対話としての哲学・倫理入門

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 対話としての哲学・倫理入門
科目番号 0042 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 『倫理』(第一学習社)
担当教員 小川 泰治

到達目標

1.複数の人々との対話の中で、しっかりと聴くこと、問うこと、その対話を楽しむことができる。
2.哲学・倫理学が蓄積してきた知識をふまえて、批判的に考えることで、自身で新たな問題を立てることができる。
3.複数の人々との対話および哲学・倫理学が蓄積してきた知識を通して、自らの考えを論理的に、かつ、説得的に表現することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1複数の人々との対話の中で、しっかりと聴くこと、問うこと、その対話を楽しむことができる。複数の人々との対話の中で、聴くこと、問うことができる。複数の人々との対話の中で、聴くこと、問うことが十分にできない。
評価項目2哲学・倫理学が蓄積してきた知識をふまえて、批判的に考えることで、自身で新たな問題を立てることができる哲学・倫理学が蓄積してきた知識をふまえて、批判的に考えることができる哲学・倫理学が蓄積してきた知識をふまえて、批判的に考えることができない
評価項目3複数の人々との対話および哲学・倫理学が蓄積してきた知識を通して、自らの考えを論理的に、かつ、説得的に表現することができる。複数の人々との対話および哲学・倫理学が蓄積してきた知識を通して、自らの考えを表現することができる。複数の人々との対話および哲学・倫理学が蓄積してきた知識を通して、自らの考えを表現することができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本授業では、哲学・倫理学が蓄積してきた知識の中から最重要な項目について学習するとともに、実際にクラスでの対話(議論)を通して哲学的に考える方法を学ぶ。授業計画には授業で扱うテーマがわかるようにあらかじめ「問い」を提示してあるが、これはあくまで一例である。実際の授業では、受講者が各人でテーマに沿った問いを立てること、そしてその問いについて一人で・みんなで考えること、表現すること(書く、話す)を重視する。


