無機化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 平成28年度 (2016年度)
授業科目 無機化学Ⅰ
科目番号 0009 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 ベーシック化学シリーズ1入門無機化学
担当教員 北折 典之

到達目標

無機化学Ⅰは、すべての元素および単体、無機化合物について学習するのが目標である。原子の電子配置と周期律、化学結合と分子の構造、錯体、気体、固体の性質、電気分解、酸塩基、中和などを理解し、基本的な計算問題ができること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1定比例の法則、倍数比例、不定比化合物に関し十分理解し、説明と計算ができる。定比例の法則、倍数比例、不定比化合物を理解し、説明と簡単な計算ができる。定比例の法則、倍数比例、不定比化合物に関し理解が不十分で、説明と計算ができきない。
評価項目2化学の量的関係を理解し、計算問題が十分できること。化学の量的関係を理解し、計算問題が解ける。化学の量的関係を理解し、計算問題がほとんど解けない。
評価項目3気体に関する法則を理解し、計算等の応用問題が解けること。気体に関する法則を理解し、基本的な計算問題ができるくらいに活用できること。気体に関する法則の理解が不十分。
評価項目4ファラデーの電気分解法則を理解し、その応用問題が解ける。ファラデーの電気分解法則を理解し、基本的な問題が十分解ける。ファラデーの電気分解法則の理解が不十分。
評価項目5電気分解に関する応用問題ができる。電気分解に関して、化学反応式で示せる。電気分解の理解が不十分である。
評価項目6中和反応の応用問題が解ける。中和反応を理解し、基本的な問題は十分解ける。中和反応の化学式を正確に示せない。
評価項目7ルシャトリエの原理を理解し、説明できる。応用問題ができる。ルシャトリエの原理を理解し、基本的な問題は十分解ける。ルシャトリエの原理の理解が不十分である。
評価項目8緩衝溶液を説明し、任意のpHの緩衝溶液を計算できる。緩衝溶液を理解し、緩衝溶液に関する計算ができる。緩衝溶液の理解が不十分である。
評価項目9ブレンステッドの酸、塩基の定義を理解し、例を示せること。ブレンステッドの酸、塩基の定義を理解し、簡単な例を示せる。ブレンステッドの酸、塩基の定義を正確に理解していない。
評価項目10周期表を理解し、典型元素、金属等を説明できる。周期表を理解し、典型元素、金属等の簡単な説明ができる。周期表の理解が不十分である。
評価項目11原子番号30までの原子の電子配置が正確に書ける。電子配置の基本的な説明ができる。電子配置の理解が不十分。
評価項目1214族元素の特徴を例を示して解説できる。14族元素の特徴を説明できる。14族の特徴を説明できない。
評価項目133つの酸塩基の定義を例を示して説明できる。3つの酸塩基の定義を説明できる。3つの酸塩基の定義を十分に説明できない。
評価項目14無機化合物の命名法を理解し、自由に活用できる。無機化合物の命名法を理解している。基本的な化合物に関しては正確に命名できる。無機化合物の命名法を十分理解していない。
評価項目15固体の結晶に関して、構造、構成電子数、格子定数等を計算できる。固体の結晶に関して、構造、構成電子数、格子定数等をおおむね計算できる。固体の結晶に関して、構造、構成電子数を求めることが不完全である。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
高校で学ぶ化学のレベルから、一歩上級の化学へのアプローチ的授業。無機化学を通して基礎から応用まで幅広く化学を学ぶ。加えて計算問題を通して理解度を高める。
授業の進め方・方法:
講義と演習
注意点:
化学1の基礎科学を十分理解しておくこと。元素の周期表、原子量を覚えておくこと。予習、復習をしっかりすること。授業の毎に電卓を持参すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンスと基礎学力チェック 化学1の基礎力の確認する。
2週 原子と分子(1)
定比例の法則と倍数比例の法則
定比例の法則と倍数比例の法則を説明できる。
3週 原子と分子(2)
不定比化合物
不定比化合物が何故生成するのか理解し、説明できる。
4週 原子の構造
ラザフォードの散乱実験について
原子の構造を理解し、説明できること。
5週 気体について
ボイルの法則、シャルルの法則
絶対温度、ボイルの法則、シャルルの法則を理解し、計算問題ができること。
6週 気体状態方程式について
小テスト
気体の状態方程式を導き、式を利用した計算問題が解けること。
7週 中間試験
8週 中間試験の解説と無機実験のデモ
2ndQ
9週 酸化と還元
ファラデーの法則
ファラデーの法則を理解し、活用した計算問題が解けること。
10週 電気メッキ 電解に関する計算問題が解けること。電解について説明ができること。
11週 酸と塩基
中和滴定
中和の原理を理解し、応用問題が解けること。
12週 小テスト
13週 質量作用の法則 質量作用の法則、ルシャトリエの原理を理解し、説明できること。化学平衡を理解すること。
14週 電離とpH 電離の原理を理解し、電離度およびpHの計算ができること。
15週 緩衝溶液について 質量作用の法則を使った応用問題ができること。
16週
後期
3rdQ
1週 ブレンステッドの酸、塩基 ブレンステッドの酸、塩基の定義を理解し、例を示せること。
2週 周期律表
電子軌道について
周期表を理解し、軌道に入っていく電子の順番を理解すること。
3週 電子配置について 原子番号30までの元素の電子配置を示せること。
4週 イオン化エネルギー
エネルギーの単位
eVの単位を理解し、計算問題が解けること。
5週 14族元素の特徴 14族元素特有の性質が何故生まれるのか、理解し説明できること。
6週 小テスト
7週 中間テスト
8週 中間テストの解説とルイスの酸・塩基の定義
4thQ
9週 酸・塩基の3つの定義 3つの酸塩基の定義を例を示して説明できること。
10週 配位化合物 配位化合物の特徴と性質を理解し、説明できること。
11週 無機化合物の命名法 基本的な無機化合物の命名法を理解し、活用できること。
12週 固体の結晶構造 固体の結晶の種類を理解すること。
13週 格子状数の計算 固体結晶の格子状数や単位格子中の原子の数等を求めることができること。
14週 小テスト
15週 無機化学Ⅰのまとめ
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。3前4,後2,後3
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。3前4,後2,後3
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。3後2,後3
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。3前5,後2,後3
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。3前13,後2,後3
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。3前9,前11,後2,後3,後4
イオン結合と共有結合について説明できる。3前6,前9,前14,後5,後9,後12
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。3後9,後10
金属結合の形成について理解できる。3後2,後3,後12,後13
各種無機材料の機能発現や合成反応を結晶構造、化学結合、分子軌道等から説明できる。3前3,前9,前14,後9
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。3前11,後5,後13
配位結合の形成について説明できる。3後9,後10
錯体化学で使用される用語(中心原子、配位子、キレート、配位数など)を説明できる。3後10,後11
錯体の命名法の基本を説明できる。3後10,後11
配位数と構造について説明できる。3前2,後10
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。3前1,前2,前3,前9,前10,前11,前13,前14,前15,後12

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力0000000
専門的能力80000020100
分野横断的能力0000000