科学技術から見る歴史Ⅱ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 2019
授業科目 科学技術から見る歴史Ⅱ
科目番号 0143 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書は配布プリント。補助教材として、『詳説世界史B』山川出版
担当教員 河村 豊

到達目標

この講義(Ⅱ)では,Ⅰの内容と手法を踏まえ、18世紀以降を取り扱うことで、現代社会に大きな役割を持っている「科学技術」(Science Based Technology)の諸特徴を,さらに深く読み解くことを目標とする.生産力発展に関わる「技術」や新技術開発に利用される「科学」の2つをゆうごうさせた科学技術は、19世紀に登場する.この融合までの過程を,「歴史学」(過去の事実を分析する学問),および「科学技術社会論」(科学技術と社会・経済との関連を理解する学問)に関わる基礎概念を学ながら,技術史および科学史に関わる具体的な事例を取り上げながら、歴史順に学習してゆく.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1各時代の基本的事項に関する事象を適切に理解している.各時代の基本的事項に関する事象を6割程度、理解できている.各時代の基本的事項に関する事象の理解が6割に満たない.
評価項目2その時代の科学技術と社会とに関わる主要な特徴をほぼ理解できている。その時代の科学技術と社会とに関わる主要な特徴を6割程度、理解できている。その時代の科学技術と社会とに関わる主要な特徴の理解が6割に満たない.
評価項目3時代ごとによる科学技術のあり方に違いがあることを適切に理解している.時代ごとによる科学技術のあり方に違いがあることを6割程度理解している.時代ごとによる科学技術のあり方に違いがあることの理解が6割に満たない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
半期科目(この科目はⅡであり、Ⅰの内容および方法を踏まえている).半年を2つに区切り、Ⅰで区分したAとBに続いて、Cでは、イギリス産業革命と技術、Dでは、科学依存型技術の起源、のように18世紀から現代までの科学技術を中心とした歴史を学ぶ。各講義には、現代の科学技術と社会に関わる問題点(現状分析)を踏まえ、こうした問題点に関わる論点を歴史的事例から学ぶことを目標とする。

 主に「社会の中の科学,技術」を理解するための基礎的な学習を行う.
この期で扱う主な学習内容:(古代から中世)
 具体的には,古代社会から中世社会の科学および技術を扱い,①人類進化と技術との関わり,②技術がその時代の社会制度にもたらした役割,③科学や技術がその時代の社会制度から受けた影響などを分析してゆく.
授業の進め方・方法:
Ⅰと同様に講義形式を中心とする.配布するプリントは「ワークブック形式」となっているので、毎授業の前半では、前回の授業分の答え合わせおよび補足(映像含む)をおこなう(30から40分程度).小休止を挟んで、後半では、新たなテーマについて、講義形式で授業を行う.
注意点:
利用する「教科書」は、配布プリント(ワークブック形式).これを、講義に加え、補助教材として購入してある『詳説世界史B』などを利用して、完成させることが必要である.授業内容を理解するいは、ノートを取ることと連動させて、補助教材を予習用テキストとして利用し、配布プリントを復習用に利用することが大切である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 C1.熟練工と「道具」-マニュファクチュアの利点と限界は何か? - 生産力向上の第1の要素に分業がある点を、マニュファクチュアの事例から理解する.
2週 C2.道具と機械の概念区分- 紡糸作業体験から道具の限界を知る - 生産力向上の第2の要素に労働手段としての機械の登場があることを、産業革命を事例に理解する.
3週 C3.紡績機の発明に始まる産業革命-機械における作業機の登場の意味 - 産業革命の直接の起源である綿紡績工場を通して、作業機械の役割を理解する.
4週 C4.産業革命における動力機(1)-動力機としての水車の役割と限界はなにか? - 発達した機械の3要素における、動力機の意味を、水車の役割と限界を通して理解する.
5週 C5.産業革命における動力機(2)-蒸気機関:ポンプから工場用動力へ - 発達した機械の3要素における、動力機の意味を、蒸気機関と水車とを比較して、理解する.
6週 C6.産業革命の確立と工作機械-機械を作る機械の登場 - 産業革命完成の3要素における、工作機械の役割について理解する.
7週 C7.産業革命の確立と製鉄技術-鉄の時代の始まり - 産業革命後の発展を支える新素材としての鋼鉄の役割を、製鉄技術を通して理解する.
8週 D1.エンジニア教育の登場-職人からエンジニアへの転換 - イギリス産業革命を追う各国の産業発展政策を、エンジニア養成を事例に理解する.
4thQ
9週 D2.第二次科学革命-応用可能な「物理学」の登場- 第二次科学革命がどのように登場したか、その起源に関わる事象、背景を理解する.
10週 D3.科学依存型技術の登場-化学工業と電信工業- 科学依存型技術は19世紀に登場する.この登場のプロセスを化学工業、電気工業を事例に理解する.
11週 D4.アメリカ的生産方式の登場 -アメリカ産業革命から大量生産システム確立まで - 大量生産システムは19世紀アメリカで登場する。その登場プロセスをアメリカンシステムを事例で理解する.
12週 D5.アメリカンシステムを映像資料で理解する. 映像資料を利用して、アメリカ独立革命から第1次世界大戦までの経過を通して、アメリカンシステム形成過程を理解する.
13週 D6.ドイツ産業革命とその後-ドイツ型科学大国への道- 科学依存型産業を拡大させて成長した国家の事例として19世紀ドイツの姿を理解する.
14週 D7.帝国主義による世界分割と科学技術-通信主権獲得を巡る世界無線通信設置競争- 20世紀という「科学技術の世紀」を、エレクトロニクス技術を事例に理解する.
15週 D8.総括 1年間の講義を通して、科学技術と社会との関わりについて、再確認する.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学社会地理歴史的分野世界の資源、産業の分布や動向の概要を説明できる。3
民族、宗教、生活文化の多様性を理解し、異なる文化・社会が共存することの重要性について考察できる。3
近代化を遂げた欧米諸国が、19世紀に至るまでに、日本を含む世界を一体化していく過程について、その概要を説明できる。3
帝国主義諸国の抗争を経て二つの世界大戦に至る日本を含む世界の動向の概要を説明し、平和の意義について考察できる。3
第二次世界大戦後の冷戦の展開からその終結に至る日本を含む世界の動向の概要を説明し、そこで生じた諸問題を歴史的に考察できる。3
19世紀後期以降の日本とアジア近隣諸国との関係について、その概要を説明できる。3
公民的分野人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。3
自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理を理解し、基礎的な政治・法・経済のしくみを説明できる。3
現代社会の考察現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力4000002060
専門的能力2000001030
分野横断的能力100000010