到達目標
固体を中心とした材料の相転移および拡散現象を中心として、それらの定量的な取り扱いおよび具体的な問題の解決ができるようになるのが本科目の目標である。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 到達レベルの目安(可) | 未到達レベルの目安 |
ギブズの相律 | 相律の概念を理解し、1成分系、2成分系および化学平衡が存在する系の相律を説明できる。 | 1成分系、2成分系の相律を説明できる。 | 1成分系の相律を説明することができる。 | 相律の説明ができない |
2成分系の相図 | 2成分系の相図を読み解き相変化温度または圧力を説明できる。また、てこの原理に基づき任意の系の組成を説明できる。 | 2成分系の相変化温度または圧力を説明できる。また、てこの原理に基づき全率固溶体の組成を説明できる。 | 2成分系の相変化温度または圧力を説明できる。 | 2成分系の相変化の説明ができない。 |
相転移の分類 | 相転移の分類(一次・二次)ができ、相転移点における物性値の連続・不連続を説明できる。これらの物性値と他の物性値との数式的な関連を示すことができる。 | 代表的な相転移の分類(一次・二次)および一部の物性値の相転移点における連続・不連続を説明できる。 | 相転移の分類ができる。 | 相転移の分類ができない。 |
固体内拡散 | Fickの第一法則および第二法則を用いて拡散現象を説明できる。アレニウス式から拡散係数の温度依存性を説明できる。
結晶の種類ごとに拡散係数の温度依存性の特徴を説明できる。 | Fickの第一法則および第二法則を用いて拡散現象を説明できる。またアレニウス式から拡散係数の温度依存性を説明できる。 | 部分的に拡散現象の説明ができる | 拡散現象の説明ができない。 |
固相の反応 | 固相の反応を分類しその特徴を説明でき、速度論的な説明ができる。 | 固相の反応を分類しその特徴を説明できる。 | 代表的な固相の反応を列挙できる。 | 固相の反応の説明ができない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
技術の進歩と材料の高性能化・高機能化とは密接に関わっている。新規材料を開発しようとする場合に基礎として習得しておくべき事柄について学習する。
特に物理化学および化学工学等の科目で学習した知識をベースとして、固体の熱力学的性質、固体内拡散や固体の反応性などを中心に学習会い、それらに理論的な説明を与え、具体的な問題の解決方法について学習する。
授業の進め方・方法:
分野ごとに説明と演習を繰り返しながら進める。
定期試験前などに授業内容の振り返りの時間を設ける。
注意点:
本科目の成績は予習・復習等の自学自習の実施状況も考慮して決定される。自学自習の習慣を身に着けることが必要である。
数学の初等関数の計算、微積分の知識は必要である。必要な知識は物理化学IおよびIIに準じる。
物理化学IおよびIIの教科書および参考書が本科目の理解の助けになる。
演習および定期試験では関数電卓を使用するので常に持参しておくこと。
授業計画
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
イントロダクション: ・科目の到達目標と本校の「学習・教育到達目標」との関係 ・ルーブリックと評価方法 ・関連分野の復習 |
シラバスを用いた左記内容の説明を理解する / 物理化学等関連科目の復習を通して他科目との関係性を理解する
|
2週 |
Gibbsの相律 1 |
Gibbsの相律を理解し、簡単な系の自由度を説明できる
|
3週 |
Gibbsの相律 2 (応用問題) / 2成分系の状態図 1 |
化学平衡が存在する系の自由度を説明できる / 純物質の相図および相転移について学習した内容を再確認する
|
4週 |
2成分系の相図 2 - 混合自由エネルギーの導出 |
混合自由エネルギー(化学ポテンシャル)の表し方を理解する
|
5週 |
2成分系の相図 3 - てこの原理 |
混合物の相図におけるてこの原理を利用し、単純な系の相変化や組成を説明できる
|
6週 |
成分系の相図 4 - てこの原理(応用問題) |
てこの規則を利用して複雑な相図を示す混合物の相変化や組成を説明できる
|
7週 |
振り返りの時間 |
授業前半のまとめ 練習問題の解答をヒントを利用しながら導き出せる
|
8週 |
中間試験 |
前週までの内容の筆記試験で60点以上を獲得する
|
4thQ |
9週 |
相転移の分類 |
一次および二次の相転移の特徴およびこれらの相転移における物性値の変化を説明できる
|
10週 |
相転移の物理化学 |
相転移点の圧力依存性、蒸気圧の温度依存性等の計算ができる
|
11週 |
物質の拡散 1 |
Fickの第一法則・第二法則を利用して拡散現象を説明できる
|
12週 |
物質の拡散 2 |
拡散係数の温度依存性を説明できる(アレニウス式)
|
13週 |
焼結 |
化学変化を伴わない拡散律速反応の特徴を説明できる
|
14週 |
固相における化学反応 |
単一固相における反応、固/気・固/液・固/固界面における反応を説明できる
|
15週 |
振り返りの時間 |
授業後半のまとめ、問題の解説など
|
16週 |
|
|
モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 物理化学 | 純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。 | 4 | 後3,後4 |
2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。 | 4 | 後5,後6 |
束一的性質を説明できる。 | 4 | 後3 |
相律の定義を理解して、純物質、混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる。 | 4 | 後2 |
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。 | 4 | 後9 |
化学工学 | 物質の流れと物質収支についての計算ができる。 | 4 | 後11 |
評価割合
| 試験 | レポート等 | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 20 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 80 | 20 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 |