ものづくり基礎工学

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 平成28年度 (2016年度)
授業科目 ものづくり基礎工学
科目番号 0001 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 5
開設学科 電子工学科 対象学年 1
開設期 通年 週時間数 5
教科書/教材 東京工業高等専門学校、「ものづくり基礎工学テキスト平成29年度版」
担当教員 一戸 隆久,大塚 友彦,加藤 格

到達目標

(1)産業界で活躍できる技術者となるため、幅広い分野(機械工学、電気工学、電子工学、情報工学、物質工学)に渡る基礎実験を体験学習し、ものづくりマインドを養う。
(2)実験体験を通じ、物理現象や技術に対する関心を一層深め、2年次以降の専門科目とのつながりを理解する。
(3)実験を通して、技術者として必要な実験に取組む姿勢、安全への対応、その他のマナーを身につける。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1基本的な工作機械、工具、道具で自由自在に、加工、成形ができ、作業手順や作業結果について正確な報告書を作成できる。 基本的な工作機械、工具、道具で指示された手順で加工、成形ができ、作業手順や作業結果について簡単な報告書を作成できる。 基本的な工作機械、工具、道具で指示された手順でも加工、成形ができず、作業手順や作業結果について報告書を作成できない。
評価項目2グループのメンバーと話し合いながら、「四輪車模型」を組み立てて、坂を下らせた際の到達距離コンテストに積極的に参加して、その結果に対してグループ討議したものをクラス内でわかりやすく 発表できる。グループのメンバーと話し合いながら、「四輪車模型」を組み立てて、坂を下らせた際の到達距離コンテストに参加して、その結果に対してグループ討議したものをクラス内で発表できる。グループのメンバーと話し合いながら、「四輪車模型」を組み立てて、坂を下らせた際の到達距離コンテストに参加して、その結果に対してグループ討議したものをクラス内で発表できない。
評価項目3テキストにしたがってテスタキット等の製作ができる.また,それを用いた電圧,電流,抵抗の測定ができる.テキストと教員の助言にしたがってテスタキット等の製作ができる.また,それを用いた電圧,電流,抵抗の測定ができる.左記のレベルに達しない.
評価項目4 与えられたPICマイコンのサンプルプログラムを理解し、サンプルプログラムに類似の機能を追加できる.与えられたPICマイコンのサンプルプログラムを理解し、教員の助言によりサンプルプログラムに類似の機能を追加できる.左記のレベルに達しない.
評価項目5本的な計測器を駆使して計測したい諸量を自由自在に計測できる基本的な計測器を使用して指示された測定ができる基本的な計測器を使用して測定ができない
評価項目6レポート課題に的確に答え、期限通りにレポートを提出することができるレポート課題に答えレポートを提出することができるレポート課題に答えレポートを提出することができない
評価項目7サンプルを利用して課題のプログラムを作成できる.また,プログラムの動きを追うことができる.サンプルを利用し,教員の助言を受けて課題のプログラムを作成することができる.サンプル利用し,教員の助言を利用しても課題のプログラムを作成することができない.
評価項目8波形およびスペクトルから音の周期および周波数を求めることができる.また,それらと音の性質を結びつけることができる.波形およびスペクトルから音の周期および周波数を求めることができる.波形およびスペクトルから音の周期および周波数を求めることができない.
評価項目9基本的な器具の操作⽅法をマスターし,適切に使⽤できる.基本的な器具の操作⽅法を理解し,使⽤できる基本的な器具の操作⽅法を理解できず,使⽤できない.
評価項目10化学反応を予測しながら適切に実験することができる.ディレクション通りに実験することができる.ディレクション通りに実験することができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
機械工学分野:機械工学で求められる基本的な製作法に関する実習をする。
電気工学分野:電気工学で求められる基本的なハードおよびソフトの製作技術,測定技術に関する実習を行う.
