過渡現象

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 過渡現象
科目番号 0082 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電子工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 配布資料
担当教員 安田 利貴

到達目標

【目標】本授業の目標は,コンデンサ,コイルが持つ電圧・電流の過度特性に関する基本的概念を習得して,これらの知識を活用する能力を習得することである.
1.直流・交流回路におけるコンデンサ,コイルがおよぼす電圧・電流の定常および過渡状態について説明ができる.
2.RLCで構成される回路状態を示す微分方程式を直接,解くことができる.
3.RLCで構成される回路状態を示す微分方程式をラプラス変換を用いて解くことができる.
4.過度現象の応用として,電気回路と機械的状態の共通点や微分・積分回路について理解できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1電気回路Ⅰ・Ⅱの電子回路の直流・交流回路において,オームの法則,キルヒホッフの法則などの原理原則説明ができ,更に,基本問題が解ける.オームの法則,キルヒホッフの法則などを用いて直流・交流回路の基本的な考え方を説明できる.オームの法則,キルヒホッフの法則などを用いて直流・交流回路の基本的な考え方を説明できない.
評価項目2RLCで構成される回路状態を示す微分方程式を導き出す手順が説明できて,解くことができる. RLCで構成される回路状態を示す微分方程式を導き出す手順が説明ができる.RLCで構成される回路状態を示す微分方程式を導き出す手順が説明ができない.
評価項目3RLCで構成される回路状態を示す微分方程式をラプラス変換を導き出す説明ができ,解くことができる. RLCで構成される回路状態を示す微分方程式をラプラス変換を導き出す説明ができる.RLCで構成される回路状態を示す微分方程式をラプラス変換を導き出す説明ができない.
評価項目4過度現象の応用として,電気回路と機械的状態の共通点や微分・積分回路の特徴が説明でき,その次状態方程式を解くことができる.過度現象の応用として,電気回路と機械的状態の共通点や微分・積分回路の特徴が説明できる.過度現象の応用として,電気回路と機械的状態の共通点や微分・積分回路の特徴が説明できない.

学科の到達目標項目との関係

JABEE (d) 説明 閉じる
JABEE (e) 説明 閉じる
学習・教育目標 C1 説明 閉じる
学習・教育目標 C6 説明 閉じる

教育方法等

概要:
1.電子回路に基本原理の確認
 オームの法則,キルヒホッフの法則および抵抗,コンデンサ,コイルの働きを確認する.
2.過度現象 
 コンデンサ,コイルの性質と電気エネルギの関係が理解できる.
3.1 直流回路
 状態方程式について,微分方程式の直接解法とラプラス変換を用いた方法を理解する.
 また,必要に応じて特性を時間的変化から確認できるようにする.
 3.1.1 RL回路直列回路
 3.1.2 RC回路直列回路
 3.1.3 直並列回路
 3.1.4 LRM結合回路
3.2 パルス回路
3.3 交流回路
4.複エネルギ回路
4.1 直流回路
4.2 交流回路
5.過度現象の応用
 状態方程式について,微分方程式の直接解法とラプラス変換を用いた方法を理解する.





