電気回路Ⅲ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 電気回路Ⅲ
科目番号 0154 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 過渡現象の基礎(吉岡・作道共著,森北出版)/適宜プリントを配付
担当教員 伊藤 浩

到達目標

【目的】
 電気回路の状態は、定常状態と過渡状態に分けて考えることができる。ただし、ここでいう「定常状態」は、全く変化を伴わない状態だけをさすのではなく、ある変化が規則正しく繰り返されている状態を含む場合もある。そして「過渡状態」は、1つの定常状態が何らかの要因で乱され、別の定常状態に落ち着くまでの状態をさす。「過渡現象論」では、過渡状態にある電気回路の現象を、微分方程式を用いた時間領域やラプラス変換後のs表面上での解析方法を学習し、その手法を理解し応用できることを目標とする。
【到達目標】
1.各種電気回路に様々な入力がなされた系の状況を理解し、その様子を微分方程式で表現することが出来る。
2.到達目標1で得られた微分方程式を基本解と定常解を求めることにより、微分方程式の解を求めることが出来る。
3.ラプラス変換を理解し、到達目標1で得られた微分方程式の解をラプラス変換を用いた解析法により、微分方程式の解を求めることが出来る。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 各種電気回路に様々な入力がなされた系の状況を理解し、その様子を微分方程式で表現することが理解でき、説明することが出来る。 各種電気回路に様々な入力がなされた系の状況を理解し、その様子を微分方程式で表現することが理解出来る。 各種電気回路に様々な入力がなされた系の状況を理解し、その様子を微分方程式で表現することが理解出来ない。
評価項目2 到達目標1で得られた微分方程式を基本解と定常解を求めることにより、微分方程式の解を求めることが理解でき、説明することが出来る。 到達目標1で得られた微分方程式を基本解と定常解を求めることにより、微分方程式の解を求めることが理解出来る。 到達目標1で得られた微分方程式を基本解と定常解を求めることにより、微分方程式の解を求めることが理解出来ない。
評価項目3 ラプラス変換を理解し、到達目標1で得られた微分方程式の解をラプラス変換を用いた解析法により、微分方程式の解を求めることが理解出来、説明することが出来る。 ラプラス変換を理解し、到達目標1で得られた微分方程式の解をラプラス変換を用いた解析法により、微分方程式の解を求めることが理解出来る。 ラプラス変換を理解し、到達目標1で得られた微分方程式の解をラプラス変換を用いた解析法により、微分方程式の解を求めることが理解出来ない。

学科の到達目標項目との関係

JABEE (d) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 本校電気工学科のカリキュラムでは、電気回路Ⅰ、Ⅱで、定常状態にある電気回路の動作を学習する。一方、制御工学では、電気回路を常に定常状態の動作ではなく、状況に応じて操作を加え、動作を変化させることが要求さる。
 そこで、回路に対してある操作を加えたときに回路がどう反応(応答)するか、を解析する手段である過渡現象論が重要になる。過渡現象論は、見方を広げると、電気工学以外の分野にも応用範囲が広い。
授業の進め方・方法:
 電気回路の状態は、定常状態と過渡状態に分けて考えることができる。ただし、ここでいう「定常状態」は、全く変化を伴わない状態だけをさすのではなく、ある変化が規則正しく繰り返されている状態を含む場合もある。そして「過渡状態」は、1つの定常状態が何らかの要因で乱され、別の定常状態に落ち着くまでの状態をさす。「過渡現象論」では、過渡状態にある電気回路の現象を、微分方程式を用いた時間領域やラプラス変換後のs表面上での解析方法を学習する。
 通常の講義方式である。
注意点:
 3年で履修した微分方程式をよく理解しておくこと。また授業の予習・復習及び演習については自学自習により取り組み学修すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
過渡現象を学ぶための基礎
過渡現象とは
電気回路素子の性質を理解している。
2週 微分方程式の立て方と解法 初期値 微分方程式の特性方程式を用いた解法を理解している。R,L,Cを含む電気回路に関する微分方程式を立てることが出来る。微分方程式を解くための初期条件を与えることができる。
3週 RC回路 DC(ステップ)入力 時定数 DC(ステップ)入力が与えられたRC回路の過渡応答を求めることできる。過渡応答の時定数を求めることができる。
4週 RL回路 DC(ステップ)入力 DC(ステップ)入力が与えられたRL回路の過渡応答を求めることできる。過渡応答の時定数を求めることができる。
5週 RC回路,RL回路 AC入力 AC入力が与えられたRC回路,RL回路の過渡応答を求めることができる。
6週 パルス回路 RC回路やRL回路による微分回路、積分回路の出力波形を求めることができる。
7週 中間試験
8週 複エネルギー回路 LC発振回路 複エネルギー回路であるLC発振回路の過渡応答を求めることができる。
2ndQ
9週 複エネルギー回路 LCR回路 複エネルギー回路であるLCR回路の過渡応答を求めることができる。
10週 ラプラス変換とは ラプラス変換法を理解している。
11週 伝達関数とその性質 ブロック線図の概要 伝達関数とその性質、ブロック線図の概要を理解している。
12週 ラプラス変換を用いた過渡応答解析
部分分数展開法
s平面上での部分分数展開法により、時間領域での出力を求めることができる。
13週 RC回路,RL回路,LCR回路の
過渡応答解析(Ⅰ)
ラプラス変換法により、DC(ステップ)入力が与えられたRC回路,RL回路,LCR回路の過渡応答を求めることが出来る。
14週 RC回路,RL回路,LCR回路の
過渡応答解析(Ⅱ)
ラプラス変換法により、AC入力が与えられたRC回路,RL回路,LCR回路の過渡応答を求めることが出来る。
15週 総復習 電気回路の過渡現象を理解し、微分方程式を立て、その解を求めることができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。4
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力10000000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000