情報工学科実験実習Ⅴ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 情報工学科実験実習Ⅴ
科目番号 0101 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 情報工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 4
教科書/教材 WEBによる教材の提供,小坂敏文,吉本定伸 共著,『はじめての応用数学 ラプラス変換・フーリエ変換編』,近代科学社
担当教員 松林 勝志,吉本 定伸,西村 亮

到達目標

情報工学の専門分野における内容として
1.ライントレーサ作製に必要な回路の設計,特性の測定ができる.
2.回路図,部品表,実装図を作成したうえで回路を実装し,動作を検証することができる.
3.マイコンの各種機能を用いたプログラムを作製することができる.
4.ハードウェアとソフトウェアを組み合わせ,マイコン制御によるライントレーサをグループで連携して作製できる.
5.ライントレーサ作製の過程で行った回路の設計,特性の測定,マイコンプログラミングについて,的確な内容で実験報告書を作成できる.
6.制御を中心とした分野で利用される,ラプラス変換に関する概念を理解し計算を行うことができる.
7.信号処理など広い分野で利用される,フーリエ変換に関する概念を理解し計算を行うことができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)最低限到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安(不可)
評価項目1ライントレーサ作製に必要な回路の設計,特性の測定ができ,実験の計画を立案できる.ライントレーサ作製に必要な回路の設計と特性の測定ができる.教員等の助言を受けながら,ライントレーサ作製に必要な回路の設計と特性の測定ができる.教員等の助言を受けても,ライントレーサ作製に必要な回路の設計や特性の測定ができない.
評価項目2回路図,部品表,実装図を作成したうえで回路を実装し,動作を検証することができる.回路図,部品表,実装図を作成したうえで回路を実装できる.また,回路の実装が十分にできなくても,動作の検証をすることができる.教員等の助言を受けながら,回路図,部品表,実装図を作成したうえで回路を実装できる.また,回路の実装が十分にできなくても,動作の検証をすることができる.教員等の助言を受けても,回路図,部品表,実装図の作成,回路の実装,動作の検証ができない.
評価項目3マイコンのI/Oポート,シリアル通信,タイマ機能,A/D変換器を用いたプログラムを作製することができる.マイコンのI/Oポート,シリアル通信,タイマ機能,A/D変換器のうち,過半数の機能を用いたプログラムを作製することができる教員等の助言を受けながら,マイコンのI/Oポート,シリアル通信,タイマ機能,A/D変換器のうち,過半数の機能を用いたプログラムを作製することができる. 教員等の助言を受けても,マイコンのI/Oポート,シリアル通信機能,タイマ機能, 教員等の助言を受けても,マイコンのI/Oポート,シリアル通信,タイマ機能,A/D変換器のごく一部の機能を用いたプログラムしか作成できない.
評価項目4ハードウェアとソフトウェアを組み合わせ,マイコン制御によるライントレーサをグループで連携して作製できる.マイコン制御によるライントレーサの作製において,グループ内で一定の役割を果たすことができる.グループメンバ等の助言を受けながら,マイコン制御によるライントレーサの作製において,グループ内で一定の役割を果たすことができる.グループメンバ等の助言を受けても,マイコン制御によるライントレーサの作製において,グループ内で一定の役割を果たすことができない.
評価項目5回路の設計と特性測定,マイコンの各機能を用いたプログラム作製について,実験方法,測定回路,プログラム作製条件,測定結果,作製したプログラムを十分に記述した実験報告書を作成することができる.回路の設計と特性測定,マイコンの各機能を用いたプログラム作製について,実験方法,測定回路,プログラム作製条件,測定結果,作製したプログラムをおおむね記述した実験報告書を作成することができる.回路の設計と特性測定,マイコンの各機能を用いたプログラム作製について,実験方法,測定回路,プログラム作製条件,測定結果,作製したプログラムを最低限度に記述した実験報告書を作成することができる.回路の設計と特性測定,マイコンの各機能を用いたプログラム作製について,実験方法,測定回路,プログラム作製条件,測定結果,作製したプログラムを最低限度に記述した実験報告書を作成することができる.
評価項目6ラプラス変換に関連する基本的な概念を理解し,必要な計算を行い課題を提出することができる。ラプラス変換に関連する基礎的な計算を行い,課題を提出することができる。ラプラス変換に関連する簡単な計算を行い,課題を提出することができる。課題を提出できない。
評価項目7フーリエ変換に関連する基本的な概念を理解し,必要な計算を行い課題を提出することができる。フーリエ変換に関連する基礎的な計算を行い,課題を提出することができる。フーリエ変換に関連する簡単な計算を行い,課題を提出することができる。課題を提出できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
授業時には取り扱うことのできない規模のプロジェクト的な実験に取り組む.これを通じて,関連する各科目の理解をより深めるとともに,トラブルシューティングや問題解決の手法を経験する.また,得られた知識を実践の場に応用する力を養う.
情報工学分野はもちろん工学に関連の深い内容を取り扱い,より専門的で幅広い知識やスキルを身につける.
授業の進め方・方法:
グループ作業により,ライントレーサを完成させる.その過程において,電子回路の特性測定,回路の作製,マイコンプログラミング,マイコンで制御された回路の特性測定,図面の作成,報告書の作成を適宜行う.
各回で完結する内容や複数回にわたって行われる課題もあり,内容により授業,演習,実験形式で行われる.教師室や電算室,実験室など状況に応じて実施場所が異なる.
注意点:
多岐にわたる作業を互いに連携して行う.その過程で情報を共有し,全員で必要となる知識を共有しなければならない.電子回路の特性測定やそのための実験計画については全員で行う.また,次回に行う実験に備えた予習と復習が必要である.
課題等の提出物は設定された締切までに提出すること.予習や自学自習を取り入れ取り組むこと.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ラプラス変換(1)
 制御系解析の方法,伝達関数,演習
フーリエ変換(1)
 ベクトルの内積と直交.正弦波と直交関数,演習
伝達関数について理解できる.

