到達目標
【目的】
電気回路の状態は、定常状態と過渡状態に分けて考えることができる。ただし、ここでいう「定常状態」は、全く変化を伴わない状態だけをさすのではなく、ある変化が規則正しく繰り返されている状態を含む場合もある。そして「過渡状態」は、1つの定常状態が何らかの要因で乱され、別の定常状態に落ち着くまでの状態をさす。「過渡現象論」では、過渡状態にある電気回路の現象を、微分方程式を用いた時間領域やラプラス変換後のs表面上での解析方法を学習し、その手法を理解し応用できることを目標とする。
【到達目標】
1.各種電気回路に様々な入力がなされた系の状況を理解し、その様子を微分方程式で表現することが出来る。
2.到達目標1で得られた微分方程式を基本解と定常解を求めることにより、微分方程式の解を求めることが出来る。
3.ラプラス変換を理解し、到達目標1で得られた微分方程式の解をラプラス変換を用いた解析法により、微分方程式の解を求めることが出来る。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 各種電気回路に様々な入力がなされた系の状況を理解し、その様子を微分方程式で表現することが理解でき、説明することが出来る。 | 各種電気回路に様々な入力がなされた系の状況を理解し、その様子を微分方程式で表現することが理解出来る。 | 各種電気回路に様々な入力がなされた系の状況を理解し、その様子を微分方程式で表現することが理解出来ない。 |
評価項目2 | 到達目標1で得られた微分方程式を基本解と定常解を求めることにより、微分方程式の解を求めることが理解でき、説明することが出来る。 | 到達目標1で得られた微分方程式を基本解と定常解を求めることにより、微分方程式の解を求めることが理解出来る。 | 到達目標1で得られた微分方程式を基本解と定常解を求めることにより、微分方程式の解を求めることが理解出来ない。 |
評価項目3 | ラプラス変換を理解し、到達目標1で得られた微分方程式の解をラプラス変換を用いた解析法により、微分方程式の解を求めることが理解出来、説明することが出来る。 | ラプラス変換を理解し、到達目標1で得られた微分方程式の解をラプラス変換を用いた解析法により、微分方程式の解を求めることが理解出来る。 | ラプラス変換を理解し、到達目標1で得られた微分方程式の解をラプラス変換を用いた解析法により、微分方程式の解を求めることが理解出来ない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
本校電気工学科のカリキュラムでは、電気回路Ⅰ、Ⅱで、定常状態にある電気回路の動作を学習する。一方、制御工学では、電気回路を常に定常状態の動作ではなく、状況に応じて操作を加え、動作を変化させることが要求さる。
そこで、回路に対してある操作を加えたときに回路がどう反応(応答)するか、を解析する手段である過渡現象論が重要になる。過渡現象論は、見方を広げると、電気工学以外の分野にも応用範囲が広い。
授業の進め方・方法:
電気回路の状態は、定常状態と過渡状態に分けて考えることができる。ただし、ここでいう「定常状態」は、全く変化を伴わない状態だけをさすのではなく、ある変化が規則正しく繰り返されている状態を含む場合もある。そして「過渡状態」は、1つの定常状態が何らかの要因で乱され、別の定常状態に落ち着くまでの状態をさす。「過渡現象論」では、過渡状態にある電気回路の現象を、微分方程式を用いた時間領域やラプラス変換後のs表面上での解析方法を学習する。
通常の講義方式である。
注意点:
3年で履修した微分方程式をよく理解しておくこと。また授業の予習・復習及び演習については自学自習により取り組み学修すること。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス 過渡現象を学ぶための基礎 過渡現象とは |
電気回路素子の性質を理解している。
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2週 |
微分方程式の立て方と解法 初期値 |
微分方程式の特性方程式を用いた解法を理解している。R,L,Cを含む電気回路に関する微分方程式を立てることが出来る。微分方程式を解くための初期条件を与えることができる。
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3週 |
RC回路 DC(ステップ)入力 時定数 |
DC(ステップ)入力が与えられたRC回路の過渡応答を求めることできる。過渡応答の時定数を求めることができる。
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4週 |
RL回路 DC(ステップ)入力 |
DC(ステップ)入力が与えられたRL回路の過渡応答を求めることできる。過渡応答の時定数を求めることができる。
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5週 |
RC回路,RL回路 AC入力 |
AC入力が与えられたRC回路,RL回路の過渡応答を求めることができる。
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6週 |
パルス回路 |
RC回路やRL回路による微分回路、積分回路の出力波形を求めることができる。
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7週 |
中間試験 |
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8週 |
複エネルギー回路 LC発振回路 |
複エネルギー回路であるLC発振回路の過渡応答を求めることができる。
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2ndQ |
9週 |
複エネルギー回路 LCR回路 |
複エネルギー回路であるLCR回路の過渡応答を求めることができる。
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10週 |
ラプラス変換とは |
ラプラス変換法を理解している。
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11週 |
伝達関数とその性質 ブロック線図の概要 |
伝達関数とその性質、ブロック線図の概要を理解している。
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12週 |
ラプラス変換を用いた過渡応答解析 部分分数展開法
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s平面上での部分分数展開法により、時間領域での出力を求めることができる。
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13週 |
RC回路,RL回路,LCR回路の 過渡応答解析(Ⅰ) |
ラプラス変換法により、DC(ステップ)入力が与えられたRC回路,RL回路,LCR回路の過渡応答を求めることが出来る。
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14週 |
RC回路,RL回路,LCR回路の 過渡応答解析(Ⅱ) |
ラプラス変換法により、AC入力が与えられたRC回路,RL回路,LCR回路の過渡応答を求めることが出来る。
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15週 |
総復習 |
電気回路の過渡現象を理解し、微分方程式を立て、その解を求めることができる。
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16週 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電気回路 | 瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。 | 4 | |
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。 | 4 | |
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。 | 4 | |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 100 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 100 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |