パワーエレクトロニクス

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 パワーエレクトロニクス
科目番号 0112 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 書名:基本を学ぶパワーエレクトロニクス 著者:佐藤之彦 発行所:オーム社
担当教員 綾野 秀樹

到達目標

【目標】
電源が供給する電力の形態(直流電圧の大きさ、交流電圧の大きさ・周波数など)を、回路の高速切り替えによっ て、別の形態に変換する必要性と技術を学習する。具体的な変換内容としては、直流の電圧、交流の電圧、交流の周波数、直流と交流の相互変換、をとりあげる。また、回路の高速切り替えに使用される、半導体スイッチング素子について学習する。

【到達目標】
1.パワー半導体デバイスの特性を理解できる。
2.整流器・インバータによる電力変換動作を説明できる。
3.直流/直流変換のチョッパ回路を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1パワー半導体デバイスの特性を理解し,実用に活かすことができる。パワー半導体デバイスの概要を説明できる。パワー半導体デバイスの概要を説明できない。
評価項目2整流器・インバータによる電力変換の回路動作を説明でき,それらの利点や諸問題を説明できる。整流器・インバータの動作を説明でき,入出力波形を描くことができる。整流器・インバータの動作を説明できない。
評価項目3直流/直流変換のチョッパ回路の昇圧率・降圧率を計算でき,スイッチング周波数と駆動動作の関係を説明できる。直流/直流変換のチョッパ回路の動作を説明でき,入出力波形を描くことができる。直流/直流変換のチョッパ回路の動作を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

JABEE (d) 説明 閉じる
学習・教育目標 C6 説明 閉じる

教育方法等

概要:
直流電源や正弦波交流電源を、半導体素子によって電子回路的に制御する技術を扱う。したがって、電気回路Ⅰ,Ⅱ、 電子回路の学習が前提になる。また、スイッチング直後の回路動作は過渡的な現象を伴うので、過渡現象の理解も前提となる。パワーエレクトロニクスは、モータ等の制御につながる技術である。
授業の進め方・方法:
MOSFETやIGBTなどの半導体スイッチング素子を用いた電力の開閉,変換,制御などを行う技術分野をパワーエレクトロニクスと呼ぶ。授業では、各種半導体スイッチングデバイスの機能や特性について理解させ、それらデバイスを用いた基本的な電力変換装置について基本原理を習得させる。さらに,パワーエレクトロニクスが我々の生活や社会においていかに重要な役割を果たしているかを理解させる。
注意点:
電気回路、電子回路を復習しておくことが必要。授業中においても計算が必要になる。電卓を準備しておくことが必要。授業の予習・復習及び演習については自学自習により取り組み学修すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 パワーエレクトロニクス概説と半導体デバイスのスイッチング作用を用いて行う電力変換の原理,利点,問題点 パワーエレクトロニクスとは何かについて理解する。さらに,パワー半導体デバイスのスイッチング動作により高効率の電力変換が実現できることを理解する。また,高電力用のダイオードについて理解する  
2週 パワー半導体デバイスの機能と特性(1)トランジスタとFET パワートランジスタ,FETについて理解する。また,スイッチング損失,導通損失について理解する。
3週 パワー半導体デバイスの機能と特性(2)IGBTとサイリスタ IGBT,サイリスタ,GTOの特性について理解する。
4週 パワー半導体デバイスに絡む実装技術 パワーモジュール,IPMについて理解する。また冷却方式やスナバ回路について理解する。
5週 電力変換器の発生する高調波・無効電力 電力変換器が入出力に発生する高調波や無効電力の影響について理解する。
6週 直流チョッパの基本動作 基本的な直流チョッパとして,降圧チョッパ,昇圧チョッパ,昇降圧チョッパの動作について理解し,各部の電圧,電流波形を理解する。
7週 直流チョッパの特性 基本的な直流チョッパ回路について,動作解析に基づいて入出力電圧の関係式を導出するとともに,入出力の電力の平衡について理解する。
8週 中間試験
2ndQ
9週 インバータの基本動作とインバータの制御法 電圧形および電流形の単相インバータの基本動作について説明し,インバータの基本動作を理解する。さらに,単相および三相の電圧形インバータについて,実際の回路構成と各部の電圧・電流波形について理解する。電圧形インバータの周波数制御法および電圧制御法について理解する。特に,パルス幅変調方式の原理と特徴について理解する。
10週 電力変換器の実現上の諸事項 電力変換器における初充電回路や放電回路などの機能について理解する。また電磁ノイズの問題やそれを抑制するためのフィルタについて理解する。
11週 ダイオード整流回路の特性 ダイオード整流回路について,出力を平滑化する場合についての諸特性を理解する。
12週 サイリスタ整流回路の特性 単相および三相サイリスタ整流回路の基本動作を理解する。また,各部の動作波形について理解する。
13週 交流電力変換回路 交流電力調整回路,静止形無効電力補償装置の動作原理を理解する。また,サイクロコンバータ,マトリックスコンバータなどの代表的な交流直接変換回路について,機能と特徴を理解する。
14週 電力変換器の応用 電圧形インバータの各種応用システムについて,動作原理,機能,特徴を理解する。
15週 電力変換器の応用(2) 代表的な電力変換器の応用例として,大容量の周波数変換器,絶縁形DC/DCコンバータ,高周波電源について,回路方式の概要,動作原理,特徴を理解する。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。3
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。3
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。3
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。3
重ねの理を説明し、直流回路の計算に用いることができる。3
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。3
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。3
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。3
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。3
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。3
瞬時値を用いて、簡単な交流回路の計算ができる。3
フェーザを用いて、簡単な交流回路の計算ができる。3
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。3
正弦波交流の複素表示を説明し、これを交流回路の計算に用いることができる。3
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。3
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3
電子工学pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。3
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。3
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。3
電力三相交流における電圧・電流(相電圧、線間電圧、線電流)を説明できる。3
電源および負荷のΔ-Y、Y-Δ変換ができる。3
対称三相回路の電圧・電流・電力の計算ができる。3
半導体電力変換装置の原理と働きについて説明できる。3
電力システムの構成およびその構成要素について説明できる。3
交流および直流送配電方式について、それぞれの特徴を説明できる。3
高調波障害について理解している。3
電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて説明できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力4000002060
専門的能力400000040