物質工学基礎実験Ⅱ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 物質工学基礎実験Ⅱ
科目番号 0032 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 2
開設期 後期 週時間数 4
教科書/教材 東京高専物質工学科編 テキスト「物質工学基礎実験II」
担当教員 石井 宏幸,町田 茂,土屋 賢一,中野 雅之

到達目標

1年生のものづくり基礎工学では、化学実験を経験し化学のおもしろさを体感することが大きな目標であったが、2年生の物質工学基礎実験I・IIは、各分野の基本的な実験単位操作を学び、3年生の物質工学実験I・II、4年生の物質工学実験III・IVで行うより高度な実験操作に対応するための基礎をつくることを目標とする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1基本的な単位操作を含む実験を安全に行い,操作スキルを身につけるとともに,原理や実験結果をまとめた完成度の高い報告書を期限までに提出できる。基本的な単位操作を含む実験を安全に行い,報告書を期限までに提出できる。基本的な単位操作を含む実験を行い,報告書を提出できる。基本的な単位操作を含む実験を安全に行うことができない,あるいは報告書を期限までに提出できない。
評価項目2
評価項目3
評価項目4

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
1年生のものづくり基礎工学で化学のおもしろさを学んだあと,本科目では各分野の実験における基本的な単位操作を学び,操作スキルを確実に身につける。また,3年生の「物質工学実験Ⅰ・Ⅱ」では基本的な単位操作を組み合わせた実験を行い,実験の再現が可能な実験操作手順を示すことが求められるので,その前段階として各単位操作の原理を理解する科目とも位置づけている。
授業の進め方・方法:
3名~4名のグループに分かれて実験を行いレポートを提出する。物質工学基礎実験Ⅱでは,授業時間内に基本的な単位操作のスキルを確実に身につけることを目標としている。また,レポートでは,実験結果をまとめる力を養い,期日までに提出する習慣をつける。実験毎に作成された実験スキルシートを用いて自らの実験スキルの到達度を評価し、レポートとともに提出する。教員の評価と学生の評価が異なる場合は面談を行い、評価のずれについて話し合い修正する。
注意点:
前もってテキストを良く読んで,それぞれの実験ではどのような試薬や器具が必要なのか,危険性についてはどうか,どのような操作を行うのか,またそれらは何故必要なのかを、よく勉強しておくこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス:安全および環境への配慮 実験を安全に進めることができ,環境への配慮ができるようになる。
2週 講義:蒸留の原理,装置の組み立て,留意点 蒸留の原理を理解し,装置を安全に組み立てるための知識を身につける。
3週 蒸留装置の組み立て(4人1組,何回か組み立てて分解) 蒸留装置を安全に組み立てることができる。
4週 水の蒸留(4人1組):水系
加熱はオイルバス+スライダック
水の蒸留を安全に行い,実験データーを取得できる。
5週 講義:再結晶の原理,装置の組み立て,留意点 再結晶の原理を理解し,装置を安全に組み立てるための知識を身につける。
6週 再結晶装置の組み立て(4人1組,何回か組み立てて分解)
硝酸カリウムの再結晶(4人1組):水系
加熱はオイルバス+スライダック
再結晶装置を安全に組み立てることができる。
硝酸カリウムの再結晶を安全に行うことができる。
7週 再結晶化した硝酸カリウムの重量測定,再結晶実験のレポート作成 硝酸カリウムの重量測定を行うことができる。レポートの作成を書式に従って行うことができる。表,グラフ,図を使ってデータをまとめることができる。
8週 講義:緩衝作用の原理、緩衝溶液の調製 緩衝作用の原理を理解し,緩衝溶液を安全に調製するための知識を身につける。
4thQ
9週 緩衝溶液の調製と緩衝作用の確認
酢酸と酢酸ナトリウム混合溶液調製→酸,塩基を加えてpH測定
酢酸と酢酸ナトリウム混合溶液調製し,酸,塩基を加えて正確なpHを測定できる。
10週 緩衝溶液の調製と緩衝作用の確認
アンモニアと塩化アンモニウム混合溶液調製→酸,塩基を加えてpH測定
アンモニアと塩化アンモニウム混合溶液調製し,酸,塩基を加えて正確なpHを測定できる。
11週 緩衝溶液の実験を題材としてレポートの書き方やデータの整理の仕方の講義を行う。 レポートの作成を書式に従って行うことができる。表、グラフ、図を使ってデータをまとめることができる。
12週 講義:気体発生の反応,捕集装置の組み立て,留意点 気体発生の反応を理解し,捕集装置を安全に組み立てるための知識を身につける。
13週 気体発生,捕集(酸素)
二酸化マンガン+希過酸化水素→水上置換
酸素の発生反応を安全に行い,実験データーを取得できる。
14週 気体発生・捕集(二酸化炭素)
石灰石+希塩酸→下方置換
二酸化炭素の発生反応を安全に行い,実験データーを取得できる。
15週 レポート作成(実験のスケジュールは第1週目に公開)
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。3後1,後2,後5,後8,後12
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。3後1,後2,後5,後8,後12
測定と測定値の取り扱いができる。3後7,後9,後10
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。3後4,後7,後9,後10,後13,後14
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。3後1,後11,後15
ガラス器具の取り扱いができる。3後3,後4,後6,後7,後9,後10,後13,後14
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3後3,後6,後9,後10,後13,後14
試薬の調製ができる。3後9,後10
代表的な気体発生の実験ができる。3後13,後14
代表的な無機化学反応により沈殿を作り、ろ過ができる。3
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3後3,後4,後6,後7,後9,後10,後13,後14
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3後3,後4,後6,後7,後9,後10,後13,後14
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3後1,後11,後15
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3後1,後11,後15
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3後1,後11,後15
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3後1,後11,後15
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3後1,後3,後4,後6,後7,後9,後10,後13,後14
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3後1,後3,後4,後6,後7,後9,後10,後13,後14
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3後1,後3,後4,後6,後7,後9,後10,後12,後13,後14
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3後1,後2,後5,後8,後11,後12,後15
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】有機化学実験蒸留による精製ができる。3
吸引ろ過ができる。3
再結晶による精製ができる。3
収率の計算ができる。3
物理化学実験温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。3後1,後2,後4,後5,後7,後8,後9,後10,後11,後13,後14

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合00000100100
基礎的能力0000000
専門的能力00000100100
分野横断的能力0000000