直交関係について理解できる.
2週 ラプラス変換(2)
 基本要素の伝達関数,演習
フーリエ変換(2)
 実フーリエ級数と係数,演習
基本要素の伝達関数を理解できる.

実フーリエ級数,係数について理解できる.
3週 ラプラス変換(3)
 基本要素の伝達関数,演習
フーリエ変換(3)
 複素数と複素フーリエ級数と係数,演習
基本要素の伝達関数について理解できる.

複素数フーリエ級数,係数について理解できる.
4週 ラプラス変換(4)
 過渡応答,演習
フーリエ変換(4)
 複素フーリエ級数とフーリエ変換,演習
過渡応答について実際の事例に重ねて理解できる.

フーリエ変換について理解できる.
5週 ラプラス変換(5)
 周波数応答,演習
フーリエ変換(5)
 フーリエ変換の性質,演習
周波数応答について実際の事例に重ねて現象を理解できる.

基本的なフーリエ変換の性質について理解できる.
6週 ラプラス変換(6)
 周波数応答,演習
フーリエ変換(6)
 専門分野のフーリエ変換,演習
周波数応答について実際の事例に重ねて現象を理解できる.

専門分野におけるフーリエ変換について理解できる.
7週 ライントレーサ(1)
 ライントレーサの概要
 線検出回路の特性測定準備
本実験で作製するライントレーサの概要を説明できる.
センサ基板を作製してシャーシに取り付け,特性測定を行えるようにする.
8週 ライントレーサ(2)
 線検出回路の特性測定
フォトトランジスタを利用した線検出回路の特性を測定できる.
2ndQ
9週 ライントレーサ(3)
 図面類の作成
 基本プログラミング
回路図,実装図,部品表を定められた規定に準じて作成できる.
I/Oポート,シリアル通信およびタイマ割り込みを利用したマイコンのプログラムを作成できる.
10週 ライントレーサ(4)
 基板の作製
 応用プログラミング
主基板,マイコン基板,電源基板を作製できる.
A/D変換器およびタイマのPWMモードを利用したマイコンのプログラムを作成できる.
11週 ライントレーサ(5)
 A/D変換を利用した線検出
これまでに作成した回路とマイコンを利用して,A/D変換を利用した線検出を行い,その特性を測定することができる.
12週 ライントレーサ(6)
 PWM制御
これまでに作成した回路とマイコンを利用して,モータのPWM制御を行い,その挙動を測定することができる.
13週 ライントレーサ(7)
 ライントレーサプログラミング
ライントレーサを制御するプログラムの作製およびハードウェアの調整を行うことができる.
14週 ライントレーサ(8)
 タイムトライアル
ライントレーサを完成させ,所定のコースを走行させることができる.
15週
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野プログラミング与えられた問題に対して、それを解決するためのソースプログラムを記述できる。4前9,前10,前13
ソフトウェア生成に必要なツールを使い、ソースプログラムをロードモジュールに変換して実行できる。4前9,前10,前13
要求仕様に従って、標準的な手法により実行効率を考慮したプログラムを設計できる。4前9,前10,前13
要求仕様に従って、いずれかの手法により動作するプログラムを設計することができる。4前9,前10,前13
要求仕様に従って、いずれかの手法により動作するプログラムを実装することができる。4前9,前10,前13
要求仕様に従って、標準的な手法により実行効率を考慮したプログラムを実装できる。4前9,前10,前13

評価割合

提出物等合計
総合評価割合100100
基礎的能力00
専門的能力100100
分野横断的能力00