到達目標
【目的】 本講義では、量子論に入門する前の基礎概念を演示実験などを通して、直感的に把握することを目的とする。量子論は、最先端計測装置、最先端デバイス・最先端計算機科学等で応用されてきており、この基礎概念理解は、技術者として幅広い知見で開発を進めていくために必須の素養となる。
【目標】
1.学生は、力学、電磁気学の知識を、量子論に適用することができる
2.学生は、量子論的粒子の波動的特徴・粒子的特徴を表す実験を挙げて、人に説明することができる
3.学生は、量子論と特有の基礎概念を、応用物理Dで行なう実験などの例を挙げながら説明・計算することができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
力学、電磁気学の知識を量子論に適用できる。 | 未知の問題に対しても力学、電磁気学の知識を量子論に適用できる。 | 力学、電磁気学の知識を量子論に適用できる。 | 力学、電磁気学の知識を量子論に適用できない。 |
量子論的粒子の波動的特徴・粒子的特徴を説明することができる | 量子論的粒子の波動的特徴・粒子的特徴をわかりやすく、説明することができる | 量子論的粒子の波動的特徴・粒子的特徴を説明することができる | 量子論的粒子の波動的特徴・粒子的特徴を説明することができない |
量子論と特有の基礎概念を、応用物理Dで行なう実験などの例を挙げながら説明・計算することができる | 未習事項についても積極的に学習し、量子論と特有の基礎概念を、よりくわしく説明・計算できる。 | 量子論と特有の基礎概念を、説明・計算できる。 | 量子論と特有の基礎概念を、説明・計算できない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
演示実験をなるべく多く見せながら、なぜ量子論が必要なのかを考えていく。そして、ミクロな粒子の捉え方を実験を通して、具体的に学ぶ。実験例を見るだけでなく、具体的に実験と数式を通して目に見えないミクロな量が、定量化される過程を追体験してもらう。最後に、ミクロな粒子の波と粒子の二重性を振り返り、量子論への入門としたい。
授業の進め方・方法:
物理I(力学)、物理Ⅱ(電磁気学)、応用物理A(波動)の基礎知識を活用しながら、量子の存在を紐解いていく。授業を受ける前に、これらの分野の復習を終えておいてほしい。授業では、演示実験から、対話的に進め、量子力学が導入されるに至った経緯を実験で追体験するとともに、新たに浮かび上がる「粒子と波の二重性」について考察をすすめていく。
注意点:
結果1/3以上でDとなる。中間テストは実施せず、期末テストと提出物や小テストで成績を評価する。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス、量子にまつわる歴史1 |
ミクロな粒子を検出するための実験手法を説明できる
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2週 |
量子にまつわる歴史2(空洞輻射の問題と古典力学の破綻)、Planckの量子仮説、期待値などの復習 |
空洞輻射の古典的モデルでは、光の周波数成分の強度分布が矛盾することを説明できる。
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3週 |
Planckの量子仮説、確率波、量子力学における粒子(非常に弱い光での干渉実験) |
なぜ、Planckの量子仮説が必要かを説明できる。ヤングの実験を説明できる。単一光子の場合何が違うかを説明できる。
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4週 |
Einsteinの関係、量子論的粒子としての光子 |
Einsteinの関係を用いて計算ができる。
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5週 |
光の粒子性を示す実験(光電効果、コンプトン効果) |
光電効果やコンプトン効果が説明できる。
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6週 |
コンプトン効果、光の波動性を示す実験(X線回折、ブラッグの条件、粉末法とデバイ・シラー環) |
X線回折の計算ができる
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7週 |
電子の粒子性を示す実験(電荷の測定、比電荷の測定) |
力学や電磁気学を応用して、電荷の測定、比電荷の測定の運動方程式を立て、実験結果を説明できる。
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8週 |
電子の波動性を示す実験(物質波、電子線回折) |
ド・ブロイ波について説明できる
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4thQ |
9週 |
古典論における原子モデルの破綻、量子条件 |
古典論の問題点を人に説明できる。
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10週 |
定常状態の光の放出と吸収(ボーアの理論) |
量子条件を課し、水素原子のエネルギーを導出できる
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11週 |
実験1 |
原子の実験を安全に、正しく行うことができる。
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12週 |
実験2 |
原子の実験を安全に、正しく行うことができる。
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13週 |
実験3 |
原子の実験を安全に、正しく行うことができる。
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14週 |
レンズの分解能、ガンマ線顕微鏡と不確定性原理 |
光で位置測定することについて波動的に考え分解能の限界があることを説明できる。運動量不確定性がγ線顕微鏡ではどうしても生じしてしまう理由が説明できる。
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15週 |
後期末試験、後期末試験解説 |
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16週 |
不確定背原理と今までの実験の振り返りから量子力学へ |
不確定性原理や今までの知識を総動員して、量子論的粒子の性質を議論できる。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 波動 | 波の波長、周期、振動数、速さについて説明できる。 | 3 | 後6 |
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。 | 3 | 後6,後13 |
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを理解している。 | 3 | 後2 |
電気 | クーロンの法則を説明し、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。 | 3 | 後10 |
物理実験 | 物理実験 | 測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。 | 3 | 後11,後12,後13 |
安全を確保して、実験を行うことができる。 | 3 | 後11,後12,後13 |
実験報告書を決められた形式で作成できる。 | 3 | 後11,後12,後13 |
有効数字を考慮して、データを集計することができる。 | 3 | 後11,後12,後13 |
電子・原子に関する分野 | 3 | 後11,後12,後13 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | 実験レポート・課題 | 合計 |
総合評価割合 | 75 | 0 | 0 | 0 | 0 | 25 | 100 |
基礎的能力 | 75 | 0 | 0 | 0 | 0 | 25 | 100 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |