基礎電子工学Ⅱ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 基礎電子工学Ⅱ
科目番号 0060 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電子工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 奥村次徳 「電子物性工学 (電子情報通信レクチャーシリーズC-16)」
担当教員 加藤 格

到達目標

・真空中における電子の古典的振る舞いについて理解している。
・固体中における電子の古典的振る舞いについて理解している。
・原子核に束縛された電子の古典的振る舞いについて理解している。
・原子核に束縛された電子の量子力学的振る舞いについて理解している。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 基礎的事項電子の電荷について理解し、並行平板コンデンサの容量を計算できる。クーロンブロッケード電圧を計算できる。電子の持つエネルギーを理解し、計算できる。電子の電荷について理解し、並行平板コンデンサの容量を計算できる。クーロンブロッケードを理解している。電子の持つエネルギーを理解し、計算できる。平行平板コンデンサの容量を計算出来ない。
評価項目2 真空中の電子の運動電界中における電子の運動について理解し、計算できる。電解による孤立電子の加速について計算できる。電子ビームの偏向について計算できる。電解による電子の加速について計算出来ない。
評価項目3 固体中の電子の運動電子のドリフト運動、平均自由行程について理解し、計算できる。電子のドリフト運動について理解し、計算できる。平均自由行程について理解している。電子のドリフト運動を計算出来ない。
評価項目4 電気抵抗率電気抵抗率とその起源について理解し、キャリア密度とドリフト移動度から電気抵抗率を計算できる。電気抵抗率の概念について理解し、計算できる。電気抵抗率を計算出来ない。
評価項目4 原子核に束縛された電子粒子の波動性、不確定性原理の概要を理解し、束縛電子のボーア半径を見積もれる。電子の磁気モーメントについて理解している。粒子の波動性、不確定性原理の概要を理解している。電子の磁気モーメントについて理解している。粒子の波動性、不確定性原理の概要を理解していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電子の持つ基本的な性質からスタートし、量子論的振る舞いの一端を扱うところまでを範囲として、電子の振る舞いを概要的に学ぶ。
真空・固体中の電子の状態について学ぶ。特に電界・磁界が電子に及ぼす影響や、電子の偏向について考察する。
原子核に束縛された電子について、古典的、量子力学的取り扱いをそれぞれ説明する。
授業の進め方・方法:
座学を基本とし、適宜課題を課す。
注意点:
運動の状態を考える上で、物理の力学の知識があること。また、電界・磁界についての基礎的な知識があること。相対性理論や量子論への興味があること。授業の予習・復習及び演習については自学自習により取り組み学修すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 授業の説明
・電子物性の概要説明
電子物性を学ぶ意義、応用等について理解する。
2週 基礎的事項I
・電子の電荷
電子の電荷について、どのような特徴を持ち、どのように作用しているか理解する。平行平板コンデンサの容量、クーロンブロッケード電圧を計算できる。
3週 基礎的事項II
・電子のエネルギー
電子、光のエネルギーを理解し、計算できる。
4週 基礎的事項III
・熱エネルギー
・電子半径
熱のエネルギーを理解し、計算できる。
5週 真空中の電子の運動I
・電界による電子の加速
1次元系における電界と電子速度の関係を理解し、計算できる。
6週 真空中の電子の運動II
・空間電荷制限電流
真空中を伝わる電子の電圧‐電流特性について理解し、計算できる。
7週 真空中の電子の運動III
・電子ビームの偏向
電界、磁界による電子ビームの偏向について理解し、計算できる。
8週 中間試験
4thQ
9週 固体中の電子の運動I
・ドリフト運動(1)
固体中の電子のドリフト運動について理解し、計算できる。
10週 固体中の電子の運動II
・ドリフト運動(2)
固体中の電子の平均自由行程について理解し、計算できる。
11週 電気抵抗率I
・規格化されたオームの法則
金属の電気抵抗率とその起源について理解し、キャリア密度とドリフト移動度から電気抵抗率を計算できる。
12週 電気抵抗率II
・電気抵抗率による物質の分類
電気抵抗率により物質がどのように分類され、それぞれどういった特徴があるのか理解している。
13週 原子核に束縛された電子
・水素原子の古典的モデル
原子核に束縛された電子がどのように運動するか理解している。ボーア・ゾンマーフェルトの量子条件を理解している。ボーア半径を見積もれる。
14週 粒子と波動の二重性 ドブロイの関係式について理解し、粒子の波動性を計算できる。不確定性原理の概要を理解し、水素原子における電子の広がり半径を見積もれる。
15週 電子の磁気モーメント 電子の磁気モーメントについて理解している。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。3後2
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。3
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。3
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。3
重ねの理を説明し、直流回路の計算に用いることができる。3
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。3
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。3
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。3
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。3
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。3
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。3
瞬時値を用いて、簡単な交流回路の計算ができる。3
フェーザを用いて、簡単な交流回路の計算ができる。3
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。3
