基礎電子工学

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 基礎電子工学
科目番号 0146 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 情報工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 藤本 晶「基礎電子工学」
担当教員 水戸 慎一郎

到達目標

・真空中における電子の古典的振る舞いについて理解している.
・固体中における電子の古典的振る舞いについて理解している.
・半導体デバイスの原理と特性について基礎的なことを理解している.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 電磁界中の電子電磁界中における電子の振る舞いを十分に理解している.電磁界中における電子の振る舞いを理解している.電磁界中における電子の振る舞いを理解していない.
評価項目2 固体中の電子固体中における電子の取り扱いを十分に理解している.固体中における電子の取り扱いを理解している.固体中における電子の取り扱いを理解していない.
評価項目3 p-n接合p-n接合の整流作用を十分に理解している.p-n接合の整流作用を理解している.p-n接合の整流作用を理解していない.
評価項目4 バイポーラトランジスタバイポーラトランジスタの動作を十分に理解している.バイポーラトランジスタの動作を理解している.バイポーラトランジスタの動作を理解していない.
評価項目4 MOSFETMOSFETの動作を十分に理解している.MOSFETの動作を理解している.MOSFETの動作を理解していない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電子の流れ(電流)には,「エネルギー」と「信号」を高速,簡便,かつ正確に伝えられるという極めて有用な特徴があります.
電子工学は,この電子の流れを精密に制御する手法を開発し,応用する学問です.
電子の流れを制御することで,あらゆる電気機器の制御が可能になるだけでなく,遠方と情報のやり取りをしたり,
機械に自律的な判断をさせたりすることが可能になりました.
20世紀後半から現在に至るまでの工学的進歩には,電子工学の発展が大きく関わっています.
一方で,電子工学の成果であるトランジスタやLED等の素子は,従来の機械的スイッチや電球と違った性質があり,
正しく使用するには原理を踏まえた知識が必要です.
そこで本講義では,初めて電子工学を学ぶ人を想定し,電子の振る舞いと電子デバイスについて基礎的な解説を行います.
授業の進め方・方法:
座学を基本とし,適宜課題を課します.
注意点:
運動の状態を考える上で,物理の力学の知識があること.
電界・磁界についての基礎的な知識があること.
この科目は学習単位科目のため,授業の予習・復習及び演習については自学自習を心がけること.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 電子工学の概要説明 電子工学を学ぶ意義、応用等について理解する。
2週 電磁界中の電子 電磁界中の電子の振る舞いについて理解し,計算できる.
3週 電磁界中の電子 電磁界中の電子の振る舞いについて理解し,計算できる.
4週 原子中の電子 水素原子を例に,電子の振る舞いを理解している.
5週 固体中の電子 エネルギーバンドを利用して,固体中の電子の振る舞いを理解している.
6週 固体中の電子 エネルギーバンドを利用して,固体中の電子の振る舞いを理解している.
7週 キャリア密度と電気伝導度 キャリア密度と電気伝導度の関係を理解し,計算できる.
8週 中間試験
4thQ
9週 p-n接合 p-n接合の整流作用について,バンド図を用いて説明できる.
10週 バイポーラトランジスタ バイポーラトランジスタの動作について,バンド図を用いて説明できる.
11週 MOSFET MOSFETの動作について,断面図を用いて定性的に説明できる.
12週 集積回路 集積回路の種類と特徴について,定性的に説明できる.
13週 光半導体素子 LED等の光半導体素子について,動作原理と特徴を定性的に説明できる.
14週 学習のまとめ
15週 学習のまとめ
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。3後2
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。3
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。3
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。3
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。3
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。3
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。3
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。3
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。3
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。3
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。3
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。3
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。2
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。2
理想変成器を説明できる。2
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。2
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3
電磁気電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。3後3,後6,後7
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。3後3,後6,後7
ガウスの法則を説明でき、電界の計算に用いることができる。3
導体の性質を説明でき、導体表面の電荷密度や電界などを計算できる。3後3
誘電体と分極及び電束密度を説明できる。3
静電容量を説明でき、平行平板コンデンサ等の静電容量を計算できる。3後3
コンデンサの直列接続、並列接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。3
静電エネルギーを説明できる。3後3
磁性体と磁化及び磁束密度を説明できる。3
電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。3
電子回路ダイオードの特徴を説明できる。3
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。3
FETの特徴と等価回路を説明できる。3
利得、周波数帯域、入力・出力インピーダンス等の増幅回路の基礎事項を説明できる。3
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。3
演算増幅器の特性を説明できる。2
電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。3後2,後3
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。3後2
原子の構造を説明できる。3後13
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。3後9,後10,後11,後12
電力三相交流における電圧・電流(相電圧、線間電圧、線電流)を説明できる。2
電源および負荷のΔ-Y、Y-Δ変換ができる。2
対称三相回路の電圧・電流・電力の計算ができる。2
直流機の原理と構造を説明できる。1
誘導機の原理と構造を説明できる。1
同期機の原理と構造を説明できる。1
変圧器の原理、構造、特性を説明でき、その等価回路を説明できる。2
半導体電力変換装置の原理と働きについて説明できる。2
電力システムの構成およびその構成要素について説明できる。1
交流および直流送配電方式について、それぞれの特徴を説明できる。1
電力品質の定義およびその維持に必要な手段について知っている。1
電力システムの経済的運用について説明できる。1
水力発電の原理について理解し、水力発電の主要設備を説明できる。1
火力発電の原理について理解し、火力発電の主要設備を説明できる。1
原子力発電の原理について理解し、原子力発電の主要設備を説明できる。1
その他の新エネルギー・再生可能エネルギーを用いた発電の概要を説明できる。1
電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて説明できる。1
計測計測方法の分類(偏位法/零位法、直接測定/間接測定、アナログ計測/ディジタル計測)を説明できる。2
精度と誤差を理解し、有効数字・誤差の伝搬を考慮した計測値の処理が行える。2
SI単位系における基本単位と組立単位について説明できる。3
計測標準とトレーサビリティの関係について説明できる。3
指示計器について、その動作原理を理解し、電圧・電流測定に使用する方法を説明できる。3
倍率器・分流器を用いた電圧・電流の測定範囲の拡大手法について説明できる。3
A/D変換を用いたディジタル計器の原理について説明できる。3
電圧降下法による抵抗測定の原理を説明できる。3
ブリッジ回路を用いたインピーダンスの測定原理を説明できる。3
有効電力、無効電力、力率の測定原理とその方法を説明できる。1
電力量の測定原理を説明できる。1
オシロスコープの動作原理を説明できる。3

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力000
専門的能力8020100
分野横断的能力000