この講義(Ⅱ)では,Ⅰの内容と手法を踏まえ、18世紀以降を取り扱うことで、現代社会に大きな役割を持っている「科学技術」(Science Based Technology)の諸特徴を,さらに深く読み解くことを目標とする.生産力発展に関わる「技術」や新技術開発に利用される「科学」の2つをゆうごうさせた科学技術は、19世紀に登場する.この融合までの過程を,「歴史学」(過去の事実を分析する学問),および「科学技術社会論」(科学技術と社会・経済との関連を理解する学問)に関わる基礎概念を学ながら,技術史および科学史に関わる具体的な事例を取り上げながら、歴史順に学習してゆく.
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
C1.熟練工と「道具」-マニュファクチュアの利点と限界は何か? - |
生産力向上の第1の要素に分業がある点を、マニュファクチュアの事例から理解する.
|
2週 |
C2.道具と機械の概念区分- 紡糸作業体験から道具の限界を知る - |
生産力向上の第2の要素に労働手段としての機械の登場があることを、産業革命を事例に理解する.
|
3週 |
C3.紡績機の発明に始まる産業革命-機械における作業機の登場の意味 - |
産業革命の直接の起源である綿紡績工場を通して、作業機械の役割を理解する.
|
4週 |
C4.産業革命における動力機(1)-動力機としての水車の役割と限界はなにか? - |
発達した機械の3要素における、動力機の意味を、水車の役割と限界を通して理解する.
|
5週 |
C5.産業革命における動力機(2)-蒸気機関:ポンプから工場用動力へ - |
発達した機械の3要素における、動力機の意味を、蒸気機関と水車とを比較して、理解する.
|
6週 |
C6.産業革命の確立と工作機械-機械を作る機械の登場 - |
産業革命完成の3要素における、工作機械の役割について理解する.
|
7週 |
C7.産業革命の確立と製鉄技術-鉄の時代の始まり - |
産業革命後の発展を支える新素材としての鋼鉄の役割を、製鉄技術を通して理解する.
|
8週 |
D1.エンジニア教育の登場-職人からエンジニアへの転換 - |
イギリス産業革命を追う各国の産業発展政策を、エンジニア養成を事例に理解する.
|
4thQ |
9週 |
D2.第二次科学革命-応用可能な「物理学」の登場- |
第二次科学革命がどのように登場したか、その起源に関わる事象、背景を理解する.
|
10週 |
D3.科学依存型技術の登場-化学工業と電信工業- |
科学依存型技術は19世紀に登場する.この登場のプロセスを化学工業、電気工業を事例に理解する.
|
11週 |
D4.アメリカ的生産方式の登場 -アメリカ産業革命から大量生産システム確立まで - |
大量生産システムは19世紀アメリカで登場する。その登場プロセスをアメリカンシステムを事例で理解する.
|
12週 |
D5.アメリカンシステムを映像資料で理解する. |
映像資料を利用して、アメリカ独立革命から第1次世界大戦までの経過を通して、アメリカンシステム形成過程を理解する.
|
13週 |
D6.ドイツ産業革命とその後-ドイツ型科学大国への道- |
科学依存型産業を拡大させて成長した国家の事例として19世紀ドイツの姿を理解する.
|
14週 |
D7.帝国主義による世界分割と科学技術-通信主権獲得を巡る世界無線通信設置競争- |
20世紀という「科学技術の世紀」を、エレクトロニクス技術を事例に理解する.
|
15週 |
D8.総括 |
1年間の講義を通して、科学技術と社会との関わりについて、再確認する.
|
16週 |
|
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。 | 3 | |
説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。 | 3 | |
社会における技術者の役割と責任を説明できる。 | 3 | |
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。 | 3 | |
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。 | 3 | |
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 3 | |
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。 | 3 | |
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。 | 3 | |
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。 | 3 | |
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。 | 3 | |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。 | 3 | |
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。 | 3 | |
他者の意見を聞き合意形成することができる。 | 3 | |
合意形成のために会話を成立させることができる。 | 3 | |
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。 | 3 | |
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。 | 3 | |
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。 | 3 | |
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。 | 3 | |
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。 | 3 | |
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。 | 3 | |
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。 | 3 | |
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる | 3 | |
複数の情報を整理・構造化できる。 | 3 | |
特性要因図、樹形図、ロジックツリーなど課題発見・現状分析のために効果的な図や表を用いることができる。 | 3 | |
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。 | 3 | |
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。 | 3 | |
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。 | 3 | |
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。 | 3 | |
事実をもとに論理や考察を展開できる。 | 3 | |
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。 | 3 | |
態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。 | 3 | |
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。 | 3 | |
目標の実現に向けて計画ができる。 | 3 | |
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。 | 3 | |
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。 | 3 | |
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。 | 3 | |
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。 | 3 | |
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。 | 3 | |
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。 | 3 | |
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。 | 3 | |
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。 | 3 | |
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。 | 3 | |
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている | 3 | |
法令やルールを遵守した行動をとれる。 | 3 | |
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。 | 3 | |
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。 | 3 | |
調査、インターンシップ、共同教育等を通して地域社会・産業界の抱える課題を説明できる。 | 3 | |
企業活動には品質、コスト、効率、納期などの視点が重要であることを認識している。 | 3 | |
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。 | 3 | |
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。 | 3 | |
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。 | 3 | |
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。 | 3 | |
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。 | 3 | |
総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。 | 3 | |
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。 | 3 | |
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。 | 3 | |
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。 | 3 | |
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。 | 3 | |
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。 | 3 | |