電子工学分野:電子工学で求められる基礎を学びながら、基本的な計測技術や測定結果の整理方法を学ぶ。
情報工学分野:プログラムの作成を通じて,プログラミング一般に通じる考え方を習得する.また,観測と測定を通じて音に関する量や性質について学ぶ.
物質工学分野:化学Iと関連する実験などを通して,物質工学分野の実験の基礎を習得し,2年次以降の専門科目とのつながりを理解する。
授業の進め方・方法:
機械工学分野:旋盤、CAD/CAM(マシニングセンター)、仕上げ、鋳造の実習を通した部品製作を体験し、出来た部品を組み合わせて、四輪車模型を作成して、斜面を滑らせて到達する距離を競うコンテストを実施し、グループ単位で討論した上で、結果について考察し、スライドを作成した発表しあう。
電気工学分野:所定の実験室で授業の最初に当日行う実験実習の説明を行った後,2~3名のグループに分かれて実験実習を行う.実験実習終了後,実験結果および考察を記入するレポートを完成し,その日の授業は終了となる.
電子工学分野:各種計測機器に触れながら体験的に学習する。授業中はパワーポイントファイルをディスプレイに写しながら、学生全員が一斉実験できるように進める。テーマによって、個人ワークまたは二人ペアワークで実施する。
情報工学分野:J1~J4においては,毎回いくつかのプログラムを作成する.J5においては,実際に録音した音を用いて観測と測定を行う.いずれも一斉説明を交えながら各自で実習を行う.
物質工学分野:実験講義をはじめにHRで行い,実験室に移動する.C3については,第2演習室から開始する.
注意点:
実験テキストの「実習の心得」の項を熟読すること。ガイダンス資料の各分野の注意点を熟読しておくこと。
実習内容を理解するだけでなく、安全第一に実習すること。
電気工学分野では,当日必要なもの(テスタキット,マイコン基板等)を忘れると実験実習ができないことがあるので注意すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス、安全教育、レポート指導、 安全に実験実習を体験し、報告書を期限内に提出する心構えを構築する。
2週 M1: 旋盤で円筒の端面切削、外周削り、突っ切り加工。 旋盤で円筒の端面切削、外周削り、突っ切り加工ができる。
3週 M2: CADで作図や文字列を入力し、そのデータをCAMで加工する。 CADデータ作成とCAMデータへの変換、加工ができる。
4週 M3: ボール盤による穴あけ加工、タップによるめねじ加工、ダイスによるおねじ加工。
ボール盤による穴あけ、タップによるめねじ加工、ダイスによるおねじ加工ができる。
5週 M4: 考案した図形の型を作10り、砂による鋳型にし、溶融アルミを鋳込んで鋳造品を作成する。 考案した図形で型を作成して、砂の鋳型を作り、湯を鋳込んで、鋳造品を作成できる。
6週 M5: 最終的に作成した部品を組み立てて、四輪車模型を作成し、コンテストを実施して班別討議し、発表しあう。 コンテストに参加し、班別討議、発表ができる。
7週 E1:ハンダ付けによる電子工作(1)・・・テスタキットの製作と動作チェック(完成させたテスタによる電圧,電流,抵抗測定) テキストにしたがい,テスタを完成し,その動作チェックができる.
8週 E2:ハンダ付けによる電子工作(2)・・・LED点灯回路のブレッドボード上への配線とその測定,およびPICマイコン基板の製作 テキストにしたがい,LED点灯回路の測定ができる.また,PICマイコン基板のハンダ付けができる.
2ndQ
9週 E3:PICマイコンを用いた電子工作(1)・・・ブレッドボードを用いたPICマイコン回路の配線とプログラミング PICマイコンの回路を与えられた回路図どおりブレッドボードに配線することができる.また,LED点灯用サンプルプログラムに類似の機能を追加することができる.
10週 E4:PICマイコンを用いた電子工作(2)・・・PICマイコン回路のプログラミング スイッチにより動作が変更できるLED点灯用サンプルプログラムを理解し,類似の機能を追加することができる.
11週 E5:太陽電池の特性測定 テキストにしたがい,太陽電池の特性測定を行うことができる.
12週 D1:直流回路の性質 計測機器を使用し抵抗、電圧などの測定ができる。オームの法則を用いて値を求めることができる。
