画像認識工学

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 画像認識工学
科目番号 0112 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 情報工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 WEBによる教材の提供
担当教員 鈴木 雅人

到達目標

基本的な画像処理の方法を学ぶとともに、画像を認識・理解するための基本的な手法を理解する。具体的には下記の内容ができるようになることを目標とする。
・ビット演算の概念を理解し,簡単な画像処理・画像認識プログラムを作ることができる.
・与えられた課題に対するプログラムを実装することができる.
・数学に基づく評価式を検討し,実装することができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)最低限到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安(不可)
ビット演算の概念を理解し,簡単な画像処理・画像認識プログラムを作ることができる効率的な画像処理・認識方法を自ら検討し実装することができる与えられた方法を理解し,画像処理・認識プログラムを実装できる与えられた方法をプログラムとして実装することができる。与えられた手法の基本的事項が理解できず、プログラムも完成させることができない。
与えられた課題に対するプログラムを実装することができる.効率よく課題を実現するための手法を自ら検討し実装できる。与えられた実現方法に基づきプログラムを実装できる。プログラムを完成させることができる。プログラムを完成させることができない。
数学に基づく評価式を検討し,実装することができる自ら評価式を検討し,効率的に課題を実現するプログラムを作ることができる与えられた評価式を理解し,それに基づきプログラムを実装することができる与えられた評価式をプログラムとして実装することができる。評価式の意味を理解することが出来ず、プログラムとして実装することもできない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
人間が日常的に行っている知的活動をコンピュータに完全に代行させることは不可能である。本講義では,パタン認識の課題を取り上げ,直感的手法に基づく自動認識には限界があることを学び,多変量解析やニューラルネットワークに基づく認識手法の学習を通して,知識情報分野における数学の役割を理解する.
授業の進め方・方法:
最終的な課題及びその一般的な実現方法を解説した上で,それを実現するための小課題(ニューラルネットワークの部分は除く)を提示する.小課題は基本的に授業以外の学習時間を使い,各自が考えてプログラムを作成する.また課題全体が完成した時点で,作成したプログラムの性能評価実験を行い,実装したアルゴリズムの問題点について考察を行う.また,それらの理解度は定期試験により確認する.
注意点:
課題等の提出物は設定された締切までに提出すること.課題等が全て提出されていることが単位認定の最低条件である.
C言語のプログラムは一通り書けることを前提に授業を進めるので,プログラミング言語については十分に復習しておくこと.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 画像処理・認識の概要
画像を処理すること.内容を理解するために認識処理することの基本的な考え方を学ぶ.
本授業の目標および概要を理解できる.
2週 ビット演算と画像処理
演習によりビット演算を用いた画像の取扱について学ぶ
ビット演算の概念を理解できる.
3週 画像表示プログラムの作成
簡単な画像を対象として,プログラムによる画像の表示のためのデータの取り扱いを学ぶ.
プログラムで画像を扱い,表示することができる.
4週 前処理
画像内の物体に対する特徴を抽出するために前処理の必要性を理解し,プログラムを実装する.
ビット演算を用いて簡単な前処理プログラムが作成できる.
5週 特徴抽出
画像理解の第一歩として,画像内の物体から特徴を抽出する手法を学びプログラムを実装する。
簡単な前処理プログラムが作成できる.
6週 識別処理
画像から抽出された特徴量を用いて識別を行う基本的な考え方を学ぶ.また距離の三公理について学ぶ.
距離の三公理,識別処理の考え方を理解し,識別関数が距離の三公理を満たしていることを示すことができる.
7週 主成分分析1
識別関数の設計において主成分分析の重要性を理解し,主成分を計算するプロセスを学ぶ.
主成分分析の考え方及び主成分を計算するプロセスが理解できる.
8週 主成分分析2
変分問題の解法としてラグランジュの未定係数法を学び,主成分分析に適用方法を学ぶ.
ラグランジュの未定係数法を理解できる.主成分分析によって得られた解の物理的意味が理解できる.
4thQ
9週 マハラノビス距離
マハラノビス距離の概念を理解し,Jacobi法をはじめとする,マハラノビス距離に必要なプログラム一式を実装し,その効果を実験により検証する.
マハラノビス距離の概念や式の構造が理解できる.Jacobi法のアルゴリズムを理解し実装できる.
10週 パーセプトロン
ニューラルネットワークの基本概念であるパーセプトロンについて学ぶ.
パーセプトロンの基本概念を理解できる.
11週 WidrowHoffの学習規則
WidrowHoffの学習規則により識別処理が実現できることを学ぶ.
WidrowHoffの学習規則の識別処理の過程を説明することができる.またパーセプトロンとの違いについて説明できる.
12週 ニューラルネットワーク1
ニューラルネットワークの基本構成及び重みの更新式を学び,誤差逆伝搬法について学習する.
ニューラルネットワークの基本構成が説明できる.重みの更新式の導出ができる.誤差逆伝搬法を説明できる.
13週 ニューラルネットワーク2
隠れ層の活性化関数の設計法及び重みの学習法を学ぶ.局所最適解を避ける手法を学ぶ.
隠れ層の重みの更新式が導出できる.隠れ層の活性化関数に適した関数を理由とともに説明できる.局所最適解を避けるための手段が説明できる.
14週 ディープラーニング,畳み込みニューラルネットワーク及び付随する基本概念について学ぶ.また,それらを用いた現在の技術について学ぶ. ディープラーニング,畳み込みニューラルネットワークについて説明できる.またそれらに付随する重要概念を説明できる.
15週
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野情報数学・情報理論コンピュータ上で数値計算を行う際に発生する誤差の影響を説明できる。4後9
その他の学習内容メディア情報の主要な表現形式や処理技法について説明できる。4後2
ディジタル信号とアナログ信号の特性について説明できる。2後1
情報を離散化する際に必要な技術ならびに生じる現象について説明できる。2後1

評価割合

定期試験課題合計
総合評価割合9010100
基礎的能力20020
専門的能力701080
分野横断的能力000