情報工学科実験実習Ⅳ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 情報工学科実験実習Ⅳ
科目番号 0067 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 情報工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 6
教科書/教材 実験指導書,配布資料またはWeb資料「電子回路学入門-機械工学者のためのアナログ・ディジタル・パワー回路の基礎-」(小原治樹著,コロナ社)
担当教員 小嶋 徹也,松林 勝志,西村 亮

到達目標

1.オームの法則を理解し,抵抗による分圧を計算できる。
2.必要な性能を持ったオペアンプを選択し,オペアンプを使った増幅回路を設計できる。
3.世の中で使われている各種センサーの原理を理解し,使うことができる。
4.アナログとデジタル,二進数,ナイキストのサンプリング定理,A/Dコンバータの仕様,A/Dコンバータの誤差を理解し,応用することができる。
5.半導体の基本的な事項について,適切な用語を用いて説明できる.
6.ダイオード,LED,トランジスタ,FETの電気的特性および動作を説明できる.
7.ダイオード,LED,トランジスタ,FETを用いた応用回路の動作を説明し,設計できる.
8.電子回路の設計,作成,特性測定を通じて半導体素子の特性を知り,活用できる.
9.「確率・統計」で習った知識を活用して,計算の基本問題,応用問題を解くことができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限到達レベルの目安未到達レベルの目安
報告書作成各回における報告書提出締切までに,実験課題をすべて解き提出できる.各回における報告書提出の最終締切までに,実験課題をすべて解き提出できる.各回における報告書提出の最終締切までに,実験課題をすべて解き提出できる.各回における報告書提出の最終締切までに,実験課題をすべて解き提出できない.
オームの法則を理解し,抵抗による分圧を計算できる。オームの法則を理解し,抵抗による分圧が,片方がGNDでない場合でも計算できる。オームの法則を理解し,抵抗による分圧が,片方がGNDの場合に正しく計算できる。オームの法則を理解し,抵抗による分圧を計算できる。オームの法則を理解し,抵抗による分圧を計算できない。
必要な性能を持ったオペアンプを選択し,オペアンプを使った増幅回路を設計できる。必要な性能を持ったオペアンプを選択し,オペアンプを使った増幅回路を必要最小限のオペアンプ数で設計できる。必要な性能を持ったオペアンプを選択し,オペアンプを使った増幅回路を設計できる。必要な性能を持ったオペアンプを選択できる。オペアンプ回路を設計できる。必要な性能を持ったオペアンプを選択できない。オペアンプ回路を設計できない。
世の中で使われている各種センサーの原理を理解し,使うことができる。世の中で使われている各種センサーの原理を理解し,使うことができる。世の中で使われている各種センサーの原理を理解し説明できる。世の中で使われている各種センサーの原理を理解している。世の中で使われている各種センサーの原理を理解していない。
アナログとデジタル,二進数,ナイキストのサンプリング定理,A/Dコンバータの仕様,A/Dコンバータの誤差を理解し,応用することができる。アナログとデジタル,二進数,ナイキストのサンプリング定理,A/Dコンバータの仕様,A/Dコンバータの誤差を理解し,応用することができる。アナログとデジタル,二進数,ナイキストのサンプリング定理,A/Dコンバータの仕様,A/Dコンバータの誤差を理解し,説明できる。アナログとデジタル,二進数,ナイキストのサンプリング定理,A/Dコンバータの仕様,A/Dコンバータの誤差を理解できる。アナログとデジタル,二進数,ナイキストのサンプリング定理,A/Dコンバータの仕様,A/Dコンバータの誤差を理解できない。
半導体の基本半導体の基本的な事項について,適切な用語を用いて説明できる.半導体の基本的な事項について説明できる.半導体の基本的な事項について説明できる.半導体の基本的な事項について説明できない.
半導体素子ダイオード,LED,トランジスタ,FETの電気的特性および動作を説明できる.ダイオード,LED,トランジスタ,FETの電気的特性および動作の過半数を説明できる.ダイオード,LED,トランジスタ,FETの電気的特性および動作を説明できる.ダイオード,LED,トランジスタ,FETの電気的特性および動作を説明できない.
半導体回路ダイオード,LED,トランジスタ,FETを用いた回路の動作を説明し,設計できる.ダイオード,LED,トランジスタ,FETを用いた用回路の動作の説明や設計の過半数ができる.ダイオード,LED,トランジスタ,FETを用いた用回路の動作を説明したり,設計したりすることができる.ダイオード,LED,トランジスタ,FETを用いた用回路の動作を説明したり,設計したりすることができない.
電子回路電子回路の設計,作成,特性測定ができ,十分な内容の報告書を提出締切までに提出できる.電子回路の設計,作成,特性測定ができ,必要な事項が記された報告書を提出締切までに提出できる.電子回路の設計,作成,特性測定が完了せず,必要な事項が記された報告書を提出締切までに提出できる.電子回路の設計,作成,特性測定が完了せず,必要な事項が記された報告書を提出締切までに提出できない.
