応用数学Ⅰ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 応用数学Ⅰ
科目番号 0019 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 3
開設学科 情報工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 3
教科書/教材 小坂敏文,吉本定伸 共著,『はじめての応用数学 ラプラス変換・フーリエ変換編』,近代科学社 Web等による資料の提供
担当教員 小坂 敏文,吉本 定伸

到達目標

・ラプラス変換を用い,微分方程式をを解くことが出来,解のグラフを描けるようになる。
・フーリエ変換に関係する基礎的な知識を有し,フーリエ係数の計算,基本的性質を用いたフーリエ変換などの計算ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
ラプラス変換に関係する基礎的な知識を有し,ラプラス変換を用いて線形常 微分方程式を解くことができる。物理量とその単位について理解しており,ラプラス変換を用いて1階・2階の線形常微分方程式が解け,結果をグラフ表示ができる。また,伝達関数,畳み込み積分について説明できる。ラプラス変換を用いて1階・2階の線形常微分方程式が解け,結果をグラフ表示ができる。ラプラス変換を用いて1階・2階の線形常微分方程式がを解くことが出来ない。
フーリエに関係する基礎的な知識を有し,フーリエ係数の計算,基本的性質を用いたフーリエ変換などの計算等ができる。関連する内容を理解し,自ら工夫するなどしてフーリエに関係する計算等を行うことができる。基本的なフーリエに関係する問題を解くことができる。フーリエに関係する問題を解くことができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本来応用数学は,工学上での応用を目指した数学であり,複素関数,ベクトル解析,ラプラス変換,フーリエ変換,確率・統計,数値計算の分野がある。この科目は,応用数学分野において,ラプラス変換およびフーリエ変換を対象としている。
この科目の内容は後から制御工学で一次遅れ要素,二次遅れ要素などの振る舞いを検証するのに使われる。
授業の進め方・方法:
ラプラス変換編:工学上必要となる単位と物理量の関係を整理した後,微分・積分の概念を物理量との関係で整理する。次に工学上重要な線形近似で線形モデルを作り,線形常微分方程式化する。そして線形常微分方程式を特道具としてラプラス変換を捉える。さらに,伝達関数と畳み込み演算について学ぶ。
フーリエ変換編:線形代数により直交について復習を行い,波形,フーリエ級数,フーリエ変換と順を追って進める。プログラミングや表計算ソフトを利用しながら,時間領域と周波数領域を視覚的にとらえながら進める。
注意点:
ラプラス変換編とフーリエ変換編が同時に半年間(週2コマ,30回)開講され,授業1時間に付き2時間の自学自習を想定した学修単位科目であり,自学自習で演習問題を行なう。
三角関数,微分積分,微分方程式,線形代数,物理などの修得を前提にしている。sin関数・exp関数などのグラフを描けるようになっていること。
内容により,プログラミングやエクセルも利用するため,関連科目をよく復習しておく。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
L:応用数学の範囲と本科目の関係
F:信号と表現
L:本科目の位置づけや授業の進め方が分かる。
F:正弦波の表現方法が分かる。
2週 L:導入部(1)
物理現象と記述のための諸量の概念とSI単位系
F:ベクトルの直交関係(1)
ベクトル直交,プログラミング演習
L:物理現象と記述のための諸量の概念とSI単位系が分かる。
F:ベクトルの内積,ノルム,直交関係が分かる。
3週 L:導入部(2)
関数の積の形でできている関数などのグラフ
F:ベクトルの直交関係(2)
プログラミング演習続き
L:関数の積の形でできている関数などのグラフが描ける。
F:プログラミングにより,ベクトルの直交関係が分かる。
4週 L:微分方程式の立式(1)
定係数1階常線形微分方程式
F:フーリエ級数(1)
関数の直交
L:物理現象のあるものは定係数1階常線形微分方程式でモデル化されることがわかる。
F:実フーリエの準備として関数(sin,cos)の直交関係が分かる。
5週 L:微分方程式の立式(2)
定係数2階線形常微分方程式
F:フーリエ級数(2)
実フーリエ級数
L:物理現象のあるものは定係数2階常線形微分方程式でモデル化されることがわかる。
F:実フーリエ級数と係数が分かる。
6週 L:ラプラス変換を用いた微分方程式の解(1)
微分方程式を解くツールとしてのラプラス変換,ラプラス変換表の導入
F:フーリエ級数(3)
複素フーリエ級数と係数の準備
L:微分方程式を解くツールとしてのラプラス変換の有用性がわかる。
F:複素フーリエの準備として関数(exp)の直交関係が分かる。
7週 L:ラプラス変換を用いた微分方程式の解(2)
解のグラフ表示
F:フーリエ級数(4)
複素フーリエ級数と係数
L:微分方程式をラプラス変換を用いて解くことが出来,結果をグラフに描くことができる。
F:複素フーリエ級数と係数が分かる。
8週 中間テスト
2ndQ
9週 L:ラプラス変換
ラプラス変換の定義
F:フーリエ変換(1)
複素フーリエからフーリエ変換へ
L:ラプラス変換の定義がわかる。
F:単純なフーリエ変換が分かる。
10週 L:関数のラプラス変換(1)
デルタ関数・単位ステップ関数・sin関数などのラプラス変換
F:フーリエ変換(2)
指数関数のフーリエ変換
L:デルタ関数・単位ステップ関数・sin関数などのラプラス変換ができる。
F:指数関数のフーリエ変換が分かる。
11週 L:関数のラプラス変換(2)
図示された関数のラプラス変換(重ね合わせ)
F:フーリエ変換(3)
フーリエ変換の性質
L:図示された関数を単純な関数の重ね合わせとして捉え,ラプラス変換できる。
F:基本的な性質を用いたフーリエ変換が分かる。
12週 L:逆ラプラス変換
部分分数分解
F:フーリエ変換(4)
特殊な関数のフーリエ変換
L:部分分数分解を行い,変換表を用いて逆ラプラス変換できる。
F:特殊な関数に関するフーリエ変換が分かる。
13週 L:ラプラス変換の性質
微分された関数のラプラス変換,t軸上の推移,s軸上の推移
F:専門分野に向けて(1)
線形システムとAM変調・復調
L:微分された関数のラプラス変換,t軸上の推移,s軸上の推移がわかる。
F:専門分野における基本的な振幅変調に関するフーリエ変換が分かる。
14週 L:ラプラス変換の性質
最終値の定理,線形微分方程式が代数式になることの利点と伝達関数の概念Y(s)=G(s)X(s),たたみ込み積分とラプラス変換の関係
F:専門分野に向けて(2)
サンプリングと理想ローパスフィルタ
L:最終値の定理,伝達関数の概念,畳み込みとラプラス変換の関係が理解できる。
F:専門分野におけるサンプリングとフーリエ変換の関係が分かる。
15週 期末テスト
16週 テスト返却と解答

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験演習課題合計
総合評価割合7525100
基礎的能力000
専門的能力7525100
分野横断的能力000