電力システム工学

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 電力システム工学
科目番号 0111 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 書名:送配電工学  著者:田辺 茂  発行所:電気書院
担当教員 恒岡 まさき

到達目標

【目的】
 エネルギー・環境に関わり循環型社会形成を担う全ての技術者に必須の素養を身に着けるたにに、電力システムの概要を理解し、送電系統の定常時および故障時の挙動を考えることができる能力を修得すると共に、電力システムの保護方式を理解する。

【到達目標】
1.電力システムの構成およびその構成要素について説明できる。
2.交流および直流送電方式について、それぞれの特徴について説明できる。
3.電力品質の定義およびその維持に必要な手段について知っている。
4.電力システムの各種障害について理解している。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1電力システムの構成・構成要素を細部まで説明できる電力システムの構成・構成要素を説明できる電力システムの構成・構成要素を説明できない
評価項目2交流および直流送電方式の特徴を細部まで説明できる交流および直流送電方式の特徴について説明できる交流および直流送電方式の特徴について説明できない
評価項目3電力システムの品質、障害について細部まで説明できる電力システムの品質、障害について説明できる電力システムの品質、障害について説明できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 電力システムは人類が作ったもっとも複雑で巨大なシステムの1つである。今や我々の生活に一瞬たりとも欠かせなくなった電気を需要家まで安全・確実に届けるための基礎理論と構成機器、制御・保護方式を学習し、電力システムを構成している基本思想について考察する。
 授業は最初3回目までは電力システムの電気的な取扱い方を取り上げ、次に電力システムの電圧と周波数の管理手法を学ぶ。後半はシステムを安定に運用するための手法をとりあげ、最後に今後大きく発展が期待されている直流送電と身近な配電系統を取り上げる。
授業の進め方・方法:
・授業は、教員による教科書と板書による説明を中心に進めるが、必要に応じてレポート・演習を課す。レポートは提出後に解説する。
・実際の設備の写真などを見ることで、実物が実感できるような工夫をする。
注意点:
・具体的な構成機器をイメージして学習する。また計算問題が出るが、計算で求めた数字を直感的に捉えて、極端な間違いはすぐに気が付くように心がける。
・定期試験は、自筆ノートとレポート・演習は持ち込み可能とするので、記憶するのではなくシステム・技術の本質を把握するように努めること。
・20分以上の遅刻は欠課として扱う。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電力システム工学の学び方
電力システムの現状と動向

電力システムの概要を説明できる。
2週 架空送電線の構成
地中送電線の構成
架空送電線、地中送電線の構成を説明できる。
3週 送電線路の電気的特性
電力円線図
送電線路の定数を計算できる。
電力円線図を説明できる。
4週 調相
調相設備
調相の概念を説明できる。調相設備の役割を理解できる。
5週 電力システムの安定度の概念
定態安定度
電力システムの安定度の概念を説明できる。
定態安定度の判別方法を理解できる。
6週 過渡安定度
安定度向上対策
過渡安定度の判別方法を理解できる。
各種の安定度向上対策を理解できる。
7週 非対称故障計算の基礎 正相、逆相、零相の概念を説明できる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 中間試験の答案返却と解説
電力システムの過電圧

電力システムの各種過電圧を説明できる。
10週 過電圧の抑制
絶縁協調
電力システムの過電圧抑制方法を説明できる。
絶縁協調の概念を理解できる。
11週 電力系統保護の概要
保護継電器と保護継電方式
電力系統保護の概要を説明できる。
各種保護継電方式を説明できる。
12週 電力系統による障害
送電線電磁界の人体への影響
電力系統による各種障害を説明できる。
13週 直流送電の特徴、構成
直流送電の適用分野
直流送電の構成を理解し、電力潮流方向を説明できる。
14週 直流送電の基本特性と制御
自励式直流送電
直流電流・送電電力を計算できる。
自励式直流送電の特徴を説明できる。
15週 配電系統の構成
配電系統の電気特性
配電方式が説明できる。
力率調整の方法を計算で求められる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電力電力システムの構成およびその構成要素について説明できる。3
交流および直流送配電方式について、それぞれの特徴を説明できる。3
高調波障害について理解している。3
電力品質の定義およびその維持に必要な手段について知っている。3
電力システムの経済的運用について説明できる。3
水力発電の原理について理解し、水力発電の主要設備を説明できる。3
火力発電の原理について理解し、火力発電の主要設備を説明できる。3
原子力発電の原理について理解し、原子力発電の主要設備を説明できる。3
その他の新エネルギー・再生可能エネルギーを用いた発電の概要を説明できる。3
電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて説明できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力4000001050
専門的能力4000001050
分野横断的能力0000000