符号理論

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 符号理論
科目番号 0150 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 情報工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 植松友彦「代数系と符号理論」オーム社
担当教員 小嶋 徹也

到達目標

線形符号の定義と特徴,および生成行列とパリティ検査行列との関連について理解する。
シンドロームとこれを用いた復号法について理解する。
簡単なリード・ソロモン符号の構成および復号法を理解し,手計算で実行できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1線形符号の定義や性質,生成行列とパリティ検査行列と符号語長や符号の次元の関係を説明できる。 線形符号とブロック符号について理解し,線形符号の符号化・復号法が教科書を参考に実行できる。線形符号とブロック符号について理解できず,線形符号の符号化・復号法を実行できない。
評価項目2シンドローム復号法について理解し,実例を用いて説明できる。シンドロームの定義とこれを用いた復号法について資料を参照しながら説明できる。シンドロームの定義やこれを用いた復号法について説明することができない。
評価項目3簡単なリード・ソロモン符号の構成および復号法を理解し,手計算で実行できる。簡単なリード・ソロモン符号の構成および復号法を理解し,資料を参照しながら説明できる。リード・ソロモン符号の構成法や復号法について説明することができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
情報数学Ⅱで学んだ代数系の理論や,線形代数学で学んだ行列の演算を踏まえて,線形符号の定義や構成法,復号法について理解する。また,リード・ソロモン符号やその他の誤り訂正符号について,実例を用いて手計算で符号化および復号化のプロセスをたどることができることを主たる目的とする。
授業の進め方・方法:
授業の一部で,事前に公開された資料や教科書を用いた予習を行ない,授業ではグループによる演習を行なう反転授業を導入する。授業の内容を理解しているかどうか確認するため,毎回簡単な演習問題を課し,提出させる。提出された課題は教員が採点し,原則として次回の授業で返却して解説を行う。この科目は学修単位科目のため,毎回の演習問題に加え,事前・事後学習として、予習・復習を行うこと。定期試験では,原則として毎回の課題に類似した内容の問題を出題し,最終的な定着度を確認する。また,学んだ内容を暗記させることが目的ではなく,資料を参照しながら符号化や復号化を行なうことが目標であるため,定期試験では教科書やその他資料の持ち込みを認める。
注意点:
有限体上の演算,および行列の演算について復習しておくこと。また,毎回授業の最後に演習問題を行う。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 線形代数の復習 線形空間と線形独立性に関する理解度を確認し,GF(2)上の行列演算を行なうことができる。
2週 ブロック符号と線形符号 ブロック符号と線形符号の違いについて説明できる。
3週 双対符号とパリティ検査行列 線形・双対符号の生成行列とパリティ検査行列の役割を理解し,線形符号を組織符号に変換できる。
4週 符号の最小距離 線形符号の最小距離を求めることができる。
5週 線形符号の誤り訂正能力 線形符号の誤り訂正能力を求めることができる。受信語からシンドロームを計算できる。
6週 パリティ検査行列と誤り訂正能力 さまざまな符号についてパリティ検査行列から誤り訂正能力を求め,説明することができる。
7週 シンドローム復号法 シンドロームと標準配列を用いて復号化を実行できる。
8週 代数系の復習 整数や多項式がなす有限体について理解し,有限体上での演算が実行できる。
4thQ
9週 有限体の性質 拡大体と部分体,原始多項式や有限体の表現法について復習する。
10週 リード・ソロモン符号 リード・ソロモン符号の定義について理解し,簡単な符号が構成できる。
11週 RS符号の組織符号化 生成行列における行基本操作などを用いて,リード・ソロモン符号を線形符号に変換できる。
12週 RS符号の復号化原理 リード・ソロモン符号の復号化の方針について資料を見ながら説明できる。
13週 SudanによるRS復号法 Sudanによる復号法を用いて,リード・ソロモン符号の復号化を実行できる。
14週 RS符号の生成行列とパリティ検査行列 符号多項式による誤り位置・誤り値の特定を行ない,リード・ソロモン符号の復号化を実行できる。
15週 期末試験
16週 試験返却,および試験の解説 科目全体を振り返り,各単元について十分に理解し,簡単な例について計算が行えるようになる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3後5,後6,後9,後10,後14
総和記号を用いた簡単な数列の和を求めることができる。3後4,後7
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。2後1,後2,後3,後6,後7,後10,後11,後12,後13,後14
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。2後1,後2,後3,後4,後10,後11,後12,後13,後14
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。2後1,後2,後3
問題を解くために、ベクトルの平行・垂直条件を利用することができる。2後1,後2,後3,後7,後10,後12,後13,後14
行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。2後3,後5,後6,後7,後11,後12,後13,後14
専門的能力分野別の専門工学情報系分野情報数学・情報理論集合に関する基本的な概念を理解し、集合演算を実行できる。3後1,後2,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
集合の間の関係(関数)に関する基本的な概念を説明できる。3後10,後11
ブール代数に関する基本的な概念を説明できる。3後1,後2,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
離散数学に関する知識をアルゴリズムの設計、解析に利用することができる。4
通信路のモデルと通信路符号化について説明できる。4後5,後6,後7,後10

評価割合

試験ポートフォリオ演習問題合計
総合評価割合751015100
基礎的能力50101070
専門的能力250530
分野横断的能力0000