応用物理B

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 応用物理B
科目番号 0053 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電子工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 高専の物理(森北出版)、物理実験-中巻(島津理化) /セミナ―物理基礎+物理(第一学習社)、プリント(適宜配布)
担当教員 藤井 俊介

到達目標

【目的】 原子・原子核のミクロな世界を扱う本講義では、電子の発見と原子・原子核の構造が大きなテーマである。学生は、力学(力のつり合い、運動方程式、等速円運動)や電磁気学(電場から荷電粒子が受ける力、電場からされる仕事、クーロン力、ローレンツ力)を駆使できるようになること、具体的な実験の解析方法を学び、同じ結論が導けることを目的とする。これらの実験を通して、電子や原子・原子核の性質・構造を理解し、先端的な工学を学ぶ上での知識基盤の養成を目的とする。また、このテーマを通して、既習の力学・熱学・波動・電磁気学の復習を行うことも目的とする。また、原子核の崩壊を扱うことにより放射線を学び、実験を通して放射線の性質を実際に調べ、取扱いに習熟することも目的とする。

【目標】
1.電子・原子・原子核・放射線に関わる言葉の定義が説明できる
2.力学・電磁気学の基礎知識を思い出し、活用し、かつミクロな世界の物理の理解につなげることができる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
それらの物理量が出てきた実験的背景も含めて説明できる用語、物理量の定義を覚えている用語、物理量の定義を覚えていない
力学・電磁気学の基礎知識が活用できる力学・電磁気学の基礎知識が説明できる力学・電磁気学の基礎知識を説明できない
未知の問題に対しても、物理法則を、電子、原子、原子核などのミクロな粒子に応用できる。物理法則を、電子、原子、原子核などのミクロな粒子に適用できる物理法則を、電子、原子、原子核などのミクロな粒子に適用できない

学科の到達目標項目との関係

JABEE (c) 説明 閉じる
JABEE (d) 説明 閉じる
学習・教育目標 C5 説明 閉じる

教育方法等

概要:
学生は、演示実験や実験を行いながら、ミクロな世界の物理現象を想像力を持って頭に少しづつ描いていくことが求められる。目に見えないほど小さな粒子を扱うので、実験からわかることを積み上げていく思考方法に慣れなければならない。そのための道具が、力学と電磁気学である。講義は対話的に進め、復習もなるべく多く取り入れるが、個々に復習を進めていってほしい。また、前を向いて授業中に考える癖をつけてほしい。質問をすることで、分からないことが整理されることもあるので、授業を止めて質問することに挑戦してほしい。
授業の進め方・方法:
授業は大きく分けて、電子・原子・原子核・放射線の基礎を扱う部と、力学・熱力学・波動・電磁気学の総復習を行う演習の部からなる。
実験は、放射線測定を中心としたものを用意してある。
注意点:
授業の欠課数が1/3以上でD評価となる。提出物は締め切りまでに必ず出すこと。
授業の予習・復習及び演習については自学自習で取り組むこと。
定期テストは、中間試験のみとする。到達度試験の結果も成績に入れる。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス
放射線の実験1
シラバスを確認した後すぐに実験に入る。当該実験の予習をして臨むこと。
2週 放射線の実験2 1週に引き続き、予習をしたうえで手際よく実験できるように準備しておくこと
3週 電子の電荷と質量(真空放電・陰極線) 放電現象と電子が結び付けられていった理由を具体的に説明できる
4週 陰極線を用いた比電荷の測定(トムソンの実験など) 実験系に対して電子の運動方程式をたてることができる。観測可能量のみを用いて比電荷を導くことができる。
5週 電子の電荷と質量、原子の構造 素電荷の測定実験に対して、力のつり合い、運動方程式が立てられる。観測可能量だけを用いて、素電荷を表すことができる。
散乱実験からどのように原子核の構造が決まったか説明できる
6週 原子核・放射線 原子核の基本構造、同位体、放射性同位体について説明できる。原子核の崩壊が起こる背景と、崩壊と放射線の関係を説明できる。
7週 半減期 半減期が説明できる。
8週 後期中間試験、後期中間解説
4thQ
9週 到達度試験過去問演習 H28 過去問を通して、自分の弱点を知り、自ら補強することができる。
10週 到度試験過去問演習 H27
11週 演習+講義 疑問点を明らかにしながら質問できる。
12週 到度試験過去問演習 H26
13週 演習+講義
到達度試験
14週 追加の実験、核エネルギー
質量欠損
核エネルギーが、化学反応に比べてなぜ大きな値を持っているのかを説明できる。質量欠損の生じる大まかな理由を説明できる。
15週 結合エネルギー
原子核反応と欠符号エネルギーの関係を説明できる。素粒子がどのように発見されていったか、例を挙げながら説明できる。
16週 H28到達度試験成績返却・問題解説 成績を受け止め、弱点を補強し学び続ける意欲を持ち続けることができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理実験物理実験電子・原子に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合75000025100
基礎的能力5500002075
専門的能力200000020
分野横断的能力0000055