情報工学科実験実習Ⅲ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 情報工学科実験実習Ⅲ
科目番号 0066 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 情報工学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 6
教科書/教材 実験指導書またはWeb資料,「電気回路の基礎(第3版)」(西巻正郎,森武明,荒井俊彦共著,森北出版),「論理回路入門(第4版)」(浜辺隆二著,森北出版)
担当教員 松林 勝志,田中 晶,西村 亮

到達目標

1.特定の条件を満たすクラウドアプリケーションを,段階を追って開発できる.
2.複素数表示を用いて,基本的な交流回路を解析できる.
3.オシロスコープを用いて,論理回路および交流回路各部の波形を測定することができる.
4.論理回路Ⅰ,およびⅡで習った知識を活用して,条件を満たす論理回路を作成できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
特定の条件を満たすクラウドアプリケーションを,段階を追って開発できる.各回における報告書提出締切までに,条件を満たすプログラムを作成し,完成度の高い報告書を提出できる.各回における報告書提出締切までに,条件を満たすプログラムを作成し報告書を提出できる.各回における報告書提出の最終締切までに,条件を満たすプログラムを作成し報告書を提出できる.各回における報告書提出の最終締切までに,条件を満たすプログラムを作成し報告書を提出できない.
複素数表示を用いた交流回路の解析複素数表示を用いて基本的な交流回路を解析し,各部の電圧,電流,位相の関係を求めることができる.また,周波数特性を求め,それについて説明できる.複素数表示を用いて基本的な交流回路を解析し,各部の電圧,電流,位相の関係を求めることができる.また,周波数特性があることを説明できる.複素数表示を用いて基本的な交流回路を解析し,各部の電圧,電流,位相の関係を求めることができる.複素数表示を用いて基本的な交流回路を解析し,各部の電圧,電流,位相の関係を求めることができない.
オシロスコープを用いた波形測定オシロスコープを用いて,論理回路および交流回路各部の波形を測定することができる.教員の助言を受けながら,オシロスコープを用いて,論理回路および交流回路各部の波形を測定することができる.教員の詳細な助言を受けながら,オシロスコープを用いて,論理回路および交流回路各部の波形を測定することができる.教員の詳細な助言を受けても,オシロスコープを用いて,論理回路および交流回路各部の波形を測定することができない.
論理回路Ⅰ,およびⅡで習った知識を活用して,条件を満たす論理回路を作成できる.各回における報告書提出締切までに,条件を満たす論理回路を作成し,完成度の高い報告書を提出できる.各回における報告書提出締切までに,条件を満たす論理回路を作成し報告書を提出できる.各回における報告書提出の最終締切までに,条件を満たす論理回路を作成し報告書を提出できる.各回における報告書提出の最終締切までに,条件を満たす論理回路を作成し報告書を提出できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
・論理回路Ⅰ,Ⅱに関連した実験,座学の授業を発展させたプログラミング,数週にまたがり一つの成果を求めるような実験を行う.10年以上企業で通信・分散プロセッシングを担当していた教員が、その経験を活かし指導する.
・交流回路を解析するための基本的な事項を修得する.
・オシロスコープを用いて回路の動作を調べるための方法を修得する.
授業の進め方・方法:
・特定の条件を満たすクラウドアプリケーションを,段階を追って各自で開発する.
・交流回路を解析するための基本的な事項をアクティブラーニングによって学ぶ.
・論理回路や交流回路を対象として,オシロスコープを用いた測定実験を小グループで行う.
・論理回路の設計,実装,動作検証をグループごとに行う.
注意点:
・各回で完結する課題,および複数回にわたって一つの課題に取り組む場合がある.課題の内容によって実施教室が異なる.
・全実験を真摯に実施し、課題毎に設定された締切までに報告書を提出し,課題毎の報告書の内容から課題の目標が達成できていることが確認できることが重要である.
・課題の内容,自身の進捗や理解度に応じて,課題の内容に対応する教科書や資料を参照すること.
・次回に行う実験および演習に備えた予習と復習が必要である.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ・正弦波交流の式(アクティブラーニング)
・Googleのクラウドサービスを利用したアプリケーション開発の準備
・正弦波交流の瞬時値,角速度,周波数,位相化について説明できる.
・波形と関係づけながら,正弦波交流の瞬時値の式を求めることができる.
・Gmailアカウントの作成,その他の準備を行うことができる.
2週 ・正弦波交流の位相角(アクティブラーニング)
・Google Apps Script(GAS)とC言語との違い(ドキュメントを扱うクラスの作成)
・正弦波交流における位相差,位相の進みと遅れ,位相差の符号の意味について説明できる.
・波形と式を関係づけて二つの正弦波交流の間の位相差を計算できる.
・Java ScriptとC言語の違いを理解し,クラスを利用することができる.
3週 ・正弦波交流の複素数表示とフェーザ図
・Google Apps Script(GAS)でスプレッドシートを扱うクラス
・実効値の意味について説明し,正弦波交流の実効値を瞬時値の式から計算できる.
・正弦波交流を複素数表示できる.また,瞬時値の式との間で相互に変換することができる.
・正弦波交流をフェーザ図で表示することができる.
・クラウドを利用したインターフェースを作ることができる.
4週 ・交流における回路要素の性質と基本関係式(アクティブラーニング)
・Google Apps Script(GAS)でのメール送信方法・Google Formでのメール送信インターフェース
・ 各回路要素について,電圧と電流との関係を瞬時値の式で示すことができる.