確率・統計順列や組み合わせ,および和事象や積事象の概念を理解し,適切な時間内に計算課題を解くことができる。 復元抽出,非復元抽出,およびベイズの定理を理解し,その応用の計算課題を適切な時間内に解くことができる。順列や組み合わせ,および和事象や積事象の概念を理解し,計算課題を解くことができる。 復元抽出,非復元抽出,およびベイズの定理を理解し,その応用の計算課題を解くことができる。順列や組み合わせ,および和事象や積事象の概念を理解し,に適切な資料参照、助言の下計算課題を解くことができる。 復元抽出,非復元抽出,およびベイズの定理を理解し,その応用の計算課題を適切な資料参照、助言の下解くことができる。順列や組み合わせ,および和事象や積事象の概念を理解し,に適切な資料参照、助言の下計算課題を解くことができない。 復元抽出,非復元抽出,およびベイズの定理を理解し,その応用の計算課題を適切な資料参照、助言の下解くことができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
コンピュータ計測制御,電子回路,確率・統計個々の分野に関連した実験,実習などを複合的に行う。
授業の進め方・方法:
専門的な知識の教授と,また各回で完結する実験課題,および複数回にわたって一つの実験課題に取り組む場合などがある。
また内容によって実施教室が異なる。
注意点:
全ての教授内容を理解し,また全実験,実習を真摯に実施,実験課題毎に設定された締切までに報告書を提出すること。
実験課題毎の報告書の内容から課題の目標が達成できているか確認できることが重要。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ・オームの法則についての理解
・半導体の基礎(アクティブラーニング)
・オームの法則を正しく理解する。eは抵抗の両端子電圧の差であることを理解する。
・電流の流れやすさにより,物質が導体,半導体,絶縁体に分類できることを説明できる.
・キャリヤには自由電子と正孔があり,それらによって半導体中の電流が流れることを説明できる.
・真性半導体に不純物を加えることにより,キャリヤを増やした不純物半導体を製造できることを説明できる.
・不純物半導体にはP形半導体とN形半導体があることを説明できる.
・P形半導体中の電流が主として正孔によって流れることを説明できる.
・N形半導体中の電流が主として自由電子によって流れることを説明できる.
・PN接合の境界付近に空乏層が形成されることを説明できる.
・PN接合を構成することにより,電流が一方向にしか流れない現象が起きることを説明できる.
2週 ・オームの法則についての演習
・ダイオード(アクティブラーニング)
・オームの法則を正しく理解する。eは抵抗の両端子電圧の差であることを理解する。
・ダイオードの電圧-電流特性を説明できる.
・ダイオードを用いた回路各部の電位,電位の状態,電圧を読み取ることができる.
・ダイオードを用いた回路の等価回路を求めることができる.
・ダイオードを用いた回路の等価回路から出力電圧の式を求めることができる.
・LED点灯回路に成り立つ式を求めることができる.
3週 ・オペアンプ増幅回路
・トランジスタ(1)(アクティブラーニング)
・オペアンプの種類,特徴を理解し,目的に合ったものを選択できる。
・トランジスタの用途について説明できる.
・不純物半導体の組み合わせによって2種類のトランジスタがあることを説明できる.
・エミッタ接地NPNトランジスタ回路におけるキャリヤの動きを説明できる.
・エミッタ接地NPNトランジスタ回路における各部の電流の流れ方を説明できる.
4週 ・オペアンプ増幅回路
・トランジスタ(2)(アクティブラーニング)
・オペアンプの基本増幅回路について理解する。
・スイッチング回路の用途について説明できる.
・トランジスタを用いてスイッチング回路を実現できることを説明できる.
・NPNトランジスタを用いたスイッチング回路を設計することができる.
5週 ・オペアンプ増幅回路
・電源回路とスイッチング回路(1)(実験)
・オペアンプの基本増幅回路について理解する。
・平滑化された全波整流波形を観測し,リップルの最大値と最小値を測定できる.
・直流分を含む周期的な2つの電圧波形を同期を取って測定するためにオシロスコープを使うことができる.
・実験結果に基づき,平滑回路の静電容量とリップルの関係を説明できる.
・実験結果に基づき,三端子レギュレータで適切な出力を得るための入力電圧の条件を説明できる.
6週 ・オペアンプ増幅回路
・電源回路とスイッチング回路(2)(実験)
・センサー出力とA/Dコンバータの入力レンジを合わせるための増幅回路が設計できる。
・測定または設計した回路を組み合わせて,定められた動作をする回路の回路図を作成できる.
・作成した回路図に基づき,ブレッドボード上に回路を作製できる.
・トランジスタを用いたスイッチング回路各部の電圧と電流を測定できる.
・外部の回路を制御するためにあらかじめプログラムが書き込まれたマイコンを利用できる.
・電子回路各部の電圧と電流を測定するためにディジタルマルチメータを使うことができる.
・実験結果に基づき,トランジスタがスイッチング動作をしていることを説明できる.
7週 ・各種センサーの原理と仕様
・FET(アクティブラーニング)
・センサの原理を理解し,仕様書を見て選択できる。
・FETの構造について説明できる.
・トランジスタとFETの動作の違いを説明できる.
・Nチャネルエンハンスメント形MOSFETの動作について説明できる.
・FETを用いたスイッチング回路を設計できる.
8週 ・各種センサーの原理と仕様
・音に反応する回路(1)(実験)
・センサの原理を理解し,仕様書を見て選択できる。
・拍手の波形を観測し,最大値と継続時間を測定できる.
・オペアンプを用いた増幅回路の入出力波形を観測できる.
・回路図に基づき,ブレッドボード上に回路を作製できる.
・単発現象を観測するためにオシロスコープを使うことができる.
・実験結果に基づき,オぺアンプを用いた増幅回路を設計できる.
4thQ
9週 ・各種センサーの原理と仕様
・音に反応する回路(2)(実験)
・センサの原理を理解し,仕様書を見て選択できる。
・積分回路の入出力波形を観測できる.
・シュミットトリガ回路の入出力波形を観測できる.
・実験結果に基づき,積分回路の出力と時定数の関係について説明できる.
・実験結果に基づき,シュミットトリガ回路による波形成形について説明できる.
10週 ・各種センサーの原理と仕様
・音に反応する回路(3)(実験)
・センサの原理を理解し,仕様書を見て選択できる。
・作製した回路全体の入出力波形を観測できる.
・回路図に基づき,ブレッドボード上に回路を作製できる.
・単発現象を観測するためにオシロスコープを使うことができる.
・FETを用いたスイッチング回路を設計できる.
・外部の回路を制御するためにあらかじめプログラムが書き込まれたマイコンを利用できる.
11週 ・各種センサーの原理と仕様
・光センサを用いた通過カウンタ(1)(実験)
・センサの原理を理解し,仕様書を見て選択できる。
・光センサの送受信素子間の距離を変化させたときの特定を測定できる.
・出力が変化した瞬間のボルテージコンパレータにおける入出力波形を測定できる.
・さまざまな条件の下で回路の動作を観察することができる.
・回路図に基づき,ブレッドボード上に回路を作製できる.
・電子回路各部の電圧と電流を測定するためにディジタルマルチメータを使うことができる.
・単発現象を観測するためにオシロスコープを使うことができる.
・実験結果に基づき,ボルテージコンパレータの動作について説明できる.
12週 ・アナログとデジタル,二進数
・光センサを用いた通過カウンタ(2)(実験)
・アナログとデジタル,二進数を理解する。
・出力が変化した瞬間のシュミット回路における入出力波形を測定できる.
・さまざまな条件の下で回路の動作を観察することができる.
・定められた条件で単安定マルチバイブレータを動作させることができる.
・回路図に基づき,ブレッドボード上に回路を作製できる.
・電子回路各部の電圧と電流を測定するためにディジタルマルチメータを使うことができる.
・単発現象を観測するためにオシロスコープを使うことができる.
・実験結果に基づき,シュミット回路の動作について説明できる.
・実験結果に基づき,単安定マルチバイブレータの動作について説明できる.
13週 ・ナイキストのサンプリング定理
・順列,組み合わせ,確率の基礎
・和事象・積事象
・ナイキストのサンプリング定理を理解する。エイリアシング誤差を理解する。
・順列や組み合わせ,およびそれらを用いた基本的な確率計算を理解し,計算課題を解くことができる.
・和事象や積事象に関する確率計算を理解し,計算課題を解くことができる.
14週 ・A/Dコンバータの仕様
・復元・非復元抽出
・ベイズの定理
・A/Dコンバータの仕様について理解し,A/Dコンバータを利用するための知識を身につける.
・復元抽出,非復元抽出に関する確率計算を理解し,計算課題を解くことができる.
・ベイズの定理を用いた確率計算を理解し,計算課題を解くことができる.
15週 ・A/Dコンバータの誤差 ・A/Dコンバータの誤差について理解し,測定精度について限界を理解する。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術工学実験技術物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12
専門的能力分野別の専門工学情報系分野その他の学習内容トランジスタなど、ディジタルシステムで利用される半導体素子の基本的な特徴について説明できる。4後1,後2,後3,後4,後5
分野別の工学実験・実習能力情報系分野(実験・実習能力)情報系分野(実験・実習能力)与えられた仕様に合致した組合せ論理回路や順序回路を設計できる。3
論理回路などハードウェアを制御するのに最低限必要な電気電子測定ができる。4

評価割合

報告書発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力800000080
専門的能力200000020
分野横断的能力0000000