情報数学I

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 情報数学I
科目番号 0071 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 情報工学科 対象学年 2
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 小倉久和「はじめての離散数学」近代科学社
担当教員 北越 大輔

到達目標

1.集合論の基礎を理解し,集合を適切に表記したり集合の演算を行うことができる.
2.集合における関係と写像について理解し,論理的な考え方に役立てることができる.
3.文法に基づく式の導出について理解し,式の構造を適切な表記法を用いて文法として定義できる.
4.文を論理記号で表現でき,論理式の変換や真理値表を用いて論理構造の理解や証明に役立てることができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
集合論の基礎を理解し,集合を表記したり集合の演算を行うことができる.集合論の基礎を理解し,集合を適切に表記したり複合的な集合の演算を行うことができる.集合の考え方を理解し,簡単な集合を適切な記法で表現するとともに,集合の演算ができる.集合の考えかたについて説明できる.基本的な集合の演算ができる.集合の考えかたについて説明できない.集合の演算ができない.
関係と写像について理解し,応用できる.集合における関係と写像について理解し,論理的な考え方に役立てることができる.関係と写像の概念について説明できる.関係や写像を式や図で表記する手法を理解しており,適切な表記法を用いて表現できる.関係や写像の概念を説明できる.関係や写像を適切に表記できる.関係や写像の概念を説明できない.集合間の関係や写像を適切に表記できない.
文法に基づく式の導出を理解し,式の構造を文法として定義できる.文法に基づく式の導出について理解し,式の構造を適切な表記法を用いて文法として定義できる.式と文法の関係について説明できる.ある式が文法によって生成可能かどうか適切に判断できる.式と文法の関係について説明できる.簡単な式であれば与えられた文法によって生成可能かどうか適切に判断できる.与えられた式がある文法によって生成可能かどうか適切に判断できない.
文を論理記号で表現でき,論理構造の理解や証明に応用できる.文を論理記号で表現でき,論理式の変換や真理値表を用いて論理構造の理解や証明に役立てることができる.複合的な論理演算ができ,論理式を真理値表で表現できる.基本的な論理演算ができ,論理式を真理値表で表現できる.簡単な論理演算ができない.論理式を真理値表で適切に表現できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
情報科学全般の基礎となる離散数学の代表的な概念,記法,論法について学び,論理的思考を身につけることを目的とする.内容は,集合,写像,関係,再帰,命題論理,ブール代数の初歩の概説である.
授業の進め方・方法:
毎回の講義時間内で,各単元についての説明と,その内容に関する理解を深めるための課題演習を行う.また,必要に応じて適宜小テストを行う.
注意点:
授業には必ず教科書を持ってくること.復習をしっかり行い,提出が必要な課題は必ず期限までに提出すること.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 授業全体に関するガイダンス.集合の記法,性質に関する導入. 本科目で学ぶ内容の位置づけを把握する.集合に関する簡単な記述ができる.
2週 集合の簡単な演算.全体集合,部分集合の概念,及びベン図を用いた集合の表現方法. 集合の簡単な演算ができる.ベン図を理解し,集合をベン図で表現できる.
3週 全称記号と存在記号.直積,べき集合,無限集合. 直積,べき集合,無限集合について理解し,簡単な計算問題を解くことができる.
4週 関係,関係と部分集合,関係グラフ,関係の合成. 関係,関係と部分集合,関係の合成について理解し説明できる.
5週 反射律,対称律,推移律,反対称律,同値関係. 反射率,対称律,推移率のそれぞれについてその概念を説明できる.
6週 写像の定義、全射,単射,全単射.及び逆写像. 写像の考え方と,全射,単射,全単射,逆写像について説明できる.
7週 写像の合成,恒等写像,写像のグラフによる表現.関係と写像のまとめ. 写像の合成,恒等写像について理解する.また写像をグラフで表現できる.
8週 中間試験
4thQ
9週 半順序関係,全順序関係,辞書式順序. 半順序関係,全順序関係の違いが説明できる.また,ある集合の要素について辞書式順序で並べることができる.
10週 文法と式の生成. 式と,式を生成するための文法の概念について理解する.
11週 BNF記法と導出木. 文法をBNF記法で表記できる.文法からの式の導出について導出木で表記できる.
12週 命題論理の基礎,文の記号化と論理式. 簡単な論理構造の分を論理式で表現できる.また,その真理値表を適切に表記できる.
13週 論理式の和積標準形と積和標準形,式の恒真性と充足可能性. 論理式を和関標準形と積和標準形で表現できる.式が恒真か充足可能か判別できる.
14週 ブール代数の基礎とブール代数の性質. ブール代数の基礎について理解し,説明できる.
15週 期末試験対策・総復習 科目全体を振り返り,各単元について十分に理解し,計算などに応用できる.
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野情報数学・情報理論集合に関する基本的な概念を理解し、集合演算を実行できる。4前1,前2,前3,後1,後2,後3
集合の間の関係(関数)に関する基本的な概念を説明できる。4前4,前5,前6,前7,前9,後4,後5,後6,後7,後9
ブール代数に関する基本的な概念を説明できる。4前14,後14
論理代数と述語論理に関する基本的な概念を説明できる。4前12,前13,後12,後13
離散数学に関する知識をアルゴリズムの設計、解析に利用することができる。2前10,前11,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14

評価割合

試験課題・小テストその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力80200000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000