情報理論

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 情報理論
科目番号 0020 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 情報工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 小嶋徹也「はじめての情報理論」近代科学社
担当教員 小嶋 徹也

到達目標

1. 各種情報量の意味を理解し,与えられた確率分布にしたがって情報量の計算ができる。
2. 情報源符号化における平均符号語長の下限について理解する。
3. 与えられた確率分布にしたがって,ハフマン符号が構成できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1各種情報量の定義および意味を理解し,与えられた確率分布にしたがって情報量を計算できる。教科書などの文献を参照しながら,与えられた確率分布にしたがって情報量を計算することができる。与えられた確率分布にしたがって,情報量を計算することができない。
評価項目2情報源符号化における平均符号語長の下限について理解し,符号化の最適戦略について説明できる。情報源符号化における平均符号語長の下限が何か理解する。情報源符号化における下限が何か説明できない。
評価項目3与えられた確率分布にしたがって,ハフマン符号を構成できる。教科書などの文献を参照しながら,ハフマン符号を構成できる。与えられた確率分布にしたがって,ハフマン符号を構成できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
確率・統計で学習した確率分布や期待値の概念,情報数学で学習した集合の概念などを踏まえて,情報通信やデータ圧縮の基礎となる各種情報量,および,最適な符号化手法について理解する。また,後期に学習する符号理論へつなげるため,通信路や通信路符号化についてもその概要を理解する。
授業の進め方・方法:
毎回の授業の学習テーマを設定し,その内容について解説する。板書が多いため,一部スライドも併用するほか,15週のうち一部において反転授業形式の能動学習を取り入れる。授業の内容を理解しているかどうか確認するため,毎回簡単な演習問題を課し,提出させる。提出された課題は採点し,原則として次回の授業で返却して解説を行う。定期試験では,原則として毎回の課題に類似した内容の問題を出題し,最終的な定着度を確認する。

注意点:
確率・統計や情報数学で学んだ内容を復習しておくこと。また,毎回授業の最後に演習問題を行う。指示された場合には,反転授業のための予習を必ず行うこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンスと確率論の復習 確率や期待値およびそれらの性質に関する理解度を確認する。
2週 エントロピー エントロピーの意味を理解し,計算ができる。
3週 エントロピーのチェイン則 同時エントロピー,条件付エントロピーの意味を理解し,計算ができる。
4週 ダイバージェンス ダイバージェンスの意味を理解し,計算ができる。
5週 ダイバージェンスの応用 同時・条件付ダイバージェンスの意味を理解し,計算ができる。
6週 符号の定義と正則性 正則な符号,分節可能符号について判別できる。平均符号語長を計算できる。
7週 分節可能符号と語頭符号 分節可能符号と語頭符号を判別できる。
8週 符号の表現とクラフトの不等式 与えられた符号を符号木および数直線で表現できる。
2ndQ
9週 最適な符号 情報源符号化における平均符号語長の下限および,最適な符号化戦略について理解する。
10週 符号化アルゴリズム シャノン・ファノ符号,シャノン・ファノ・イライアス符号およびハフマン符号を構成できる。
11週 相互情報量 相互情報量の意味を理解し,計算ができる。
12週 相互情報量の応用 情報量のチェイン則,および情報通信との関係について理解する。
13週 情報処理不等式とファノの不等式 情報処理不等式とファノの不等式の意味を理解する。
14週 情報理論の応用 誤り訂正符号や情報通信工学,情報セキュリティと情報理論の関係について理解する。
15週 期末試験
16週 試験返却,および試験の解説 科目全体を振り返り,各単元について十分に理解し,簡単な例について計算が行えることを確認する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3前2,前3,前4,前5,前9,前11,前12
2点間の距離を求めることができる。1前4
総和記号を用いた簡単な数列の和を求めることができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前9,前11,前12,前13
関数の増減表を書いて、極値を求め、グラフの概形をかくことができる。1前2
独立試行の確率、余事象の確率、確率の加法定理、排反事象の確率を理解し、簡単な場合について、確率を求めることができる。3前1
条件付き確率、確率の乗法定理、独立事象の確率を理解し、簡単な場合について確率を求めることができる。3前1,前3,前5,前12
専門的能力分野別の専門工学情報系分野計算機工学整数・小数を2進数、10進数、16進数で表現できる。3前6,前7,前8
整数・小数をコンピュータのメモリ上でディジタル表現する方法を説明できる。3前8
基数が異なる数の間で相互に変換できる。3前2
情報数学・情報理論集合に関する基本的な概念を理解し、集合演算を実行できる。3前3,前5,前7,前12
情報量の概念・定義を理解し、実際に計算することができる。3前2,前3,前4,前5,前9,前10,前11,前12
情報源のモデルと情報源符号化について説明できる。3前9

評価割合

試験演習問題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力8020100
専門的能力000
分野横断的能力000