到達目標
【目的】本授業の目的は、物性を電子の振る舞いから理解するために必要な考え方を修得し、これらの知識を活用するスキルを身に付けることである。
【到達目標】
1. シュレーディンガー方程式の基礎を理解し、基礎的な場合に応用して解くことができる。
2. 結晶構造による物性の違いを説明することができる。
3. エネルギー帯構造を理解し、電子の振る舞いを説明することができる。
4. 結晶内での電子の振る舞いの基礎を計算することができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | シュレーディンガー方程式をポテンシャル例に応用して電子の振る舞いを説明できる。 | 基本的な条件で波動関数を求めることができる。 | 粒子性と波動性の基本的な考え方を説明でき、井戸型ポテンシャルが説明できる。 |
評価項目2 | 結晶構造の違いを理解し、基本的な構造の違いを、式を用いて説明できる。 | 基本的な。結晶構造の違いを、式を用いて説明できる。 | 結晶構造で用いられる指数を説明できる。 |
評価項目3 | 比熱に対する基礎理論を理解し、金属の比熱の温度特性が理解できる。 | 金属の比熱に対する温度特性が理解できる。 | 金属及びそれ以外の物質の比熱に対する考え方を説明できる。 |
評価項目4 |
エネルギーと波数の関係から電子や正孔の振る舞いの基礎を、式を用いて説明できる。 |
エネルギー帯理論を用いて電子や正孔の振る舞いの基礎を計算できる。 | エネルギー帯理論における有効質量が理解できる。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
1. シュレーディンガー方程式とその解
シュレーディンガー方程式の導出と水素原子まわりの電子状態がりまできる。また、各ポテンシャル状態に対応する電子状態が理解できる。
2. 結晶の構造
電界・電位を求め、静電容量を計算する方法を理解できる。また、静電エネルギーやコンデンサの電極に働く力についての考え方を理解できる。
3. 格子振動と格子比熱
固体の比熱の基礎的な考え方が理解できる。
4. 固体のエネルギー帯理論
金属・半導体等へエネルギー帯理論を適用して電子の振る舞いの計算方法を理解できる。
授業の進め方・方法:
学生の学習をサポートするため、講義時間内で十分説明できない点については、詳細を記したプリント等を配布する。一人一人が到達目標を達成できることを念頭に、量子力学の物性への適用に関する考え方を理解できるように説明する。本授業では、不定期に小テストや問題演習を行い、学生の自発的な学習を促す。また、事前学習や復習を前提とする。
注意点:
物理の基礎と電磁気学に関する科目を履修しておくこと。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
「1.シュレーディンガー方程式とその解」として、量子力学の基礎と方程式の導出を解説する。 |
物質の粒子性と波動性を理解し、シュレーディンガー方程式と波動方程式違いが理解できる。
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2週 |
「2.水素原子のまわりの電子状態」としてシュレーディンガー方程式の適用例を解説する。 |
極座標系での解法の基礎が理解できる。
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3週 |
「2.水素原子のまわりの電子状態」として、球面調和関数の求め方を解説する。 |
波動関数と電子分布の関係の基礎が理解できる。
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4週 |
「3.様々なポテンシャル状態での電子分布」として、シュレーディンガー方程式の応用を解説する。 |
波動関数と電子のエネルギーの関係を理解できる。
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5週 |
「4.結晶の構造」として、固体の結合力を解説する。 |
結晶構造の基礎が理解できる。
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6週 |
「4.結晶の構造」として、理想結晶と欠陥について解説する。 |
実際の結晶構造の基礎が理解できる。
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7週 |
中間試験を実施する。 |
中間試験問題の解き方を理解できる。
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8週 |
「4.格子振動と比熱」として、比熱の考え方を解説する。 |
固体の比熱がどのように決まるのかを理解できる。
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2ndQ |
9週 |
「5.エネルギー帯理論」として、金属のバンド構造の考え方を解説する。 |
金属内の電子状態を帯理論で理解できる。
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10週 |
「5.エネルギー帯理論2」として、ブロッホの定理とバンド理論の考え方を解説する。 |
許容帯と禁止帯の基礎的な考え方を理解できる。
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11週 |
「5.結晶内の電子の運動」として、アンペアの法則の考え方や問題への適用方法を解説する。 |
結晶内での電子の運動の基礎的な考え方を理解できる。
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12週 |
「5.結晶を流れる電流」として、電磁力の考え方や問題への適用方法を解説する。 |
電子及び正孔の基礎的な考え方を理解できる。
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13週 |
「5.不純物原子による準位と先端研究トピックス」として、不純物によるエネルギー準位を解説する。 |
半導体中での不純物の振る舞いの基礎的な考えを理解できる。研究の現状を知る。
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14週 |
期末試験を実施する。 |
期末試験問題の解き方を理解できる。
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15週 |
期末試験の解説と授業の振り返りを行う。
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目的や目標に対する到達度を自己点検できる。
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16週 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電子工学 | 原子の構造を説明できる。 | 3 | |
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。 | 3 | |
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。 | 3 | |
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。 | 3 | |
真性半導体と不純物半導体を説明できる。 | 3 | |
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。 | 3 | |
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。 | 3 | |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 90 | 0 | 0 | 10 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 90 | 0 | 0 | 10 | 0 | 0 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |