基礎生物Ⅱ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 基礎生物Ⅱ
科目番号 0088 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 基礎からわかる生物化学 杉森大典ほか 森北出版
担当教員 (伊藤 篤子)

到達目標

基礎生物学Ⅰで学習した生物の共通性の象徴である「生物の定義」の知識を基礎とする。「生物の定義」はいずれも生体内でおこる化学反応に基づいていることから,基礎生物Ⅱでは生命にかかわる分子(生体高分子)とその反応を対象とする。生物を構成する生体高分子(糖質,脂質,タンパク質,核酸)の構造と機能を学習し,生体内の化学反応(生物の定義:細胞,遺伝,エネルギー,反応)にこれらの生体高分子がどのように関わるのか理解できることが目標である。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1糖質の種類,構造,機本単位についてすべて詳細に説明でき,示すことができる。糖質の種類,構造,機本単位について一部を詳細に示すことができる。糖質の種類,構造,機本単位について示すことができる糖質の種類,構造,機本単位について示すことができない。
評価項目2好気呼吸についてすべて詳細に説明でき,その化学反応を理解できる。好気呼吸について説明でき,その化学反応の一部を詳細に理解できる。好気呼吸について説明でき,その化学反応を理解できる好気呼吸について説明でき,その化学反応を理解できない。
評価項目3光合成についてすべて詳細に説明でき,その化学反応を理解できる。光合成について説明でき,その化学反応の一部を詳細に理解できる。光合成について説明でき,その化学反応を理解できる。光合成について説明でき,その化学反応を理解できない。
評価項目4タンパク質(アミノ酸)の種類,構造,機本単位についてすべて詳細に説明でき,示すことができる。タンパク質(アミノ酸)の種類,構造,機本単位の一部を詳細に示すことができる。タンパク質(アミノ酸)の種類,構造,機本単位について示すことができる。タンパク質(アミノ酸)の種類,構造,機本単位について示すことができない。
評価項目5脂質の種類,構造,機本単位についてすべて詳細に説明でき,示すことができる。脂質の種類,構造,機本単位の一部を詳細に示すことができる。脂質の種類,構造,機本単位について示すことができる。脂質の種類,構造,機本単位について示すことができない。
評価項目6酵素について化学的特性をすべて詳細示すことができ,その反応速度論を阻害剤を加えた際の変化も含めて詳細に理解できる。酵素について化学的特性を示すことができ,その反応速度論の一部を詳細に理解できる。酵素について化学的特性を示すことができ,その反応速度論を理解できる。酵素について化学的特性を示すことができず,その反応速度論を理解できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
①基本構成単位は細胞 ②世代を継続 ③反応 ④生成 この4つが「生物の定義」である。基礎生物Ⅱは基礎生物Ⅰで学習した各種の生命現象を化学的に理解することを目標としている。生体を構成する物質、世代の継続(遺伝)、代謝(生成)、細胞内情報伝達(反応)について理解を深めることで、4つの「生物の定義」を化学的に把握し、身近な生物現象の普遍性を理解すること、並行して、生物学および生化学の研究手法を理解できるようになる。
授業の進め方・方法:
生体高分子(糖質,タンパク質,脂質,核酸)のそれぞれの基本単位について学習後,基本単位が連結することで多様な高分子を作り出すことが理解できる。生体高分子の代謝のうち,光合成と好気呼吸についてその化学反応について理解できる。授業は教科書およびプリントを用いて実施し,板書をする。各単元ごとに問題プリントを配布し,知識の定着を図る。
注意点:
各単元ごとの問題集の実施は平常点に加算される。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 生物分野における「生化学」とはなにか。
糖質の基本単位
単糖の種類が理解できる
2週 糖質の基本単位 単糖の立体構造が理解できる
3週 単糖の構造 単糖の立体構造が理解できる
4週 単糖の構造 単糖の立体構造が理解できる
5週 多糖の種類 多糖の成り立ちと種類が理解できる
6週 多糖と消化 多糖の成り立ちと種類が理解でき,その消化による生体内での代謝がわかる
7週 中間試験
8週 異化エネルギー代謝:解糖系 解糖系の化学反応について理解できる
2ndQ
9週 異化エネルギー代謝:解糖系 解糖系の化学反応について理解できる。
10週 異化エネルギー代謝:TCA回路 TCA回路の化学反応について理解できる。
11週 異化エネルギー代謝:TCA回路 TCA回路の化学反応について理解できる。
12週 異化エネルギー代謝:電子伝達系,酸化的リン酸化 電子伝達系からATP産生段階まで理解できる。
13週 異化エネルギー代謝:電子伝達系,酸化的リン酸化 電子伝達系からATP産生段階まで理解できる。
14週 異化エネルギー代謝:電子伝達系,酸化的リン酸化 電子伝達系からATP産生段階まで理解できる。
15週 トピックス
16週
後期
3rdQ
1週 同化エネルギー代謝;光合成明反応 光合成全般について理解できる。
光合成明反応について理解できる
2週 同化エネルギー代謝;光合成明反応 光合成明反応について理解できる,同化エネルギー代謝;光合成明反応
3週 同化エネルギー代謝;光合成暗反応,炭酸固定 暗反応の化学反応が理解できる
4週 同化エネルギー代謝;光合成暗反応,炭酸固定 明反応と暗反応の関係性が理解できる。
暗反応の化学反応が理解できる
C3,C4,CAM回路が理解できる
5週 脂質の構造 脂質の構造が理解できる
6週 脂質の構造と種類 脂質の種類が理解できる
7週 中間試験
8週 タンパク質の基本単位ーアミノ酸 アミノ酸の構造が理解できる,アミノ酸の構造と種類が理解できる。
4thQ
9週 タンパク質の立体構造 アミノ酸の連結によるタンパク質の高次構造が理解できる。タンパク質が生体の中心であることが理解できる
10週 タンパク質の立体構造とその種類 ンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を理解している。
タンパク質の立体構造(一次・二次・三次・四次構造)について説明できる。
11週 酵素
酵素の構造と酵素-基質複合体について理解している。
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について理解している。
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を理解している。
12週 酵素 酵素の反応速度論について理解している。特に,通常の化学反応の速度論とどこが違うかわかる。
13週 酵素 ミカエリスメンテンの式を導出できる。
14週 酵素 酵素に対する阻害剤の働きを理解できる
15週 トピックス
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。4前1
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。4前1,後1
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。4前1,後1
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。4前1,前6,後1,後6,後8
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4前6,後12,後13,後14
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。4後1,後6
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4前1,後8
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4前1,後8
単糖と多糖の生物機能を説明できる。4前1,前2
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。4前2,前3,前4
グリコシド結合を説明できる。4前5,前6
多糖の例を説明できる。4前5,前6
脂質の機能を複数あげることができる。4後8,後9
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。4後8,後9
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。4後9
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4後10
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4後11
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4後11,後12
タンパク質の高次構造について説明できる。4後12
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4後13
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4後13,後14
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4後14
解糖系の概要を説明できる。4前8,前9
クエン酸回路の概要を説明できる。4前10,前11
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。4前12,前13,前14
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。4前6,前14
各種の光合成色素の働きを説明できる。4後1,後2,後3,後4
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。4後2,後3,後4,後5,後6
炭酸固定の過程を説明できる。4後5,後6

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ問題演習合計
総合評価割合72000028100
基礎的能力5200002173
専門的能力200000727
分野横断的能力0000000