前半は化学平衡の概念について学び電離平衡や緩衝溶液など関連する単元を学習する。後半は代表的な無機物質の性質の分類と性質の概略を学ぶ。これらについて、高校化学の教科書レベルの基礎知識を習得し、基礎的な問題が解けるようになることを到達目標とする。
概要:
これまでに学習した化学I、化学Ⅱ、化学Ⅲ、ものづくり基礎工学とともに、化学および工学の基礎科目として位置づけられる。2年生で開設される無機化学I、物質工学基礎実験Ⅰ・Ⅱ、および、物質工学演習Ⅰと密接に関連する。また、3年生以降の専門科目を理解するうえで重要な科目である。
授業の進め方・方法:
高校の検定教科書を使用して、その内容を説明していく。また、問題集以外に、要点を確認する課題プリントを配布するので、復習に役立てること。各学科の授業で扱う基礎的な内容は同じであり、下記の授業計画に示している。さらに発展的な内容を学科の専門性に応じて付け加えることもある。
注意点:
化学 I 、化学Ⅱ、化学Ⅲの内容を理解しておくこと。講義用ノートを準備すること。毎授業の予習・復習を通して、自学自習の習慣を確立することが重要である。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
化学反応の速さとしくみ(1) |
化学反応の反応速度式を記述し、化学反応速度に関する計算ができる。
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2週 |
化学反応の速さとしくみ(2) |
化学反応のしくみを理解し、活性化状態および活性化エネルギーが説明できるようになる。
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3週 |
化学平衡(1) |
可逆反応と化学平衡を説明できる。
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4週 |
化学平衡(2) |
平衡の移動(ルシャトリエの原理)を説明できる。
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5週 |
化学平衡(3) |
電離平衡を説明し、それに関する計算ができる。
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6週 |
化学平衡(4) |
緩衝溶液について説明し、関連する計算ができる。溶解度積の考え方を理解し、関連する計算ができる。
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7週 |
周期表と元素・典型元素(1) |
周期表を原子の電子配置と関連づけて説明できる。また、水素、希ガスについて、元素、単体、化合物の特徴を説明できる。
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8週 |
中間試験 |
前半の学習内容を確認する。
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4thQ |
9週 |
中間試験返却と解説 |
中間試験を返却し、解説するので、前半の学習内容の理解度を確認する。
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10週 |
無機物質・典型元素(2) |
ハロゲン、酸素、硫黄について、元素、単体、化合物の特徴を説明できる。
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11週 |
無機物質・典型元素(3) |
窒素、リン、炭素、ケイ素について、元素、単体、化合物の特徴を説明できる。
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12週 |
無機物質・典型元素(4) |
典型金属元素の単体と化合物の特徴を説明できる。
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13週 |
無機物質・遷移元素(1) |
遷移元素の特徴および錯イオンについて説明できるようになる。鉄の単体および化合物の特徴を理解する。
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14週 |
無機物質・遷移元素(2) |
銅、銀の単体および化合物の特徴を説明できる。
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15週 |
金属イオンの分離・確認 |
金属イオンの定性分析の手順および特徴的な反応について説明できる。
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16週 |
学年末試験返却 |
中間試験後の学習内容の定着度を確認する。
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 化学(一般) | 化学(一般) | 原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。 | 3 | 後7 |
原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。 | 3 | 後7 |
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。 | 3 | 後7 |
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。 | 3 | 後3,後4,後5,後6 |
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。 | 3 | 後5,後6 |
酸化還元反応について説明できる。 | 3 | 後13 |
イオン化傾向について説明できる。 | 3 | 後11 |
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。 | 3 | 後11 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 無機化学 | 元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。 | 3 | 後7 |
配位結合の形成について説明できる。 | 3 | 後12 |
錯体化学で使用される用語(中心原子、配位子、キレート、配位数など)を説明できる。 | 3 | 後12 |
錯体の命名法の基本を説明できる。 | 3 | 後12 |
配位数と構造について説明できる。 | 3 | 後12 |
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。 | 3 | 後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14 |
分析化学 | いくつかの代表的な陽イオンや陰イオンの定性分析のための化学反応について理解できる。 | 3 | 後14 |
溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。 | 3 | 後6 |
強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。 | 3 | 後5 |
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。 | 3 | 後5 |
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。 | 3 | 後6 |
物理化学 | 平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。 | 3 | 後3 |
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。 | 3 | 後4 |
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。 | 3 | 後1,後2 |