到達目標
【目標】
電磁気現象の基本的な法則を出発点として、電気磁気が関わるエネルギー変換の基礎を学習する。さらに,電源が供給する電力の形態(直流電圧の大きさ、交流電圧の大きさ・周波数など)を、回路の高速切り替えによって、別の形態に変換する必要性と技術を学習する。
【到達目標】
1.同期発電機・同期電動機の動作や特性を理解できる。
2.パワー半導体デバイスの特性を理解できる。
3.整流器・インバータによる電力変換動作を説明できる。
4.直流/直流変換のチョッパ回路を説明できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安(優) | 標準的な到達レベルの目安(良) | 最低限の到達レベルの目安(可) | 未到達レベルの目安(不可) |
評価項目1 | 同期発電機・同期電動機について物理現象を踏まえながら説明できる。 | 同期発電機・同期電動機について原理・構造を説明できる。 | 同期発電機・同期電動機について原理・構造を部分的に説明できる。 | 同期発電機・同期電動機を説明できない。 |
評価項目2 | パワー半導体デバイスの特性を理解し,実用に活かすことができる。 | パワー半導体デバイスの概要を説明できる。 | パワー半導体デバイスの概要を部分的に説明できる。 | パワー半導体デバイスの概要を説明できない。 |
評価項目3 | 整流器・インバータによる電力変換の回路動作を説明でき,それらの利点や諸問題を説明できる。 | 整流器・インバータの動作を説明でき,入出力波形を描くことができる。 | 整流器・インバータの動作を部分的に説明できる。 | 整流器・インバータの動作を説明できない。 |
評価項目4 | 直流/直流変換のチョッパ回路の昇圧率・降圧率を計算でき,スイッチング周波数と駆動動作の関係を説明できる。 | 直流/直流変換のチョッパ回路の動作を説明でき,入出力波形を描くことができる。 | 直流/直流変換のチョッパ回路の動作を部分的に説明できる。 | 直流/直流変換のチョッパ回路の動作を説明できない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
電磁気現象の基本的な法則を出発点として、電気磁気が関わるエネルギー変換の基礎を学習する。
この意味において、電気機器Ⅰの続編である。電気機器ⅠⅡでは、同期機を学習する。
また、直流電源や正弦波交流電源を、半導体素子によって電子回路的に制御する技術を扱う。したがって、電気回路Ⅰ,Ⅱ、 電子回路の学習が前提になる。また、スイッチング直後の回路動作は過渡的な現象を伴うので、過渡現象の理解も前提となる。パワーエレクトロニクスは、モータ等の制御につながる技術である。この科目は,企業で,主に,エレベータ,電車の電力変換器,モータ駆動の研究開発を担当していた教員がその経験を活かし,モータ,発電機,変圧器などの電気機器の特性等について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
電気回路、電磁気学で学んだ内容を十分に理解しておくこと。また、授業では、各種半導体スイッチングデバイスの機能や特性について理解させ、それらデバイスを用いた基本的な電力変換装置について基本原理を習得させる。さらに,これらの技術が我々の生活や社会においていかに重要な役割を果たしているかを理解させる。この科目は学習単位のため,事前事後学習としてレポート課題を実施する。
注意点:
・本科目の成績は定期試験の成績のみならず,予習・復習等の自学自習の実施状況も考慮して判断される。したがって自学自習の習慣を身に着けることが必要である。
・電気回路、電子回路を復習しておくことが必要。授業中においても計算が必要になる。電卓を準備しておくことが必要。授業の予習・復習及び演習については自学自習により取り組み学修すること。
・授業に欠席した際は担当教員と連絡を取り,伝達事項等がないか必ず確認すること
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
三相同期発電機の原理と構造および等価回路 |
・三相同期発電機の原理と構造の原理と構造,電気角と機械角について理解する。 ・三相同期発電機の等価回路について理解する
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2週 |
三相同期発電機の特性,三相同期発電機の出力と並行運転 |
・三相同期発電機の特性について理解する。 ・三相同期発電機の出力と並行運転方式について理解する。
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3週 |
三相同期電動機の原理と特性 |
・三相同期発電機の原理と等価回路について理解する。 ・三相同期発電機の入出力特性,トルク特性,位相特性について理解する。
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4週 |
三相同期電動機の始動とその利用,小形電動機と電動機の応用 |
三相同期電動機の始動方法とその利用方法について理解する。
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5週 |
パワーエレクトロニクス概説と半導体デバイスのスイッチング作用を用いて行う電力変換の原理,利点,問題点 |
パワーエレクトロニクスとは何かについて理解する。さらに,パワー半導体デバイスのスイッチング動作により高効率の電力変換が実現できることを理解する。また,高電力用のダイオードについて理解する
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6週 |
パワー半導体デバイスの機能と特性(1)トランジスタとFET |
パワートランジスタ,FETについて理解する。また,スイッチング損失,導通損失について理解する。
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7週 |
パワー半導体デバイスの機能と特性(2)IGBTとサイリスタ,パワー半導体デバイスに絡む実装技術 |
・IGBT,サイリスタ,GTOの特性について理解する。 ・パワーモジュール,IPMについて理解する。また冷却方式やスナバ回路について理解する。
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
直流チョッパの基本動作 |
基本的な直流チョッパとして,降圧チョッパ,昇圧チョッパ,昇降圧チョッパの動作について理解し,各部の電圧,電流波形を理解する。
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10週 |
直流チョッパの特性 |
基本的な直流チョッパ回路について,動作解析に基づいて入出力電圧の関係式を導出するとともに,入出力の電力の平衡について理解する。
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11週 |
インバータの基本動作とインバータの制御法 |
電圧形および電流形の単相インバータの基本動作について説明し,インバータの基本動作を理解する。さらに,単相および三相の電圧形インバータについて,実際の回路構成と各部の電圧・電流波形について理解する。電圧形インバータの周波数制御法および電圧制御法について理解する。特に,パルス幅変調方式の原理と特徴について理解する。
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12週 |
インバータの変調法および3相インバータの制御法 |
電力変換器における初充電回路や放電回路などの機能について理解する。また電磁ノイズの問題やそれを抑制するためのフィルタについて理解する。
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13週 |
単相整流回路の特性 |
単相ダイオード整流回路,単相サイリスタ整流回路について,出力を平滑化する場合についての諸特性を理解する。
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14週 |
3相整流回路の特性 |
三相ダイオード整流回路,三相サイリスタ整流回路について,出力を平滑化する場合についての諸特性を理解する。
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15週 |
交流電力変換回路および電力変換器の応用 |
・交流電力調整回路,静止形無効電力補償装置の動作原理を理解する。また,サイクロコンバータ,マトリックスコンバータなどの代表的な交流直接変換回路について,機能と特徴を理解する。 ・電圧形インバータの各種応用システムについて,動作原理,機能,特徴を理解する。
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16週 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電力 | 同期機の原理と構造を説明できる。 | 4 | 前1,前2,前3,前4 |
半導体電力変換装置の原理と働きについて説明できる。 | 4 | 前5,前11,前12,前13 |
交流および直流送配電方式について、それぞれの特徴を説明できる。 | 4 | 前15 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | レポート | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 0 | 0 | 0 | 0 | 20 | 100 |
基礎的能力 | 40 | 0 | 0 | 0 | 0 | 20 | 60 |
専門的能力 | 40 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 40 |