有機化学Ⅱ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 有機化学Ⅱ
科目番号 0097 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 マクマリー 有機化学概説 東京化学同人
担当教員 町田 茂

到達目標

有機化合物の物性や有機反応を,電荷の偏りや電子の流れで理解できるようにするために,アルデヒド,ケトン,エステル,カルボン酸誘導体等のカルボニル化合物の性質と反応,および代表的な塩基であるアミンの性質と反応について学ぶ。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1IUPACの命名法を十分に理解し,複雑なカルボニル化合物の構造から名前、名前から構造の変換ができる。IUPACの命名法を理解し,標準的なカルボニル化合物の構造から名前、名前から構造の変換ができる。IUPACの命名法の基礎を理解し,簡単なカルボニル化合物の構造から名前、名前から構造の変換ができる。IUPACの命名法の基礎が理解できず,簡単なカルボニル化合物の構造から名前、名前から構造の変換ができない。
評価項目2カルボニル化合物の合成方法を十分に理解し,高度な反応の機構を説明できる。カルボニル化合物の合成方法に理解し,標準的な反応の機構を説明できる。カルボニル化合物の合成方法に理解し,簡単な反応の機構を説明できる。カルボニル化合物の合成方法が理解できず,生成物の構造を書くことができない。
評価項目3カルボニル化合物の反応を十分に理解し,複雑な反応の機構を説明できる。カルボニル化合物の反応を理解し,代表的な反応の機構を説明できる。カルボニル化合物の反応を理解し,生成物を予測できる。カルボニル化合物の反応が理解できず,生成物の構造を書くことができない。
評価項目4カルボニル化合物の分類を十分に理解し、カルボニルの種類による性質の違いを系統的に説明できる。カルボニル化合物の性質を理解し,代表的な化合物について分類による性質の違いを説明できる。カルボニル化合物の性質を理解し,基礎的な化合物について分類による性質の違いを説明できる。カルボニル化合物の性質が理解できず,分類による性質の違いを説明できない。
評価項目5エノール,エノラートの性質を十分に理解し,高度なα置換反応および縮合反応の機構が説明できる。エノール,エノラートの性質を理解し,標準的なα置換反応および縮合反応の生成物の構造を書くことができる。エノール,エノラートの性質を理解し,基礎的なα置換反応および縮合反応の生成物の構造を書くことができる。エノール,エノラートの性質が理解できず,α置換反応および縮合反応の生成物の構造を書くことができない。
評価項目6IUPACの命名法を十分に理解し,複雑なアミンの構造から名前、名前から構造の変換ができる。IUPACの命名法の基礎を理解し,代表的なアミンの構造から名前、名前から構造の変換ができる。IUPACの命名法の基礎を理解し,基礎的なアミンの構造から名前、名前から構造の変換ができる。IUPACの命名法の基礎が理解できず,簡単なアミンの構造から名前、名前から構造の変換ができない。
評価項目7アミンの合成方法を十分に理解し,高度な反応の機構を説明できる。アミンの合成方法を理解し,標準的な反応の機構を説明できる。アミンの合成方法を理解し,簡単な生成物の構造を書くことができる。アミンの合成方法が理解できず,生成物の構造を書くことができない。
評価項目8アミンの反応を十分に理解し,高度な反応の機構を説明できる。アミンの反応を理解し,標準的な生成物の構造を書くことができる。アミンの反応を理解し,簡単な生成物の構造を書くことができる。アミンの反応が理解できず,生成物の構造を書くことができない。
評価項目9アミンの性質を十分に理解し,複雑な化合物まで系統的に説明できる。アミンの性質を理解し,標準的な化合物まで系統的に説明できる。アミンの性質を理解し,基本的なものについて説明できる。アミンの性質が理解できず,基本的なものについて説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
有機化合物の物性や有機反応を電荷の偏りや電子の流れで理解できるようにすることを目的として,カルボニル化合物の性質と反応,およびアミンの性質と反応について学ぶ。3年次の有機化学Ⅰに引き続き,有機化学の知識を積み上げる科目であり,有機化学Ⅰ・Ⅱで得た知識を基礎として,4年次後期の合成化学,専攻科1年次の構造有機化学でさらに専門性を深める。
授業の進め方・方法:
各定期試験までに教科書の2章分を講義する。講義の最初でも前回の講義内容についてもう一度話をするが、基礎科目は反復的な学習が重要なので自宅での復習を必ず行うこと。講義の中で教科書の重要な箇所には印をつけるように言うので、板書内容と併せて重点をおいて復習すると効率が良い。
注意点:
本科目の成績は定期試験のみならず、予習・復習等の自学自習の実施状況も考慮して判断される。したがって自学自習の習慣も身につけることが重要である。
有機化学は基礎科目なので,理解できていない章がないようにすること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 アルデヒドとケトンの命名法,合成,求核付加反応,およびアルドール反応について学ぶ。 アルデヒドとケトンの命名法,合成,求核付加反応,およびアルドール反応について説明できる。
2週 アルデヒドとケトンの性質,Grignard反応,およびWittig反応について学ぶ。
アルデヒドとケトンの性質,Grignard反応,およびWittig反応について説明できる。
3週 カルボン酸誘導体の種類,命名法,カルボン酸の性質,酸性度について学ぶ。 カルボン酸誘導体の種類,命名法,カルボン酸の性質,酸性度について説明できる。
4週 カルボン酸の合成,求核アシル置換反応,およびその他のカルボン酸の反応について学ぶ。 カルボン酸の合成,求核アシル置換反応,およびその他のカルボン酸の反応について説明できる。
5週 酸ハロゲン化物,酸無水物の性質,および反応について学ぶ。   酸ハロゲン化物,酸無水物の性質,および反応について説明できる。
6週 エステル,アミド,ニトリルの性質,および反応について学ぶ。   エステル,アミド,ニトリルの性質,および反応について説明できる。
7週 前期中間試験および答案返却・解説。
8週 ケト-エノール互変異性,およびエノールの反応性(α置換反応の機構)について学ぶ。 ケト-エノール互変異性,およびエノールの反応性(α置換反応の機構)について説明できる。
2ndQ
9週 エノラートイオンの性質,および反応性について学ぶ。 エノラートイオンの性質,および反応性について説明できる。
10週 カルボニル化合物のα置換反応について学ぶ。 カルボニル化合物のα置換反応について説明できる。
11週 カルボニル化合物の縮合反応について学ぶ。 カルボニル化合物の縮合反応について説明できる。
12週 アミンの命名法,アミンの構造と性質,塩基性度について学ぶ。 アミンの命名法,アミンの構造と性質,塩基性度について説明できる。
13週 アミンの合成法について学ぶ。 アミンの合成法について説明できる。
14週 アミンの反応について学ぶ。 アミンの反応について説明できる。
15週 複素環アミンについて学ぶ。 複素環アミンについて説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。4前1,前3,前12
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。4前2,前3,前6,前12
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。4
共鳴構造について説明できる。4
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。4
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。4前15
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。4
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。4
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。4
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。4前2,前3,前6,前12
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。4前1,前2,前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前13,前14
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。4前1,前2,前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前13,前14
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。3前1,前2,前4,前6,前8,前9,前10,前11,前13,前14
反応機構に基づき、生成物が予測できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力10000000100
分野横断的能力0000000