授業の進め方・方法:
演習問題を主体に授業を進める.学習の到達目標が実現できるように,レポートや定期試験を行う.
注意点:
直流理論および交流理論を充分理解し,定常状態における直流・交流回路が解けること.数学において,微分・積分の知識があり,基本的な関数の微分・積分ができるようにしておく.授業の予習・復習及び演習については自学自習により取り組み学修すること.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 1.過度現象,線形微分方程式の解法基礎  コンデンサ,コイルの性質と電気エネルギの関係について,電圧もしくは電流の動きに注目して過度特性を解説する.また,微分方程式の直接解法を確認する. コンデンサ,コイルの性質と電気エネルギの関係について,電圧もしくは電流の動きに注目した過度特性をイメージできる.微分方程式の直接解法として,直接積分形,変数分離形などを理解する.
2週 直流RL回路直列回路の状態方程式を示す微分方程式の直接解法を例題を通して解説する. 直流RL回路直列回路の状態方程式を示す微分方程式の直接解法を理解できる.
3週 直流RC回路直列回路の状態方程式を示す微分方程式の直接解法を例題を通して解説する. 直流RC回路直列回路の状態方程式を示す微分方程式の直接解法を理解できる.
4週 直流直並列回路の状態方程式を示す微分方程式の直接解法を例題を通して解説する. 直流直並列回路の状態方程式を示す微分方程式の直接解法を理解できる.
5週 ラプラス変換を用いた微分方程式の解法について解説をする.また,これまでの回路の例題についてラプラス変換を用いた解法について解説する(その1). ラプラス変換を用いた微分方程式の解法が理解できる.また,これまでの回路の例題についてラプラス変換を用いた解法が理解できる.
6週 これまでの回路の例題についてラプラス変換を用いた解法について解説する(その2) これまでの回路の例題についてラプラス変換を用いた解法が理解できる.
7週 中間試験を実施する. 1~6週までに行った授業内容を理解する.
8週 LRM結合回路の状態方程式の解法を解説する. LRM結合回路の状態方程式の解法が理解できる.
2ndQ
9週 パルス回路の状態方程式の解法を解説する.必要に応じて,過度特性を視覚化する. パルス回路の状態方程式の解法を理解する.パルス回路の過度特性を視覚化できる.
10週 交流回路の状態方程式の解法を解説する.必要に応じて,過度特性を視覚化する(その1). 交流回路の状態方程式の解法を理解する.交流回路の過度特性を視覚化できる.
11週 交流回路の状態方程式の解法を解説する.必要に応じて,過度特性を視覚化する(その2). 交流回路の状態方程式の解法を理解する.交流回路の過度特性を視覚化できる.
12週 相互誘導回路の電流変化を解説する. 相互誘導回路の電流変化が理解できる.
13週 過度現象の応用 微分・積分回路の性質および機械的過度現象と電気回路の類似点を解説する. 過度現象の応用として微分・積分回路の性質および機械的過度現象と電気回路の類似点が理解できる.
14週 期末試験を実施する. 7~14週までに行った授業内容を理解する.
15週 授業全体の確認を行う. 目標に対しる到達度を自己点検できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。3前1
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。3
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。3
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。3
重ねの理を説明し、直流回路の計算に用いることができる。3
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。3
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。3
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。3
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。3
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。3
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。3
瞬時値を用いて、簡単な交流回路の計算ができる。3
フェーザを用いて、簡単な交流回路の計算ができる。3
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。3
正弦波交流の複素表示を説明し、これを交流回路の計算に用いることができる。3
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。3
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。3
網目電流法や節点電位法を用いて交流回路の計算ができる。3
重ねの理やテブナンの定理等を説明し、これらを交流回路の計算に用いることができる。3
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。3
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。3
理想変成器を説明できる。3
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。3
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3
電磁気電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。3
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。3
ガウスの法則を説明でき、電界の計算に用いることができる。3
導体の性質を説明でき、導体表面の電荷密度や電界などを計算できる。3
誘電体と分極及び電束密度を説明できる。3
静電容量を説明でき、平行平板コンデンサ等の静電容量を計算できる。3
コンデンサの直列接続、並列接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。3
静電エネルギーを説明できる。3
電流が作る磁界をビオ・サバールの法則およびアンペールの法則を用いて説明でき、簡単な磁界の計算に用いることができる。3
電流に作用する力やローレンツ力を説明できる。3
磁性体と磁化及び磁束密度を説明できる。3
電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。3
自己誘導と相互誘導を説明でき、自己インダクタンス及び相互インダクタンスに関する計算ができる。3
磁気エネルギーを説明できる。3
電子回路ダイオードの特徴を説明できる。3
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。3
FETの特徴と等価回路を説明できる。3
利得、周波数帯域、入力・出力インピーダンス等の増幅回路の基礎事項を説明できる。3
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。3
演算増幅器の特性を説明できる。3
反転増幅器や非反転増幅器等の回路を説明できる。3
電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。3
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。3
原子の構造を説明できる。3
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。3
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。3
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。3
真性半導体と不純物半導体を説明できる。3
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。3
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。3
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。3
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。3
電力三相交流における電圧・電流(相電圧、線間電圧、線電流)を説明できる。3
電源および負荷のΔ-Y、Y-Δ変換ができる。3
対称三相回路の電圧・電流・電力の計算ができる。3
計測計測方法の分類(偏位法/零位法、直接測定/間接測定、アナログ計測/ディジタル計測)を説明できる。3
精度と誤差を理解し、有効数字・誤差の伝搬を考慮した計測値の処理が行える。3
SI単位系における基本単位と組立単位について説明できる。3
計測標準とトレーサビリティの関係について説明できる。3
指示計器について、その動作原理を理解し、電圧・電流測定に使用する方法を説明できる。3
倍率器・分流器を用いた電圧・電流の測定範囲の拡大手法について説明できる。3
A/D変換を用いたディジタル計器の原理について説明できる。3
電圧降下法による抵抗測定の原理を説明できる。3
ブリッジ回路を用いたインピーダンスの測定原理を説明できる。3
有効電力、無効電力、力率の測定原理とその方法を説明できる。3
電力量の測定原理を説明できる。3
オシロスコープの動作原理を説明できる。3
オシロスコープを用いた波形観測(振幅、周期、周波数)の方法を説明できる。3
制御伝達関数を用いたシステムの入出力表現ができる。3
ブロック線図を用いてシステムを表現することができる。3
システムの過渡特性について、ステップ応答を用いて説明できる。3
システムの定常特性について、定常偏差を用いて説明できる。3
システムの周波数特性について、ボード線図を用いて説明できる。3
フィードバックシステムの安定判別法について説明できる。3
情報基本的なアルゴリズムを理解し、図式表現できる。3
プログラミング言語を用いて基本的なプログラミングができる。3
整数、小数を2進数、10進数、16進数で表現できる。3
基数が異なる数の間で相互に変換できる。3
基本的な論理演算を行うことができる。3
基本的な論理演算を組み合わせて任意の論理関数を論理式として表現できる。3
MIL記号またはJIS記号を使って図示された組み合わせ論理回路を論理式で表現できる。3
論理式から真理値表を作ることができる。3
論理式をMIL記号またはJIS記号を使って図示できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力0000000
専門的能力70000030100
分野横断的能力0000000