授業の進め方・方法:
授業では二回を1タームと考え、講義の形で哲学史・倫理学史の知識を学習し、それを元にクラス全体ないしグループ、あるいは、紙上での対話を行なう。
注意点:
参加型の授業であるため、対話に積極的に参加することが求められる。積極的な参加とは、発言することだけを意味するのではなく、しっかりと聴くことも含まれる。そして、何よりも他の人の発言を受けて、自らが考えを深めることがもっとも重要な「積極的参加」の意味である。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 イントロダクション①
−哲学対話ってどんなこと?-
・授業の概要、到達点を理解する。
2週 イントロダクション②
−哲学対話ってどんなこと?-
・授業で繰り返し行う「哲学対話」の手法に親しむ。
3週 哲学の始まり①
−なぜ人は哲学するのか?-
・哲学という学問がどのように始まったかを理解する。
4週 哲学の始まり②
−なぜ人は哲学するのか?-
・哲学という学問がどのように始まったかを理解し、自らも「哲学する」ことを始める。
5週 倫理学・美学の周辺①
−「ほんとう」に善いこと、美しいものってなに?-
・古代ギリシャ哲学を中心に倫理学や美学の分野について基礎的な事項を学ぶ。
6週 倫理学・美学の周辺②
−「ほんとう」に善いこと、美しいものってなに?-
・哲学対話を通して、価値や「ほんとう」について考える。
7週 中間試験 ・6週目までの授業の内容を理解し、それを表現できる。
8週 考えること・議論することを洗練させる①
−対話(議論)がうまくいくってどういうこと?−
・自分や他者の思考・議論を評価的な視点から捉える。
2ndQ
9週 考えること・議論することを洗練させる②
−対話(議論)がうまくいくってどういうこと?−
・評価的な視点を意識しながら哲学対話を行うことができる。
10週 確実な知識と科学①
−わたしたちが確実に知っていると言えることはなんだろう?−
・近代の知識論(認識論)の初歩を学び、科学的知識についても考える。
11週 確実な知識と科学②
−わたしたちが確実に知っていると言えることはなんだろう?−
・知識と科学のあり方について哲学対話によって考える。
12週 諸宗教の基本①
−なにかを強く「信じたい!」と思うのはどんなときだろう?-
・いくつかの宗教(仏教・キリスト教・イスラームなど)について基本的事項について理解する。
13週 諸宗教の基本②
−なにかを強く「信じたい!」と思うのはどんなときだろう?-
・宗教について問いを立て、知ることとの関係を意識しながら、対話を通して考える。
14週 倫理学に触れる①
−ついてもいいウソはあるのか?-
・近現代の倫理学の代表的ないくつかの立場とそれらの立場の問題点を理解する。
15週 倫理学に触れる②
−ついてもいいウソはあるのか?-
・倫理的な問題に対して、これまでの授業で得られた成果を踏まえながら、対話を通して考える。
16週 期末試験 15週目までの授業の内容を理解し、それを表現できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学社会公民哲学者の思想に触れ、人間とはどのような存在と考えられてきたかについて理解できる。3前1,前3,前4,前5,前6,前12,前13,前14,前15
諸思想や諸宗教において、自分が人としていかに生きるべきと考えられてきたかについて理解できる。3前1,前3,前4,前5,前6,前12,前13,前14,前15
諸思想や諸宗教において、好ましい社会と人間のかかわり方についてどのように考えられてきたかを理解できる。3前4,前5,前6,前12,前13,前14,前15
民主政治の基本的原理、日本国憲法の成り立ちやその特性について理解できる。1前3,前4,前13,前14,前15
地歴・公民現代科学の考え方や科学技術の特質、科学技術が社会や自然環境に与える影響について理解できる。3前5,前6,前10,前11,前15
社会や自然環境に調和し、人類にとって必要な科学技術のあり方についての様々な考え方について理解できる。3前3,前5,前6,前10,前11,前15
今日の国際的な政治・経済の仕組みや、国家間の結びつきの現状とそのさまざまな背景について理解できる。3前10,前11,前14,前15
環境問題、資源・エネルギー問題、南北問題、人口・食糧問題といった地球的諸課題とその背景について理解できる。3前10,前11,前14,前15
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能相手の意見を聞き、自分の意見を伝えることで、円滑なコミュニケーションを図ることができる。3前2,前4,前8,前9
相手を理解した上で、説明の方法を工夫しながら、自分の意見や考えをわかりやすく伝え、十分な理解を得ている。3前2,前4,前8,前9
集団において、集団の意見を聞き、自分の意見も述べ、目的のために合意形成ができる。3前2,前4,前8,前9
目的達成のために、考えられる提案の中からベターなものを選び合意形成の上で実現していくことができ、さらに、合意形成のための支援ができる。3前2,前4,前8,前9
ICTやICTツール、文書等を基礎的な情報収集や情報発信に活用できる。3
ICTやICTツール、文書等を自らの専門分野において情報収集や情報発信に活用できる。3
現状と目標を把握し、その乖離の中に課題を見つけ、課題の因果関係や優先度を理解し、そこから主要な原因を見出そうと努力し、解決行動の提案をしようとしている。3前2,前8,前9
現状と目標を把握し、その乖離の中に課題を見つけ、課題の因果関係や優先度を理解し、発見した課題について主要な原因を見出し、論理的に解決策を立案し、具体的な実行策を絞り込むことができる。3前2,前8,前9
事象の本質を要約・整理し、構造化(誰が見てもわかりやすく)できる。3前2,前8,前9
複雑な事象の本質を整理し、構造化(誰が見てもわかりやすく)できる。結論の推定をするために、必要な条件を加え、要約・整理した内容から多様な観点を示し、自分の意見や手順を論理的に展開できる。3前2,前8,前9
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性身内の中で、周囲の状況を改善すべく、自身の能力を発揮できる。 3
集団の中で、自身の能力を発揮して、組織の勢いを向上できる。3
日常生活の時間管理、健康管理、金銭管理などができる。常に良い状態を維持するための努力を怠らない。3
ストレスやプレッシャーに対し、自分自身をよく知り、解決を試みる行動をとることができる。日常生活の管理ができるとともに、目標達成のために対処することができる。3
学生であっても社会全体を構成している一員としての意識を持って、行動することができる。3
市民として社会の一員であることを理解し、社会に大きなマイナス影響を及ぼす行為を戒める。人間性・教養、モラルなど、社会的・地球的観点から物事を考えることができる。3
チームワークの必要性・ルール・マナーを理解し、自分の感情の抑制、コントロールをし、他者の意見を尊重し、適切なコミュニケーションを持つとともに、当事者意識を持ち協調して共同作業・研究をすすめることができる。3
組織やチームの目標や役割を理解し、他者の意見を尊重しながら、適切なコミュニケーションを持つとともに、成果をあげるために役割を超えた行動をとるなど、柔軟性を持った行動をとることができる。3
先にたって行動の模範を示すことができる。口頭などで説明し、他者に対し適切な協調行動を促し、共同作業・研究をすすめことができる。3
目指すべき方向性を示し、先に立って行動の模範を示すことで他者に適切な協調行動を促し、共同作業・研究において、系統的に成果を生み出すことができる。リーダーシップを発揮するために、常に情報収集や相談を怠らず自身の判断力をも磨くことができる。3
法令を理解し遵守する。基本的人権について理解し、他者のおかれている状況を理解することができる。自分が関係している技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を理解し、技術者が社会に負っている責任を認識している。2前2,前8,前9
法令を理解し遵守する。研究などで使用する、他者のおかれている状況を理解できる。自分が関係している技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を理解し、技術者が社会に負っている責任を認識し、身近で起こる関連した情報や見解の収集に努めるなど、技術の成果が社会に受け入れられるよう行動できる。2前2,前8,前9
未来の多くの可能性から技術の発展と持続的社会の在り方を理解し、自らのキャリアを考えることができる。2
技術の発展と持続的社会の在り方に関する知識を有し、未来社会を考察することができるとともに、技術の創造や自らのキャリアをデザインすることが考慮できる。2

評価割合

試験小レポート等の提出課題授業参加・授業態度合計
総合評価割合403030100
基礎的能力403030100
専門的能力0000
分野横断的能力0000