概要:
情報数学Ⅱで学んだ代数系の理論や,線形代数学で学んだ行列の演算を踏まえて,線形符号の定義や構成法,復号法について理解する。また,リード・ソロモン符号やその他の誤り訂正符号について,実例を用いて手計算で符号化および復号化のプロセスをたどることができることを主たる目的とする。
授業の進め方・方法:
授業の一部で,事前に公開された資料や教科書を用いた予習を行ない,授業ではグループによる演習を行なう反転授業を導入する。授業の内容を理解しているかどうか確認するため,毎回簡単な演習問題を課し,提出させる。提出された課題は教員が採点し,原則として次回の授業で返却して解説を行う。定期試験では,原則として毎回の課題に類似した内容の問題を出題し,最終的な定着度を確認する。また,学んだ内容を暗記させることが目的ではなく,資料を参照しながら符号化や復号化を行なうことが目標であるため,定期試験では教科書やその他資料の持ち込みを認める。
注意点:
代数系の理論,特に有限体における演算,および行列の演算について復習しておくこと。また,毎回授業の最後に演習問題を行う。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
線形代数の復習 |
線形空間と線形独立性の定義に関する理解度を確認し,GF(2)上の行列演算を行なうことができる。
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2週 |
ブロック符号と線形符号 |
ブロック符号と線形符号の違いについて説明できる。
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3週 |
組織符号 |
組織符号の生成行列や線形符号を組織符号に変換できる。
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4週 |
符号の最小距離 |
線形符号の最小距離を求めることができる。
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5週 |
線形符号の誤り訂正能力 |
線形符号の誤り訂正能力を求めることができる。受信語からシンドロームを計算できる。
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6週 |
パリティ検査行列と誤り訂正能力 |
さまざまな符号についてパリティ検査行列から誤り訂正能力を求め,説明することができる。
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7週 |
シンドローム復号法 |
シンドロームと標準配列を用いた復号化を実行できる。
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8週 |
代数系の復習 |
整数や多項式がなす有限体について理解し,有限体上での演算が実行できる。
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4thQ |
9週 |
有限体の性質 |
拡大体と部分体,原始多項式や有限体の表現法について復習する。
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10週 |
リード・ソロモン符号 |
リード・ソロモン符号の定義について理解し,簡単な符号が構成できる。
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11週 |
RS符号の組織符号化 |
生成行列における行基本操作などを用いて,リード・ソロモン符号を線形符号に変換できる。
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12週 |
RS符号の復号化原理 |
リード・ソロモン符号の復号化の方針について資料を見ながら説明できる。
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13週 |
SudanによるRS復号法 |
Sudanによる復号法を用いて,リード・ソロモン符号の復号化を実行できる。
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14週 |
RS符号の生成行列とパリティ検査行列 |
符号多項式による誤り位置・誤り値の特定を行ない,リード・ソロモン符号の復号化を実行できる。
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
試験返却,および試験の解説 |
科目全体を振り返り,各単元について十分に理解し,簡単な例について計算が行えるようになる。
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 数学 | 数学 | 数学 | 整式の加減乗除の計算ができる。 | 3 | 後5,後6,後9,後10,後14 |
総和記号を用いた基本的な数列の和を計算することができる。 | 3 | 後4,後7 |
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。 | 2 | 後1,後2,後3,後6,後7,後10,後11,後12,後13,後14 |
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、基本的な計算ができる。 | 2 | 後1,後2,後3,後4,後10,後11,後12,後13,後14 |
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。 | 2 | 後1,後2,後3 |
ベクトルの平行・垂直条件を利用することができる。 | 2 | 後1,後2,後3,後7,後10,後12,後13,後14 |
行列の定義を理解している。 | 2 | 後3,後5,後6,後7,後11,後12,後13,後14 |
行列の和・差・数との積の計算ができる。 | 2 | 後3,後11,後12,後13,後14 |
行列の積の計算ができる。 | 2 | 後3,後7,後12,後13,後14 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 情報系 | 計算機工学 | 整数・小数を2進数、10進数、16進数で表現できる。 | 2 | 後7,後8,後10,後11,後12,後13,後14 |
情報数学・情報理論 | 集合に関する基本的な概念を理解し、集合演算を実行できる。 | 3 | 後1,後2,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14 |
集合の間の関係(関数)に関する基本的な概念を説明できる。 | 3 | 後10,後11 |
ブール代数に関する基本的な概念を説明できる。 | 3 | 後1,後2,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14 |
通信路のモデルと通信路符号化について説明できる。 | 2 | 後5,後6,後7,後10 |