応用数学Ⅰ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 応用数学Ⅰ
科目番号 0147 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:物理と工学のベーシック数学(河辺哲次著)・複素巻数論の基礎(山本直樹著) 裳華房、プリント、後期の参考図書 応用数学(高専テキスシリーズト:森北出版)、複素関数(マセマ出版)
担当教員 安富 義泰,丸山 文綱

到達目標

【目的】本講義で、取り扱う応用数学は、電気回路(特に交流回路)や電磁気学を本格的に学ぶためにはなくてはならない基礎概念を学ぶ。実際の電気現象と関連させながら、使い方を学んでいく。

【目標】
1.学生はベクトル量とスカラー量の違いを常に区別しながら、計算を進めることができる。
2.学生は、考えるべき問題の作図を行い、目標を見定めてから計算できる。
3.学生が、ベクトル記法と成分による表示を関連付けることができる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
ベクトル量とスカラー量が区別できる積分形などにされても、ベクトル量とスカラー量が区別できるベクトル量とスカラー量が区別できるベクトル量とスカラー量が区別できない
ベクトル記法と成分表示が対応付けられる物理量と対応付けることができるベクトル記法と成分表示が対応つけられるベクトル記法と成分表示が対応つけられない
複素数の図形的意味が分かる複素数の図形的意味を、電気回路や電磁気学に応用できる複素数の図形的意味が分かる複素数の図形的意味が分からない
複素関数の微積分が計算できる複素関数の微積分が説明でき、計算もできる。複素関数の微積分の定義が分かる。複素関数の微積分の定義が分からない

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 C1 説明 閉じる
JABEE (c) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 応用数学でも特に、電気回路や電磁気学と関連の深いところを基礎から応用まで発展させる形で講義を進める。前期では、ベクトル演算を中心とし、後期ではその発展として線積分・面積分を扱う。その上で、複素数の扱い方に慣れたうえで、複素関数の初歩について軽く触れる。
授業の進め方・方法:
 講義は、過去の数学の知識を整理しながら、新しい知識を足していく形で行う。すでに習った、内容と新しい知識が飛ぶことの無いように、細心の注意をしながら講義を行う。演習問題についても適宜、追加し、小テスト・課題なども必要に応じて出していく。対話的に授業することを目指すので、学生諸君も積極的に発言をしてほしい。
注意点:
講義を1/3以上休んだ場合は、Dとなるので注意すること。中間テスト・期末テスト・課題・提出物・小テストを加味して成績評価をはしっかり取り組むこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス・今まで習った数学と物理のに復習 (身近な関数の近似) マクローリン展開の一般こうまで予想できる。逆関数が説明できる。三角関数の諸公式(二乗の和、加法定理)が使える。指数関数・対数関数の違いが説明できる。
2週 ベクトルの基礎知識、ベクトルの成分と正射影、ベクトル同士の積(内積・外積) スカラーとベクトルの違いが分かる。ベクトル積を図形的に説明できる、ベクトル積を計算できる
3週 復習/演習 消化不足の部分を探し出し、質問できる
4週 曲線と曲面、接線ベクトル・法線ベクトル 曲線と曲面の方程式を復習し、曲線の接ベクトル、曲面の法線ベクトルを偏微分を用いて求めることができる。
5週 ベクトル関数の微分、1変数の積分 内積や外積が入り混じっていても、ベクトル関数の微分演算ができる
6週 多重積分、線積分
ヤコビアンが計算できる、線積分が計算できる
7週 復習/演習 消化不足の部分を探し出し、質問できる
8週 前期中間試験、前期中間試験解説
2ndQ
9週 面積分、ベクトル場とスカラー場の違い 面積分が計算できる、ベクトル場とスカラー場の具体例を挙げることができる
10週 スカラー場の勾配∇Φ スカラー場の勾配を図で書ける、線積分と関連付けられる
11週 ベクトル場Aの発散∇・A ベクトル場の発散が計算できる、図形的意味が説明できる
12週 ベクトル場Aの回転∇×A ベクトル場の回転が計算できる、図形的意味が説明できる
13週 ラプラシアン∇・∇、発散定理 ラプラシアンの計算ができる、図形的意味が説明できる、ベクトル解析の知識に基づいてガウスの発散定理が説明でき、使える
14週 ストークスの定理、グリーンの定理 ベクトル解析の知識に基づいてストークスの定理が説明でき、使える
15週 前期末試験、前期末試験解説
16週 復習 消化不足の部分を探し出し、質問できる
後期
3rdQ
1週 複素数とは何か。複素数の実部・虚部・複素共役・絶対値、複素数の掛け算と回転の関係 複素平面上で複素数を扱える。実部や虚部を求めることができる。複素共役を用いて絶対値を計算できる。複素数をかけることと回転の関係が分かる
2週 オイラーの公式、オイラーの公式と回転、複素関数 基本的な複素関数が説明できる
3週 基本的な複素関数、複素関数の極限、平面から平面への変換 複素関数の極限を複素平面を用いて説明できる。複素関数の基本的な問題が解ける。
4週 複素指数関数、複素指数関数の指数法則、複素三角関数、複素有理関数と写像 複素指数関数、複素三角関数、複素有理関数の写像の問題が解ける。
5週 複素微分可能性とコーシー・リーマンの関係式 コーシーリーマンの条件が説明できる。使える。
6週 逆関数と多価関数 逆関数が説明できる。w=logzや√zを例にして多価関数を説明できる
7週 復習 消化不足の部分を探し出し、質問できる
8週 後期中間テスト、後期中間テスト解説
4thQ
9週 複素有理関数・正則関数・特異点 複素有理関数から特異点を読み取れる。
10週 複素関数の積分:複素積分と周回積分、多項式関数の周回積分 多項式関数の周回積分が計算できる
11週 グリーンの公式とコーシーの積分定理 コーシーの積分定理が証明できる
12週 積分経路の変形、実定積分への応用 実定積分に、コーシーの積分定理と有理関数の積分を応用して値を計算できる。
13週 べき級数と収束半径、ローラン展開 z=0を中心としてローラン展開できる。
14週 復習 消化不足の部分を探し出し、質問できる
15週 後期末試験、後期末解説
16週 留数定理 留数定理を定積分に応用できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。3前2
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。3前2
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。3前2
問題を解くために、ベクトルの平行・垂直条件を利用することができる。3前2
空間内の直線・平面・球の方程式を求めることができる(必要に応じてベクトル方程式も扱う)。3前4
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。3前1
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。3前1,前5
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。3前1,前5
合成関数の導関数を求めることができる。3前1,前5
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。3前1,前5
逆三角関数を理解し、逆三角関数の導関数を求めることができる。3前5
関数の媒介変数表示を理解し、媒介変数を利用して、その導関数を求めることができる。3前4
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。3前6
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。3前6
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。3前6
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。3後6,後9,後10
簡単な1変数関数の局所的な1次近似式を求めることができる。3前1
1変数関数のテイラー展開を理解し、基本的な関数のマクローリン展開を求めることができる。3前1
オイラーの公式を用いて、複素数変数の指数関数の簡単な計算ができる。3後2

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合75000025100
基礎的能力5500002075
専門的能力200000020
分野横断的能力0000055