回路網理論

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 平成28年度 (2016年度)
授業科目 回路網理論
科目番号 0014 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電子工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 基礎からの交流理論(小郷原著,小亀・石亀著,電気学会)
担当教員 小池 清之

到達目標

【目的】
回路網理論の位置付け,他分野への展開,回路網理論で習得すべき学習項目,F行列の利用方法,回路の諸定理の理解,フィルタの構成法,について理解する.
【到達目標】
1.回路網理論の位置付け,他分野への展開を説明することができる.
2.回路網理論の学習項目を図や数式を交えて説明することができる.
3.F行列の利用方法を図や数式を交えて説明することができる.
4.回路の諸定理を説明することができる.
5.フィルタの構成法の概略を説明することができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1回路網理論の位置付けを理解しており,他分野への展開を複数列挙し説明することができる.回路網理論の位置付けを理解しており,他分野への展開の一例を説明することができる.回路網理論の位置付けを理解していない.
評価項目2回路網理論の学習項目を図や数式を交えて説明することができ,問題を解くことができる.回路網理論の学習項目を図や数式を交えて説明することができる.回路網理論の学習項目を図や数式を交えて説明することができない.
評価項目3F行列の利用方法を図や数式を交えて説明することができ,問題を解くことができる.F行列の利用方法を図や数式を交えて説明することができる.F行列の利用方法を図や数式を交えて説明することができない.
評価項目4回路の諸定理を例を挙げて説明することができる.回路の諸定理の概略を説明することができる.回路の諸定理の概略を説明することができない.
評価項目5フィルタの構成法の概略を説明することができる.フィルタの基礎を説明することができる.フィルタについて説明することができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
システムとしての電気回路・電子回路は,2つの端子が対になった四端子網(二端子対回路)の組み合わせとして取り扱うことが多い.このような回路網をシステムとして扱うための理論を解説する.
授業の進め方・方法:
講義ノートに沿って,教科書の該当箇所も指摘しながら,回路網理論の位置付け,他分野への展開,回路網理論で習得すべき学習項目,F行列の利用方法,回路の諸定理の理解,フィルタの構成法,について解説する.
注意点:
3年までの電気回路と電磁気学の内容をよく理解しておくこと.また取り扱い手法として,特に行列計算について十分復習しておくこと.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 工学における回路網理論の位置付けを示し,回路網理論にはどのような学習項目があるかを解説する.実務ではCADやシミュレータが用いられるがその基礎となっている事,最新のデバイスを登録する際には回路やデバイスの知識が必要となることを説明する. 回路網理論の位置付けを理解し,回路網理論にはどのような学習項目があるかを説明できる.
2週 復習を兼ねて電気回路の基礎を概説する.重ねの理を説明する. 重ねの理を理解し,問題が解ける.
3週 テブナンの定理とノートンの定理を説明する.テブナンの等価電圧源やノートンの等価電流源の有用性について解き,いくつかの例題を解説する. テブナンの定理とノートンの定理を理解し,問題が解ける.
4週 補償定理,可逆定理,その他有用な定理を解説する. 補償定理,可逆定理を説明できる.
5週 四端子回路網の取り扱い方法を説明し,行列による表示の意味を解説する.四端子網の入出力変数の扱い方と行列の関係を整理し,各行列のパラメータの測定方法を説明する.測定方法では扱う行列によって回路の終端条件が異なることを説明する. 四端子回路網を各種行列で表すことができる.各パラメータの測定方法を説明できる.
6週 四端子網の相互接続(直列接続,並列接続,直並列接続,並直列接続)とそれに適した計算方法を説明する.行列間の変換関係についても説明する. 四端子網の相互接続について,それに適した計算方法があることを説明できる.
7週 四端子網回路の特性を行列で表したとき,その行列の要素の意味を直接的に表す等価回路があることを説明する.等価回路の視点から相互接続との親和性を理解できることも説明する. 四端子網回路の等価回路と相互接続の関係を理解できる.
8週 中間試験を実施する. 中間試験問題を解くことができる.
4thQ
9週 中間試験の解説の後,四端子網の相互接続(縦続接続)とそれに適したF行列を説明する.行列間の相互変換も説明する.π型回路,T型回路のF行列からΔ-Y変換が導かれることも説明する. これまで学んだ内容を再確認し不十分な点を正しく理解できる.四端子網の縦続接続に適した行列表示はF行列であることを理解し,その有用性について納得できる.
10週 F行列を用いた各種問題を解説する.交流回路での変成器,理想変成器によるインピーダンス変換についても説明する.実際の変成器が理想変成器を含む様々な等価回路で表現できることも示す. F行列を用いた各種問題を解くことができる.
11週 F行列で表された回路の可逆則,影像パラメータ,反復パラメータなど,回路がある特色を持った場合にどんな数学的特徴があるかを学ぶ.またその先に二等分定理などの面白い性質が現れてくること,これを利用した対称四端子網から格子形四端子網への変換などは,見方によっては電気回路のブリッジの問題になることを解説する. 可逆則,影像パラメータ,反復パラメータの意味を理解し,利用場面を説明できる.
12週 フィルタの構成法の概略を説明する.影像インピーダンスを用いた定Kフィルタ,誘導mフィルタの他,動作伝送係数を用いたフィルタ構成法があることを説明する.最大振幅平坦特性,チェビシェフ特性,最大遅延平坦特性が構成できることを説明する. フィルタの構成法の概略を説明できる.
13週 回路網理論の位置付けを再度述べ,回路網が持つグラフとしての特徴も見過ごすことができないということ説明する.グラフ理論は回路以外の他分野への展開がなされていることを説明する. 回路網理論の位置付けを再確認し,他分野への展開を説明することができる.
14週 期末試験を実施する 期末試験問題の解き方を理解できる.
15週 期末試験の解説と授業の振り返りを行う. 目的や目標に対する到達度を自己点検できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路重ねの理を説明し、直流回路の計算に用いることができる。3
網目電流法や節点電位法を用いて交流回路の計算ができる。3
重ねの理やテブナンの定理等を説明し、これらを交流回路の計算に用いることができる。3
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。3
理想変成器を説明できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力10000000100
分野横断的能力0000000