有機化学Ⅱ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 有機化学Ⅱ
科目番号 0094 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 マクマリー 有機化学概説 東京化学同人
担当教員 町田 茂

到達目標

有機化合物の性質や有機反応を電荷の偏りや電子の流れで理解するために、芳香族化合物、立体化学、ハロゲン化アルキル、酸素あるいは硫黄を含む化合物の性質および反応性について学ぶ。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1IUPACの命名法を十分に理解し,複雑な構造のベンゼン誘導体、ハロゲン化アルキル、酸素あるいは硫黄を含む化合物について構造から名前、名前から構造の変換ができる。IUPACの命名法を理解し、標準的な構造のベンゼン誘導体、ハロゲン化アルキル、酸素あるいは硫黄を含む化合物について構造から名前、名前から構造の変換ができる。UPACの命名法の基礎を理解し、簡単な構造のベンゼン誘導体、ハロゲン化アルキル、酸素あるいは硫黄を含む化合物について構造から名前、名前から構造の変換ができる。IUPACの命名法の基礎が理解できず,簡単なベンゼン誘導体、ハロゲン化アルキル、酸素あるいは硫黄を含む化合物について構造から名前、名前から構造の変換ができない。
評価項目2複雑なベンゼン誘導体の性質、反応性、配向性を説明できる。標準的なベンゼン誘導体の性質、反応性、配向性を説明できる。簡単なベンゼン誘導体の性質、反応性、配向性を説明できる。ベンゼン誘導体の性質、反応性、配向性を説明できない。
評価項目3複雑な化合物について、立体化学の表記方法、異性体を説明できる標準的な化合物について、立体化学の表記方法、異性体を説明できる。簡単な化合物について、立体化学の表記方法、異性体を説明できる。立体化学の表記方法、異性体を説明できない。
評価項目4複雑なハロゲン化アルキルの性質、反応性を説明できる。標準的なハロゲン化アルキルの性質、反応性を説明できる。簡単なハロゲン化アルキルの性質、反応性を説明できる。ハロゲン化アルキルの性質、反応性を説明できない。
評価項目5複雑な酸素あるいは硫黄を含む化合物の性質、反応性を説明できる。標準的な酸素あるいは硫黄を含む化合物の性質、反応性を説明できる。簡単な酸素あるいは硫黄を含む化合物の性質、反応性を説明できる。酸素あるいは硫黄を含む化合物の性質、反応性を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
有機化学Ⅰでは、アルカン、アルケン、アルキンの性質や反応の機構を電荷の偏りや電子の流れで理解するために必要な基礎的な知識を学んだ。有機化学Ⅱでは、芳香族化合物、立体化学、ハロゲン化アルキル、酸素あるいは硫黄を含む化合物の性質および反応の機構を、電荷の偏りや電子の流れで理解するために必要な基礎的な知識を学ぶことを目的としている。電荷の偏りや電子の流れで性質や反応を理解できるようになれば、有機化学は暗記科目ではなくなる。
授業の進め方・方法:
この科目は、企業で有機機能性材料の研究開発を行っていた教員が、その経験を活かし、有機化合物の合成や物性について講義形式で授業を行うものである。学修単位科目であるので、事前・事後学習として、予習復習を行うこと。各定期試験までに教科書の2章分を講義する。講義の最初でも前回の講義内容についてもう一度話をするが、基礎科目は反復的な学習が重要なので自宅での復習を必ず行うこと。講義の中で教科書の重要な箇所には印をつけるように言うので、板書内容と併せて重点をおいて復習すると効率が良い。
注意点:
化学Ⅴと有機化学Ⅰで学んだことを良く復習して講義に臨むこと。有機化学Ⅱは基礎科目なので,理解できていない章がないようにすることが重要である。尚、この科目は学修単位の科目である。授業の予習・復習及び演習については自学自習により取り組み学修すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 芳香族化合物の共鳴構造,芳香族の命名法について学ぶ。 芳香族化合物の共鳴構造,芳香族の命名法について説明できる。
2週 芳香族求電子置換反応について学ぶ。
芳香族求電子置換反応について説明できる。
3週 芳香族求電子置換反応における置換基効果,配向性について学ぶ。 芳香族求電子置換反応における置換基効果,配向性について説明できる。
4週 芳香族化合物の酸化,還元,レトロシンセシスについて学ぶ。 芳香族化合物の酸化,還元,レトロシンセシスについて説明できる。
5週 キラリティー,光学活性,比旋光度について学ぶ。  キラリティー,光学活性,比旋光度について説明できる。
6週 立体配置の表示,エナンチオマーについて学ぶ。 立体配置の表示,エナンチオマーについて説明できる。
7週 ジアステレオマー,メソ体,ラセミ体について学ぶ。 ジアステレオマー,メソ体,ラセミ体について説明できる。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 ハロゲン化アルキルの命名法,製造方法,Grignard反応について学ぶ。 ハロゲン化アルキルの命名法,製造方法,Grignard反応について説明できる。
10週 ハロゲン化アルキルの求核置換反応について学ぶ。 ハロゲン化アルキルの求核置換反応について説明できる。
11週 ハロゲン化アルキルの脱離反応について学ぶ。 ハロゲン化アルキルの脱離反応について説明できる。
12週 アルコール,エーテル,フェノールの命名法,水素結合,酸性度について学ぶ。 アルコール,エーテル,フェノールの命名法,水素結合,酸性度について説明できる。
13週 アルコール,エーテル,フェノールの合成法について学ぶ。 アルコール,エーテル,フェノールの合成法について説明できる。
14週 アルコール,エーテル,フェノールの反応について学ぶ。  アルコール,エーテル,フェノールの反応について説明できる。
15週 チオール,スルフィドについて学ぶ。 チオール,スルフィドについて説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。4前1
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。4前1,前9,前12,前15
σ結合とπ結合について説明できる。4前1,前9,前12,前15
混成軌道を用い物質の形を説明できる。4前1,前9,前12,前15
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。4前1,前3,前9,前12,前15
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。4前1,前9,前12,前15
共鳴構造について説明できる。4前1,前3,前12
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。4前1,前2,前3,前4
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。4前1
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。4前5,前6,前7
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。4前5,前6,前7
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。4前5,前6,前7
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。3前1,前9,前12,前15
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。3前2,前3,前4,前9,前10,前11,前13,前14
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。3前2,前3,前4,前9,前10,前11,前13,前14
高分子化合物がどのようなものか説明できる。3
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。3
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。3前1,前2,前3,前4,前9,前10,前11,前13,前14
反応機構に基づき、生成物が予測できる。3前1,前2,前3,前4,前9,前10,前11,前13,前14

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力0000000
専門的能力80000020100
分野横断的能力0000000