工学倫理

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 工学倫理
科目番号 7806 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電子工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 黒田光太郎編『誇り高い技術者になろう 工学倫理のススメ 第二版』(名古屋大学出版会)
担当教員 鈴木 慎也

到達目標

エンジニア(工学研究者、技術者)として必要とされる専門家の職業倫理について,(1)過去におけるトラブル事例,参考にすべき事例の特徴を理解すること,(2)学協会の倫理綱領,企業等の行動規範ついて,その基礎的な特徴を理解する.(3)新たな技術が登場した場合に発生する「倫理的配慮」について,その基礎的事項を理解する.また、汎用的四技能(課題設定・習得収集・分析・発表)のうち、本科目では、主体で広い視野から社会的テーマを見つけられるか(課題設定)、必要となる情報を主体的に収集できるか(習得収集)、グループワークを通して、独自性のある分析ができるか(分析)、聞く側を意識して、説得的な資料提示およびプレゼンテーションを行うことができるか(発表)、などを到達目標とする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目標(可)未到達レベルの目安
評価項目1過去におけるトラブル事例等および学協会・企業等の倫理綱領・行動規範について十分に理解している過去におけるトラブル事例等および学協会・企業等の倫理綱領・行動規範についてだいたい理解している過去におけるトラブル事例等および学協会・企業等の倫理綱領・行動規範について最低限の知識を持っている過去におけるトラブル事例も、倫理綱領・行動規範についての知識も6割未満である
評価項目2新たな技術が登場した場合に発生する「倫理的配慮」について,その基礎的事項を十分に理解している新たな技術が登場した場合に発生する「倫理的配慮」について,その基礎的事項を理解している新たな技術が登場した場合に発生する「倫理的配慮」について,その基礎的事項を辛うじて理解している新たな技術が登場した場合に発生する「倫理的配慮」について,その基礎的事項を理解していない
評価項目3汎用的四技能において、主体的に課題設定ができ、独自の分析を加え、説得的な発表が十分に行える汎用的四技能において、主体的に課題設定ができ、独自の分析を加え、説得的な発表がある程度は行える汎用的四技能において、主体的に課題設定ができ、独自の分析を加え、説得的な発表が辛うじて行える汎用的四技能において、主体的に課題設定、説得的な発表ができていない

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
科学技術が社会・経済に大きな影響を果たすようになり,研究活動に対して大きな期待がよせられている.こうした中で,工学研究者には,確かな工学的基礎知識と高い職業的倫理観が求められるようになった.本講義では,職業的倫理観を高めるために,(1)過去の事例の検討(知ること),(2)技術者倫理の原則を検討(理解すること), (3)技術者と企業の関わりを検討(身につけること),という3側面から取り扱う
授業の進め方・方法:
(1)座学形式で工学倫理の概要を学ぶ.(2)受講生がグループを作り,教科書をグループ学習し,授業中に発表する.(3)与えられた課題についてグループディスカッション,あるいはクラス全体でのディスカッションを行う. 
注意点:
本科目は人文社会系基礎科目の履修を前提とした人文社会系応用科目の1つである.すなわち,倫理思想,政治・経済・日本史・科学技術史・文章表現法などの科目履修が前提である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 イントロダクション 「工学倫理」講義の目標について理解する.
2週 知ること編
 過去の事例分析(1)
事故原因と再発防止策について理解する.
3週  過去の事例分析(2) 事故原因の背景にある「論理」について理解する.
4週 学び取る編
 グループ学習(1)
学生プレゼンを通して,
工学倫理の目的を理解する.
5週  グループ学習(2) 「技術者」,「技術業」の特徴について理解する.
6週  グループ学習(3) 技術者の責任ある行動に関する基礎知識を理解する.
7週  グループ学習(4) 技術者を取り巻く,法律的,制度的サポートについて理解する.
8週  グループ学習(5) 事故事例などを調べ,その原因,再発防止策を学ぶ.
2ndQ
9週  グループ学習(6) 事故事例を学ぶ(その2)
10週  グループ学習(7) 学協会の倫理綱領の特徴について理解する.
11週  グループ学習(8) 企業の行動規範の特徴について理解する.
12週 考える編
 ディベート(1)
価値バランスを取るための手法を学ぶ(1)
13週  ディベート(2) 価値バランスを取るための手法を学ぶ(2)
14週  総合討論 工学倫理の役割と限界について理解する.
15週
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学社会地理歴史的分野世界の資源、産業の分布や動向の概要を説明できる。3
民族、宗教、生活文化の多様性を理解し、異なる文化・社会が共存することの重要性について考察できる。3
近代化を遂げた欧米諸国が、19世紀に至るまでに、日本を含む世界を一体化していく過程について、その概要を説明できる。3
帝国主義諸国の抗争を経て二つの世界大戦に至る日本を含む世界の動向の概要を説明し、平和の意義について考察できる。3
第二次世界大戦後の冷戦の展開からその終結に至る日本を含む世界の動向の概要を説明し、そこで生じた諸問題を歴史的に考察できる。3
19世紀後期以降の日本とアジア近隣諸国との関係について、その概要を説明できる。3
公民的分野人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。3
自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理を理解し、基礎的な政治・法・経済のしくみを説明できる。3
現代社会の考察現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。3
工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。3
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。3
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。3
社会における技術者の役割と責任を説明できる。3
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。3
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。3
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。3
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。3
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。3
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。3
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。3
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。3
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。3
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。3
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。3
他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。3
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。3
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。3
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。3
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。3
他者の意見を聞き合意形成することができる。3
合意形成のために会話を成立させることができる。3
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。3
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。3
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。3
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。3
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。3
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる3
複数の情報を整理・構造化できる。3
特性要因図、樹形図、ロジックツリーなど課題発見・現状分析のために効果的な図や表を用いることができる。3
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。3
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。3
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。3
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。3
事実をもとに論理や考察を展開できる。3
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。3
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。3
目標の実現に向けて計画ができる。3
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。3
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。3
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。3
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。3
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。3
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。3
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。3
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。3
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている3
法令やルールを遵守した行動をとれる。3
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。3
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。3

評価割合

試験発表レポート等態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合602020000100
基礎的能力40202000080
専門的能力200000020
分野横断的能力0000000