情報工学科実験実習Ⅵ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 情報工学科実験実習Ⅵ
科目番号 0123 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 情報工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 6
教科書/教材 実験指導書配布 やさしい機械制御,金子敏夫,日刊工業新聞社
担当教員 松林 勝志,西村 亮

到達目標

1.ライントレーサ作製に必要な回路の設計,特性測定のための実験計画,特性の測定ができる.
2.回路図,部品表,実装図を作成したうえで回路を実装し,動作を検証することができる.
3.マイコンの各種機能を用いたプログラムを作製することができる.
4.ハードウェアとソフトウェアを組み合わせ,マイコン制御によるライントレーサをグループで連携して作製できる.
5.ライントレーサ作製の過程で行った回路の設計,特性の測定,マイコンプログラミングについて,的確な内容で実験報告書を作成できる.

基本要素の伝達関数を理解し,制御系をブロック線図で表現できる。
過渡応答を理解し,基本要素の過渡応答を求めグラフに描くことができる。
周波数応答を理解し,基本要素のボード線図を描くことができる。
フィードバック制御系の安定性について理解し,作図して評価することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1ライントレーサ作製に必要な回路の設計,特性測定のための実験計画,特性の測定ができる.ライントレーサ作製に必要な回路の設計と特性の測定ができる.教員等の助言を受けながら,ライントレーサ作製に必要な回路の設計と特性の測定ができる.教員等の助言を受けても,ライントレーサ作製に必要な回路の設計や特性の測定ができない.
評価項目2回路図,部品表,実装図を作成したうえで回路を実装し,動作を検証することができる.回路図,部品表,実装図を作成したうえで回路を実装できる.また,回路の実装が十分にできなくても,動作の検証をすることができる.教員等の助言を受けながら,回路図,部品表,実装図を作成したうえで回路を実装できる.また,回路の実装が十分にできなくても,動作の検証をすることができる.教員等の助言を受けても,回路図,部品表,実装図の作成,回路の実装,動作の検証ができない.
評価項目3マイコンのI/Oポート,シリアル通信機能,タイマ機能,A/D変換器を用いたプログラムを作製することができる.マイコンのI/Oポート,シリアル通信機能,タイマ機能,A/D変換器のうち,過半数の機能を用いたプログラムを作製することができる.教員等の助言を受けながら,マイコンのI/Oポート,シリアル通信機能,タイマ機能,A/D変換器のうち,過半数の機能を用いたプログラムを作製することができる.教員等の助言を受けても,マイコンのI/Oポート,シリアル通信機能,タイマ機能,A/D変換器のごく一部の機能を用いたプログラムしか作成できない.
評価項目4ハードウェアとソフトウェアを組み合わせ,マイコン制御によるライントレーサをグループで連携して作製できる.マイコン制御によるライントレーサの作製において,グループ内で一定の役割を果たすことができる.グループメンバ等の助言を受けながら,マイコン制御によるライントレーサの作製において,グループ内で一定の役割を果たすことができる.グループメンバ等の助言を受けても,マイコン制御によるライントレーサの作製において,グループ内で一定の役割を果たすことができない.
評価項目5回路の設計と特性測定,マイコンの各機能を用いたプログラム作製について,実験方法,測定回路,プログラム作製条件,測定結果,作製したプログラムを十分に記述した実験報告書を作成することができる.回路の設計と特性測定,マイコンの各機能を用いたプログラム作製について,実験方法,測定回路,プログラム作製条件,測定結果,作製したプログラムをおおむね記述した実験報告書を作成することができる.回路の設計と特性測定,マイコンの各機能を用いたプログラム作製について,実験方法,測定回路,プログラム作製条件,測定結果,作製したプログラムを最低限度に記述した実験報告書を作成することができる.回路の設計と特性測定,マイコンの各機能を用いたプログラム作製について,実験方法,測定回路,プログラム作製条件,測定結果,作製したプログラムを記述した実験報告書を作成することができない.
基本要素の伝達関数を理解し,制御系をブロック線図で表現できる。すべての基本要素の伝達関数を理解し,機械系の運動方程式や電気系の回路について,伝達関数を求めたり,ブロック線図で表現できる。すべての基本要素の伝達関数を理解し,説明できる。簡単な運動や回路について伝達関数やブロック線図で表現できる。基本要素の伝達関数を説明できる。基本要素の伝達関数を説明できない。
過渡応答を理解し,基本要素の過渡応答を求めグラフに描くことができる。すべての基本要素のインパルス応答,ステップ応答,ランプ応答を求め,グラフに描くことができる。すべての基本要素のステップ応答を求め,グラフに描くことができる。基本要素の過渡応答を説明できる。基本要素の過渡応答を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 授業時には取り扱うことのできない規模のプロジェクト的な実験に取り組む.これを通じて,関連する各科目の理解をより深めるとともに,トラブルシューティングや問題解決の手法を経験する.また,得られた知識を実践の場に応用する力を養う.

すべての機械は制御されなければ役に立たない。組み込み開発を担う情報系技術者にとって,制御工学の実際を学ぶことは避けて通ることはできない。本授業では,古典制御理論の基礎を講義で学習し,演習問題も解きながら習得する。
授業の進め方・方法:
 グループ作業により,ライントレーサを完成させる.その過程において,必要となる電子回路の設計,電子回路の特性測定,特性測定のための実験計画,回路の製作,マイコンプログラミング,図面の作成,基板パターン設計,報告書の作成を適宜行う.

