成の3要素における、工作機械の役割について理解する.
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7週 |
C7.産業革命の確立と製鉄技術-鉄の時代の始まり - |
産業革命後の発展を支える新素材としての鋼鉄の役割を、製鉄技術を通して理解する.
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8週 |
D1.エンジニア教育の登場-職人からエンジニアへの転換 - |
イギリス産業革命を追う各国の産業発展政策を、エンジニア養成を事例に理解する.
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4thQ |
9週 |
D2.第二次科学革命-応用可能な「物理学」の登場- |
第二次科学革命がどのように登場したか、その起源に関わる事象、背景を理解する.
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10週 |
D3.科学依存型技術の登場-化学工業と電信工業- |
科学依存型技術は19世紀に登場する.この登場のプロセスを化学工業、電気工業を事例に理解する.
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11週 |
D4.アメリカ的生産方式の登場 -アメリカ産業革命から大量生産システム確立まで - |
大量生産システムは19世紀アメリカで登場する。その登場プロセスをアメリカンシステムを事例で理解する.
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12週 |
D5.アメリカンシステムを映像資料で理解する. |
映像資料を利用して、アメリカ独立革命から第1次世界大戦までの経過を通して、アメリカンシステム形成過程を理解する.
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13週 |
D6.ドイツ産業革命とその後-ドイツ型科学大国への道- |
科学依存型産業を拡大させて成長した国家の事例として19世紀ドイツの姿を理解する.
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14週 |
D7.帝国主義による世界分割と科学技術-通信主権獲得を巡る世界無線通信設置競争- |
20世紀という「科学技術の世紀」を、エレクトロニクス技術を事例に理解する.
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15週 |
D8.総括 |
1年間の講義を通して、科学技術と社会との関わりについて、再確認する.
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文・社会科学 | 社会 | 地理歴史的分野 | 世界の資源、産業の分布や動向の概要を説明できる。 | 3 | |
民族、宗教、生活文化の多様性を理解し、異なる文化・社会が共存することの重要性について考察できる。 | 3 | |
近代化を遂げた欧米諸国が、19世紀に至るまでに、日本を含む世界を一体化していく過程について、その概要を説明できる。 | 3 | |
帝国主義諸国の抗争を経て二つの世界大戦に至る日本を含む世界の動向の概要を説明し、平和の意義について考察できる。 | 3 | |
第二次世界大戦後の冷戦の展開からその終結に至る日本を含む世界の動向の概要を説明し、そこで生じた諸問題を歴史的に考察できる。 | 3 | |
19世紀後期以降の日本とアジア近隣諸国との関係について、その概要を説明できる。 | 3 | |
公民的分野 | 人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。 | 3 | |
自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理を理解し、基礎的な政治・法・経済のしくみを説明できる。 | 3 | |
現代社会の考察 | 現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。 | 3 | |
工学基礎 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。 | 3 | |
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。 | 3 | |
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。 | 3 | |
社会における技術者の役割と責任を説明できる。 | 3 | |
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。 | 3 | |
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。 | 3 | |
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 3 | |
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 3 | |
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。 | 3 | |
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。 | 3 | |
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。 | 3 | |
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。 | 3 | |
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。 | 3 | |
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。 | 3 | |
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。 | 3 | |
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。 | 3 | |
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。 | 3 | |