物質は大きく分けると、無機化合物と有機化合物に分類される。まず、有機化合物がどのような化合物であるかを説明できるようになること。次いで、官能基に着目して有機化合物をさらにいくつかのグループに分類できるようになり、それぞれの性質や反応性を説明できるようになること。高校の教科書に記載された有機化合物の基本的な知識の定着が目標となる。
概要:
2年生までに学習した化学Ⅰ~化学Ⅳ、ものづくり基礎工学とともに、化学および工学の基礎科目として位置づけられる。3年生以降の専門科目を理解するうえで重要な科目であり、特に、有機化学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、高分子化学、物質工学実験と密接に関連する。有機化合物の特徴と構造について学習した後、基本的な化合物の反応性と性質を学ぶ。各学科の授業で扱う基礎的な内容は同じであり、下記の授業計画に示している。さらに発展的な内容を学科の専門性に応じて付け加えることもある。
授業の進め方・方法:
高校の検定教科書を使用して、単元ごとに理解すべき要点を説明していく。具体的には、第5編「有機化合物」を授業計画に従って進めていく。章内の問題および章末の問題を解くと理解が高まるので、予習・復習に役立てること。
注意点:
本科目の成績は定期試験のみならず、予習・復習等の自学自習の実施状況も考慮して判断される。したがって自学自習の習慣も身につけることが重要である。化学Ⅰ~化学Ⅳ の内容を適宜復習すること。講義用ノートを準備し、授業に集中すること。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
1章 有機化合物の特徴と構造 1.有機化合物の構造 |
有機化合物の多様性を説明できる。炭化水素の分類ができる。官能基を分類できる。
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2週 |
1章 有機化合物の特徴と構造 1.有機化合物の構造 2.有機化合物の構造式の決定 |
有機化合物を構造式で示し、異性体の説明ができる。有機化合物の構造式が決定できる。
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3週 |
2章 炭化水素 1.飽和炭化水素 |
アルカン・シクロアルカンの構造や基本的な反応について説明できる。
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4週 |
2章 炭化水素 2.不飽和炭化水素 |
アルケン・アルキンの構造や基本的な反応について説明ができる。シスートランス異性体を説明できる。
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5週 |
3章 酸素を含む有機化合物 1.アルコールとエーテル |
アルコールを構造に着目して分類でき、性質や基本的な反応について説明できる。アルコールとエーテルの違いを説明できる。
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6週 |
3章 酸素を含む有機化合物 2.アルデヒドとケトン |
カルボニル化合物の構造を理解し、アルデヒドとケトンの構造および性質の違い、基本的な反応について説明できる。
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7週 |
3章 酸素を含む有機化合物 3.カルボン酸とエステル |
カルボン酸の誘導体を構造に着目して分類でき、性質や反応について説明できる。鏡像異性体について説明できる。
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8週 |
中間試験 |
前半の学習内容を確認する。
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2ndQ |
9週 |
3章 酸素を含む有機化合物 3.カルボン酸とエステル 4、油脂とセッケン |
エステル化反応や油脂のケン化について説明ができる。また、界面活性剤のはたらきを説明できる。
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10週 |
4章 芳香像化合物 1.芳香族炭化水素 |
芳香族炭化水素の構造異性体について説明できる。また、ハロゲン化やスルホン化などの基本的な置換反応の種類を挙げることができる。
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11週 |
4章 芳香像化合物 2.酸素を含む芳香族化合物 |
フェノール類の性質をアルコールと比較して説明できる。芳香族カルボン酸を挙げ、性質・用途などを説明できる。
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12週 |
4章 芳香像化合物 3.窒素を含む芳香族化合物 |
芳香族アミンを挙げ、性質・用途などを説明できる。
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13週 |
4章 芳香像化合物 4.芳香族化合物の分離 |
エーテルを用いた芳香族化合物の分離方法を原理とともに説明することができる。
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14週 |
5章 有機化合物と人間生活 |
身の回りにある有機化合物を挙げ、構造や性質に加え、利用方法を説明できる。
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15週 |
まとめ |
化学Ⅴの学習内容をふりかえり、定着度を確認する。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | 有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。 | 3 | 前1 |
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。 | 3 | 前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12 |
σ結合とπ結合について説明できる。 | 3 | 前1,前2 |
混成軌道を用い物質の形を説明できる。 | 3 | 前1,前2 |
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。 | 3 | 前1,前2 |
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。 | 3 | 前1,前2 |
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。 | 3 | 前3,前4,前10,前11,前12 |
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。 | 3 | 前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12 |
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。 | 3 | 前1,前2,前3,前4 |
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。 | 3 | 前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13 |
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。 | 3 | 前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12 |
無機化学 | 結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。 | 3 | |
水素結合について説明できる。 | 3 | |
物理化学 | 実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。 | 3 | |
混合気体の分圧の計算ができる。 | 3 | |
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。 | 3 | |
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。 | 3 | |
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。 | 3 | |