13週 D2:光エレクトロニクス 光エレクトロニクスの基礎を学び、オシロスコープを使った波形観測ができる。
14週 D3:電磁力 電磁気における法則を学び、その応用であるモータの原理を説明できる。
15週 D4:電波と通信のしくみ 電波の性質やラジオ受信の仕組みを学び、オシロスコープで波形観測ができる。
16週 D5:増幅のしくみ オペアンプを使った電子回路を製作し、増幅について簡単に説明できる。
後期
3rdQ
1週 J1:プログラミングの基本 処理の順序を考えてプログラムを作成することができる.
2週 J2:動きのあるグラフィックス 変数および分岐を利用したプログラムを作成することができる.
3週 J3:表示装置とスイッチの利用 表示装置の制御およびスイッチの状態に応じた動きをマイクロコンピュータによって行わせるプログラムを作成できる.
4週 J4:センサの利用とモータの制御 外界の状況の読み取り,モータの制御およびこれらを組み合わせた動きをマイクロコンピュータによって行わせるプログラムを作成できる.
5週 J5:音の波形と分析 波形とスペクトルから音の周期と周波数を求めることができる.また,これらの量と音の性質を結びつけることができる.
6週 C1物質の分離と精製
基礎的な実験器具の使い⽅を学ぶ。ろ過、蒸留、再結晶、抽出などの実験を⾏う。
基礎的な実験器具の使い⽅を学ぶ。ろ過、蒸留、再結晶、抽出などの操作ができる.
7週 C2物質の変化と反応
液体窒素を使って物質の状態変化を体験する。また⾦属が関係する炎色反応などの化学変化を観察する
液体窒素を使った物質の状態変化や⾦属が関係する化学反応を理解する.
8週 C3コンピュータ化学/COD測定/⽣物の観察
コンピュータを使って分⼦モデリングや⾷物連鎖のシミュレーションを⾏う。またCOD測定により、⽔質調査
の⽅法を学習する
コンピュータを使って分⼦モデリングや⾷物連鎖のシミュレーションを⾏えるようにする。またCOD測定により、⽔質調査の⽅法ををマスターする。更に、光学顕微鏡を使って⽣物の観察⽅法を習得する。
4thQ
9週 C4酸塩基と中和反応
pHに関する簡単な実験を⾏う。中和滴定により酸の濃度を求めたり、滴定曲線を作成する。
pHを様々な方法で測定できる。中和滴定により酸の濃度を求めたり、滴定曲線を作成できる。
10週 C5酸化還元反応
銀鏡反応、燃料電池などの酸化還元反応を体験する。また滴定により溶液中のビタミンCの定量を⾏う。
銀鏡反応、燃料電池などの酸化還元反応を理解する。また滴定により溶液中のビタミンCの定量を習得する。
11週
12週
13週
14週
15週
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野製図CADシステムの役割と構成を説明できる。3
CADシステムの役割と基本機能を理解し、利用できる。3
工作鋳物の作り方、鋳型の要件、構造および種類を説明できる。3
鋳型の要件、構造および種類を説明できる。3
精密鋳造法、ダイカスト法およびその他の鋳造法における鋳物の作り方を説明できる。1
切削加工の原理、切削工具、工作機械の運動を説明できる。3
バイトの種類と各部の名称、旋盤の種類と構造を説明できる。3
フライスの種類と各部の名称、フライス盤の種類と構造を説明できる。2
ドリルの種類と各部の名称、ボール盤の種類と構造を説明できる。3
切削工具材料の条件と種類を説明できる。3
切削速度、送り量、切込みなどの切削条件を選定できる。1
切削のしくみと切りくずの形態、切削による熱の発生、構成刃先を説明できる。3
分野別の工学実験・実習能力機械系分野【実験・実習能力】機械系【実験実習】ノギスの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。3
マイクロメータの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。3
けがき工具を用いてけがき線をかくことができる。3
やすりを用いて平面仕上げができる。3
ねじ立て工具を用いてねじを切ることができる。3
旋盤主要部の構造と機能を説明できる。3
NC工作機械の特徴と種類、制御の原理、NCの方式、プログラミングの流れを説明できる。3
少なくとも一つのNC工作機械について、プログラミングができる。1

評価割合

レポート合計
総合評価割合100100
基礎的能力100100
専門的能力00
分野横断的能力00