物質工学実験Ⅰ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 物質工学実験Ⅰ
科目番号 0056 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 6
教科書/教材 プリント
担当教員 (伊藤 篤子),城石 英伸,山本 祥正

到達目標

(1)化学の各分野の基本的な実験の原理を理解できる。
(2)具体的な実験操作を行える。
(3)実験の再現が可能な実験操作手順を示し、実験結果を明瞭簡潔にまとめたレポートを作成できる。
(4)様式に従い、かつ実験を正確に伝えるレポートが書けるようになる。
(5)「実験」に関する技術を身に付ける。
(6)濃度の計算が間違えずにできる。
(7)正しい実験ノートを作成できる。
(8)コンピューターリテラシーと情報リテラシーを身に付ける。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1化学の各分野の基本的な実験の原理を本科2年生が理解できるように説明できる。化学の各分野の基本的な実験の原理を教員が理解できるように説明できる。化学の各分野の基本的な実験の原理を資料を見ながら教員が理解できるように説明できる。化学の各分野の基本的な実験の原理を資料をみても説明できない。
評価項目2具体的な実験操作を迅速に行える。具体的な実験の操作を問題なく行える。具体的な実験の操作を実験の時間内に行える。具体的な実験操作を行えない。
評価項目3実験の再現が可能な実験操作手順を示し、実験結果を明瞭簡潔にまとめたレポートを作成できる。本科2年生が理解できる程度に実験操作と実験結果をまとめたレポートを作成できる。教員が理解できる程度に実験操作と実験結果をまとめたレポートを作成できる。作成したレポートが第三者には理解できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
化学実験の基本的な単位操作を組み合わせた実験を行い、正確にデータを取得できるようになること。また、実験レポートの作成においては、実験の再現が可能な実験操作手順を示し、実験結果を明瞭簡潔にまとめる能力を身につけることを目標とする。
授業の進め方・方法:
2年生「物質工学基礎実験Ⅰ・Ⅱ」で基本的な実験単位操作を学んだあと、本科目では、専門化学(座学)の講義内容に基づいた基礎実験に臨む。実験スキルの向上を図るとともに専門化学の理解を深めるための科目である。また、4年生の「物質工学実験Ⅲ・Ⅳ」では考察力を評価するので、その前段階として実験結果をまとめる能力を培う科目とも位置づけている。実験毎に作成された実験スキルシートを用いて自らの実験スキルの到達度を評価し、レポートとともに提出する。教員の評価と学生の評価が異なる場合は面談を行い、評価のずれについて話し合い修正する。
注意点:
前もって良くプリント等を読んで、それぞれの実験ではどのような試薬や器具が必要なのか、危険性についてはどうか、どのような操作を行うのか、またそれらはなぜ必要なのかを、よく勉強しておくこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス・安全教育・実験前講義①、情報処理演習 実験中の安全に配慮でき、データの取り扱いと定量分析を説明できる。
2週 実験① 1属、2属の分類、情報処理演習 定性分析のための化学反応を説明でき、正しく操作できる
3週 実験② 3属、4属の分類、情報処理演習 定性分析のための化学反応を説明でき、正しく操作できる
4週 実験③ 未知試料の分類、情報処理演習 定性分析のための化学反応を説明でき、正しく操作できる
5週 実験前講義② 各テーマの原理を説明できる。
6週 実験④ 大腸菌の取扱いと増殖曲線の作成 大腸菌の取扱いを理解し,各種無菌操作をすることができる。大腸菌の増殖曲線を作成できる。
7週 実験⑤ βガラクトシダーゼ酵素活性の測定と遺伝子増幅,電気泳動による分析 βガラクトシダーゼの有無とその遺伝子の発現調節について理解できる。βガラクトシダーゼ酵素の活性測定,PCR法によるβガラクトシダーゼ遺伝子増幅,電気泳動による解析の原理を理解できる
8週 レポート作成 レポート作成
2ndQ
9週 自学自習 各自今までの実験の復習をする
10週 プレゼンテーション講義 プレゼンテーションの仕方がわかる
11週 実験⑥ キレート滴定およびICP発光分光分析法による水の硬度測定 キレート滴定およびICP発光分光分析法を説明でき、水の硬度を正確に測定できる。
12週 実験⑦ 吸光光度法によるアルミホイル中の微量鉄の定量 吸光光度法を説明でき、アルミホイル中の微量鉄を定量できる。
13週 実験⑧ 色素増感太陽電池
(ITO/ZnO/Eosin Y)の作製と評価
色素増感太陽電池の作製と評価を説明できる。
14週 実験⑨ 様々な分析機器による測定
(XRD/TG-DTA/表面積計/電気化学測定)
様々な分析機器による測定(XRD/TG-DTA/表面積計/電気化学測定)を説明できる。
15週 発表会① 実験結果をパワーポイントでまとめることができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11
測定と測定値の取り扱いができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11
ガラス器具の取り扱いができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11
試薬の調製ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11
代表的な無機化学反応により沈殿を作り、ろ過ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野分析化学いくつかの代表的な陽イオンや陰イオンの定性分析のための化学反応について理解できる。4前2,前3,前4
陽イオンや陰イオンの関係した化学反応について理解し、溶液中の物質の濃度計算(定量計算)ができる。4前8
キレート滴定についての原理を理解し、金属イオンの濃度計算ができる。4前8
光吸収について理解し、代表的な分析方法について説明できる。4前9
Lambert-Beerの法則に基づく計算をすることができる。4前9
イオン交換による分離方法についての概略を説明できる。4前11
無機および有機物に関する代表的な構造分析、定性、定量分析法等を理解している。4前11
クロマトグラフィーの理論と代表的な分析方法を理解している。4前11
特定の分析装置を用いた気体、液体、固体の分析方法を理解し、測定例をもとにデータ解析することができる。4前11
生物工学微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。4前6,前7
微生物の育種方法について説明できる。4前6,前7
微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。4前6,前7
分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】分析化学実験キレート滴定を理解し、錯体の濃度の計算ができる。4前8
陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。4前2,前3,前4
代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。4前11
生物工学実験滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。4前6,前7
適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。4前6,前7
分光分析法を用いて、生体物質を定量することができる。4前6,前7
クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。4前6,前7
酵素の活性を定量的または定性的に調べることができる。4前6,前7

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート等合計
総合評価割合00000100100
基礎的能力0000000
専門的能力00000100100
分野横断的能力0000000