到達目標
【目的】 原子・原子核のミクロな世界を扱う本講義では、電子の発見と原子・原子核の構造が大きなテーマである。学生は、力学(力のつり合い、運動方程式、等速円運動)や電磁気学(電場から荷電粒子が受ける力、電場からされる仕事、クーロン力、ローレンツ力)を駆使できるようになること、具体的な実験の解析方法を学び、同じ結論が導けることを目的とする。これらの実験を通して、電子や原子・原子核の性質・構造を理解し、先端的な工学を学ぶ上での知識基盤の養成を目的とする。また、このテーマを通して、既習の力学・熱学・波動・電磁気学の復習を行うことも目的とする。また、原子核の崩壊を扱うことにより放射線を学び、実験を通して放射線の性質を実際に調べ、取扱いに習熟することも目的とする。
【目標】
1.電子・原子・原子核・放射線に関わる言葉の定義が説明できる
2.力学・電磁気学の基礎知識を思い出し、活用し、かつミクロな世界の物理の理解につなげることができる
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 到達レベルの目安(可) | 未到達レベルの目安 |
電子・原子・原子核・放射線に関する言葉の定義が説明できる | それらの物理量が出てきた実験的背景も含めて説明できる | 用語、物理量の定義を覚えている | 教科書を見れば、定義や物理的背景の書いてある場所が分かる。 | 用語、物理量の定義を覚えていない |
力学・電磁気学の基礎知識が説明・活用できる | 力学・電磁気学の基礎知識が活用できる | 力学・電磁気学の基礎知識が説明できる | グラフの縦軸・横軸の物理量が言える。傾きの物理的意味が説明できる。
| 力学・電磁気学の基礎知識を説明できない |
物理法則を適用し、正しい結論を導くことができる | 未知の問題に対しても、物理法則を、電子、原子、原子核などのミクロな粒子に応用できる。 | 物理法則を、電子、原子、原子核などのミクロな粒子に適用できる | 問題集の解答・解説の意味が分かる。分かっていない部分があることは自覚できる。 | 物理法則を、電子、原子、原子核などのミクロな粒子に適用できない |
学科の到達目標項目との関係
学習・教育目標 C5
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JABEE (c)
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JABEE (d)
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教育方法等
概要:
学生は、演示実験や実験を行いながら、ミクロな世界の物理現象を想像力を持って頭に少しづつ描いていくことが求められる。目に見えないほど小さな粒子を扱うので、実験からわかることを積み上げていく思考方法に慣れなければならない。そのための道具が、力学と電磁気学である。講義は対話的に進め、復習もなるべく多く取り入れるが、個々に復習を進めていってほしい。また、前を向いて授業中に考える癖をつけてほしい。質問をすることで、分からないことが整理されることもあるので、授業を止めて質問することに挑戦してほしい。
授業の進め方・方法:
授業は大きく分けて、電子・原子・原子核・放射線の基礎を扱う部と、力学・熱力学・波動・電磁気学の総復習を行う演習の部からなる。
実験は、放射線測定を中心としたものを用意してある。
注意点:
授業の欠課数が1/3以上でD評価となる。提出物は締め切りまでに必ず出すこと。
授業の予習・復習及び演習については自学自習で取り組むこと。
定期テストは、中間試験のみとする。CBT試験の結果も成績に入れる。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス 放射線の実験1 |
シラバスを確認した後すぐに実験に入る。当該実験の予習をして臨むこと。
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2週 |
放射線の実験2 |
1週に引き続き、予習をしたうえで手際よく実験できるように準備しておくこと
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3週 |
電子の電荷と質量(真空放電・陰極線) |
放電現象と電子が結び付けられていった理由を具体的に説明できる
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4週 |
陰極線を用いた比電荷の測定(トムソンの実験など) |
実験系に対して電子の運動方程式をたてることができる。観測可能量のみを用いて比電荷を導くことができる。
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5週 |
電子の電荷と質量、原子の構造 |
素電荷の測定実験に対して、力のつり合い、運動方程式が立てられる。観測可能量だけを用いて、素電荷を表すことができる。 散乱実験からどのように原子核の構造が決まったか説明できる
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6週 |
原子核・放射線 |
原子核の基本構造、同位体、放射性同位体について説明できる。原子核の崩壊が起こる背景と、崩壊と放射線の関係を説明できる。
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7週 |
復習、半減期、波動性と粒子性:光の粒子性 |
(時間があれば半減期を解説する)半減期が説明できる。光の粒子性について説明できる。
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8週 |
後期中間試験、後期中間解説 |
7週までの内容の到達度を確認する。
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4thQ |
9週 |
波動性と粒子性:光の粒子性、光量子仮説、X線:コンプトン効果 |
光の粒子性、光量子仮説について簡単に図を用いながら説明できる。
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10週 |
電子の波動性、水素原子のスペクトル、ボーアの原子模型 |
電子の波動性、水素原子のスペクトルについて説明できる。
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11週 |
ボーアの原子模型、CBT試験に向けた総復習授業 |
量子条件などを明らかにしつつ、水素原子のエネルギー順位がなぜとびとびになるのか、定量的に説明できる。
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12週 |
到度試験過去問演習 H29 |
過去問を通して、自分の弱点を知り、自ら補強することができる。
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13週 |
演習+講義 CBT試験 |
3年間の物理の到達度を確認できる。
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14週 |
核エネルギー、復習 質量欠損、追加の実験 |
核エネルギーが、化学反応に比べてなぜ大きな値を持っているのかを説明できる。質量欠損の生じる大まかな理由を説明できる。必要に応じて実験を行う。
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15週 |
結合エネルギー、復習
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原子核反応と欠符号エネルギーの関係を説明できる。素粒子がどのように発見されていったか、例を挙げながら説明できる。
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16週 |
H28到達度試験成績返却・問題解説 |
成績を受け止め、弱点を補強し学び続ける意欲を持ち続けることができる。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 力学 | 速度と加速度の概念を説明できる。 | 3 | 後4 |
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。 | 3 | 後4 |
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。 | 3 | 後4 |
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。 | 3 | 後4,後5 |
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。 | 3 | 後4 |
物体に作用する力を図示することができる。 | 3 | 後4,後5 |
力の合成と分解をすることができる。 | 3 | 後4 |
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。 | 3 | 後4,後5 |
運動方程式を用いた計算ができる。 | 3 | 後4,後5 |
運動の法則について説明できる。 | 3 | 後4,後5 |
仕事と仕事率に関する計算ができる。 | 3 | 後4,後5,後6 |
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | 後4,後5,後6 |
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。 | 3 | 後4,後5,後6 |
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。 | 3 | 後4,後5 |
電気 | 電場・電位について説明できる。 | 3 | 後3,後4,後5 |
クーロンの法則が説明できる。 | 3 | 後3,後4,後5 |
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。 | 3 | 後3,後4,後5 |
物理実験 | 物理実験 | 電子・原子に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | 後1,後2,後14 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 75 | 0 | 0 | 0 | 0 | 25 | 100 |
基礎的能力 | 55 | 0 | 0 | 0 | 0 | 20 | 75 |
専門的能力 | 20 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 20 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 5 |