• 各回路要素について,電圧または電流のうち一方の瞬時値の式が正弦波として与えられたとき,もう一方の瞬時値の式を求め,双方の複素数表示を求めることができる.
• 各回路要素について,電圧および電流を表した式から,それらの関係を複素数表示,フェーザ図および波形で示すことができる.
・クラウドを利用したデータの管理を行うことができる.
・クラウドを利用したメール送信を行うことができる.
5週 ・簡単な交流回路の解析(アクティブラーニング)
・時間指定メール送信の準備・Google Spreadsheetでメールを送る準備
・交流回路で用いられる各素子またはそれらが複数接続された回路のインピーダンスを求めることができる.
・タイムベース実行のアプリケーションを開発することができる.
6週 ・簡単な交流回路の解析(アクティブラーニング)
・時間指定メール送信・送信すべきかどうかの判断
・交流回路各部の電圧と電流を複素数を用いて解析し,フェーザ図で示すことができる.
・タイムベース実行によるメール送信を行うことができる.
7週 ・周波数特性の計算(アクティブラーニング) ・交流回路各部の電圧と電流を複素数を用いて解析し,実効値と位相差が周波数によって変化する様子を理論的に求めることができる.
・交流回路に周波数特性があることを複素数を用いた解析によって示すことができる.また,周波数特性を求めることができる.
8週 ・交流回路の波形測定(実験) ・オシロスコープを用いて,未知の振幅または位相差を持つ正弦波交流電圧波形を測定できる.
・オシロスコープを用いた測定により,交流回路の周波数特性を求めることができる.
2ndQ
9週 ・ディジタル回路の波形測定(実験) ・オシロスコープを用いて,論理回路各部の信号を時間的な関係を保って測定できる.
10週 ・ガイダンス,仕様の説明,設計のヒント
・フリップフロップの実験
・課題の概要,主なパーツの特徴,レポート作成方法を把握し,安全な実験の進め方を理解できる.
・簡単なフリップフロップの実験による動作確認ができる.
11週 論理設計
・二つの課題について,論理回路図が書ける.
・回路エディタの使用法を把握できる.
12週 実装図作成 ・課題を一つ選び,実装図と部品表が書ける.
・中間報告書を作成し,提出できる.
13週 基板製作 選択した課題について,部品表をもとに部品を集め,基板を製作できる.
14週 動作検証 ・適宜ハードウェアデバッグ,トラブルシューティングができる.
・製作回路が厳密に仕様に従った回路となっているか動作検証ができる.
・最終報告書を作成し,提出できる.
15週
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術工学実験技術物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3前7,前9
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3前9
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3前7,前9,前11,前12,前13,前14
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3前11,前12,前13,前14
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3前7,前9,前11,前12,前13,前14
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3前10,前11,前12,前13,前14
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3前7,前9,前11,前12,前13,前14
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3前7,前9,前11,前12,前13,前14
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3前11,前12,前13,前14
専門的能力分野別の専門工学情報系分野プログラミング代入や演算子の概念を理解し、式を記述できる。4
プロシージャ(または、関数、サブルーチンなど)の概念を理解し、これらを含むプログラムを記述できる。4
変数の概念を説明できる。4
データ型の概念を説明できる。4
制御構造の概念を理解し、条件分岐を記述できる。4
制御構造の概念を理解し、反復処理を記述できる。4
与えられた問題に対して、それを解決するためのソースプログラムを記述できる。4
ソフトウェア生成に必要なツールを使い、ソースプログラムをロードモジュールに変換して実行できる。4
与えられたソースプログラムを解析し、プログラムの動作を予測することができる。4
要求仕様に従って、標準的な手法により実行効率を考慮したプログラムを設計できる。4
要求仕様に従って、いずれかの手法により動作するプログラムを設計することができる。4
要求仕様に従って、いずれかの手法により動作するプログラムを実装することができる。4
要求仕様に従って、標準的な手法により実行効率を考慮したプログラムを実装できる。4
分野別の工学実験・実習能力情報系分野(実験・実習能力)情報系分野(実験・実習能力)与えられた問題に対してそれを解決するためのソースプログラムを、標準的な開発ツールや開発環境を利用して記述できる。3
ソフトウェア生成に利用される標準的なツールや環境を使い、ソースプログラムをロードモジュールに変換して実行できる。3
ソフトウェア開発の現場において標準的とされるツールを使い、生成したロードモジュールの動作を確認できる。3
与えられた仕様に合致した組合せ論理回路や順序回路を設計できる。4前11,前12,前13,前14
基礎的な論理回路を構築し、指定された基本的な動作を実現できる。4前11,前12,前13,前14
論理回路などハードウェアを制御するのに最低限必要な電気電子測定ができる。4前11,前12,前13,前14

評価割合

報告書発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力800000080
専門的能力200000020
分野横断的能力0000000