通常の講義形式で授業を進める。ノートを取る時間を確保する。後から見返したときに理解の助けとなるような板書をする。小テストを不定期に実施する。試験前に学習状況の確認のため,ノートを集める。但しノートは自由提出とする。
注意点:
 多岐にわたる作業を互いに連携して行う.その過程で情報を共有し,全員で必要となる知識を共有しなければならない.電子回路の特性測定やそのための実験計画については全員で行う.また,次回に行う実験に備えた予習と復習が必要である.

授業の予習復習及び,各章末問題の演習に対しては、自学自習により取組み学習すること。レポート等は加点方式で成績に加味される。最大で評価の30%をノートや小テスト・レポート点で確保することができる。その場合,70%が定期試験が占める割合となる。ノートは自由提出であり,提出しない場合はノート点がないが試験でその分の点数を取ることができる。すなわち,定期試験の評価に占める割合が高くなる。欠席等による小テストの再テストは実施しない(定期試験で取り返せるため)。最終の定期試験が40点に足らなくても,通年の評価で60点を超えた場合は合格となる。但し,最終定期試験が40点を下回って合格した場合は,通年の評価点数にかかわらずC評価とする。通年の評価がDであり最終定期試験が40点に満たない場合は再試験は実施しない。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ライントレーサの概要
線検出回路設計の準備
線検出回路の設計と特性測定
本実験で作製するライントレーサの概要をまとめる.
センサ基板を仮作製してシャーシに取り付け,特性測定を行えるようにする.
フォトトランジスタの特性を測定するための実験を計画し,実行する.
2週 線検出回路の設計と特性測定
モータドライバ回路の設計および特性測定
フォトトランジスタの特性を測定した結果に基づいて,線検出回路を設計する.
モータドライバ回路を設計し,負荷特性および入出力特性を測定する.
3週 その他の回路の設計
電源基板のパターン設計
図面の作成
各種LED点灯回路を設計する.
電源基板のパターンを設計する.
回路図,実装図,部品表の作成する.
4週 基板の作製(1) 主基板,マイコン基板,電源基板を作製する.
5週 基板の作製(2)
マイコンプログラミング(1)
主基板,マイコン基板,電源基板を完成させる.
H8マイコンを用いて,I/Oポートおよびタイマ割り込みを利用するプログラムを作製する.
6週 マイコンプログラミング(2)
ライントレーサプログラミング
H8マイコンを用いてA/D変換器およびタイマによるPWM出力を利用するプログラムを作製する.
ライントレーサを制御するプログラムの作製およびハードウェアの調整を行う.
7週 ライントレーサプログラミング
タイムトライアル
ライントレーサを制御するプログラムの作製およびハードウェアの調整を行う.
ライントレーサを完成させ,所定のコースを走行させる.
8週 機械制御とは フィードバック制御の歴史を理解する。
自動制御とその種類について理解する。
4thQ
9週 制御系解析の方法 ラプラス変換を理解する。
ラプラス逆変換を理解する。
10週 制御系解析の方法 線形・非線形を理解する。
伝達関数の概念について理解する。
11週 基本要素の伝達関数 比例要素,積分要素,微分要素の伝達関数について理解する。
一次遅れ要素の伝達関数について理解する。
12週 基本要素の伝達関数
ブロック線図の等価変換
二次遅れ要素,無駄時間要素の伝達関数について理解する。
ブロック線図の基本結合則と等価変換について理解する。
13週 ブロック線図の等価変換
過渡応答
ブロック線図をモータの制御に応用する方法について理解する。
比例要素,積分要素,微分要素の過渡応答を理解する。
14週 過渡応答 一次遅れ要素の過渡応答について理解する。
二次遅れ要素の過渡応答について理解する。
15週
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3前12,後1,後2
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3後1,後2,後4,後5
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3後2
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3後2
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3後1,後2,後4,後5
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3後2
専門的能力分野別の専門工学情報系分野プログラミング与えられた問題に対して、それを解決するためのソースプログラムを記述できる。4後5,後6,後7
ソフトウェア生成に必要なツールを使い、ソースプログラムをロードモジュールに変換して実行できる。4後5,後6,後7
与えられたソースプログラムを解析し、プログラムの動作を予測することができる。4後5,後6,後7
分野別の工学実験・実習能力情報系分野【実験・実習能力】情報系【実験・実習】与えられた問題に対してそれを解決するためのソースプログラムを、標準的な開発ツールや開発環境を利用して記述できる。3前9,前11,後5,後6,後7
ソフトウェア生成に利用される標準的なツールや環境を使い、ソースプログラムをロードモジュールに変換して実行できる。3前9,前11,後5,後6,後7
ソフトウェア開発の現場において標準的とされるツールを使い、生成したロードモジュールの動作を確認できる。3前9,前11,後5,後6,後7
問題を解決するために、与えられたアルゴリズムを用いてソースプログラムを記述し、得られた実行結果を確認できる。3後5,後6,後7

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ実験報告書進捗報告書図面類タイムトライアル合計
総合評価割合0000064121212100
基礎的能力0000064121212100
専門的能力0000000000
分野横断的能力0000000000