正弦波交流の複素表示を説明し、これを交流回路の計算に用いることができる。3
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。3
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。3
網目電流法や節点電位法を用いて交流回路の計算ができる。3
重ねの理やテブナンの定理等を説明し、これらを交流回路の計算に用いることができる。3
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。2
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。2
理想変成器を説明できる。2
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。2
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3
電磁気電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。3後3,後6,後7
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。3後3,後6,後7
ガウスの法則を説明でき、電界の計算に用いることができる。3
導体の性質を説明でき、導体表面の電荷密度や電界などを計算できる。3後3
誘電体と分極及び電束密度を説明できる。3
静電容量を説明でき、平行平板コンデンサ等の静電容量を計算できる。3後3
コンデンサの直列接続、並列接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。3
静電エネルギーを説明できる。3後3
電流が作る磁界をビオ・サバールの法則およびアンペールの法則を用いて説明でき、簡単な磁界の計算に用いることができる。3
電流に作用する力やローレンツ力を説明できる。3
磁性体と磁化及び磁束密度を説明できる。3
電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。3
自己誘導と相互誘導を説明でき、自己インダクタンス及び相互インダクタンスに関する計算ができる。3
磁気エネルギーを説明できる。3
電子回路ダイオードの特徴を説明できる。3
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。3
FETの特徴と等価回路を説明できる。3
利得、周波数帯域、入力・出力インピーダンス等の増幅回路の基礎事項を説明できる。3
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。3
演算増幅器の特性を説明できる。2
反転増幅器や非反転増幅器等の回路を説明できる。2
電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。3後2,後3
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。3後2
原子の構造を説明できる。3後13
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。3後9,後10,後11,後12
電力三相交流における電圧・電流(相電圧、線間電圧、線電流)を説明できる。2
電源および負荷のΔ-Y、Y-Δ変換ができる。2
対称三相回路の電圧・電流・電力の計算ができる。2
直流機の原理と構造を説明できる。1
誘導機の原理と構造を説明できる。1
同期機の原理と構造を説明できる。1
変圧器の原理、構造、特性を説明でき、その等価回路を説明できる。2
半導体電力変換装置の原理と働きについて説明できる。2
電力システムの構成およびその構成要素について説明できる。1
交流および直流送配電方式について、それぞれの特徴を説明できる。1
高調波障害について理解している。1
電力品質の定義およびその維持に必要な手段について知っている。1
電力システムの経済的運用について説明できる。1
水力発電の原理について理解し、水力発電の主要設備を説明できる。1
火力発電の原理について理解し、火力発電の主要設備を説明できる。1
原子力発電の原理について理解し、原子力発電の主要設備を説明できる。1
その他の新エネルギー・再生可能エネルギーを用いた発電の概要を説明できる。1
電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて説明できる。1
計測計測方法の分類(偏位法/零位法、直接測定/間接測定、アナログ計測/ディジタル計測)を説明できる。2
精度と誤差を理解し、有効数字・誤差の伝搬を考慮した計測値の処理が行える。2
SI単位系における基本単位と組立単位について説明できる。3
計測標準とトレーサビリティの関係について説明できる。3
指示計器について、その動作原理を理解し、電圧・電流測定に使用する方法を説明できる。3
倍率器・分流器を用いた電圧・電流の測定範囲の拡大手法について説明できる。3
A/D変換を用いたディジタル計器の原理について説明できる。3
電圧降下法による抵抗測定の原理を説明できる。3
ブリッジ回路を用いたインピーダンスの測定原理を説明できる。3
有効電力、無効電力、力率の測定原理とその方法を説明できる。1
電力量の測定原理を説明できる。1
オシロスコープの動作原理を説明できる。3
オシロスコープを用いた波形観測(振幅、周期、周波数)の方法を説明できる。3
制御伝達関数を用いたシステムの入出力表現ができる。1
ブロック線図を用いてシステムを表現することができる。1
システムの過渡特性について、ステップ応答を用いて説明できる。1
システムの定常特性について、定常偏差を用いて説明できる。1
システムの周波数特性について、ボード線図を用いて説明できる。1
フィードバックシステムの安定判別法について説明できる。1
情報基本的なアルゴリズムを理解し、図式表現できる。2
プログラミング言語を用いて基本的なプログラミングができる。3
整数、小数を2進数、10進数、16進数で表現できる。3
基数が異なる数の間で相互に変換できる。3
基本的な論理演算を行うことができる。3
基本的な論理演算を組み合わせて任意の論理関数を論理式として表現できる。3
MIL記号またはJIS記号を使って図示された組み合わせ論理回路を論理式で表現できる。1
論理式から真理値表を作ることができる。1
論理式をMIL記号またはJIS記号を使って図示できる。1

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力000
専門的能力8020100
分野横断的能力000