到達目標
化学実験の基本的な単位操作を確実に行い,精度の高いデータを再現性良く得られるようになること。また,実験レポートの作成においては,実験データをわかりやすくまとめる技量と,根拠を明確に示しながら論理的に考察する能力を身につけることを目標とする。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 最低限の到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
実験全般 | 3分野の実験を安全に行い,精度の高いデータが得られる。また,得られたデータを論理的に考察して完成度の高い報告書を提出締切までに作成できる。 | 3分野の実験を安全に行い,再現性のあるデータを得ることができる。また,得られたデータを考察して標準的な報告書を提出締切までに作成できる。 | 3分野の実験を安全に行い,データを得ることができる。また,得られたデータを簡単に考察して報告書を提出締切までに作成できる。 | 3分野の実験を安全に行い,データを得ることができない。あるいは,得られたデータを考察して報告書を提出締切までに作成できない。 |
実験レポートの作成 | 実験データを誰にでもわかるようにまとめ、根拠を明確に示しながら論理的に考察できる。 | 根拠を明確に示しながら論理的に考察できる。 | 期日までに実験レポートをまとめ提出することができる。 | 期日までに実験レポートを提出できない。 |
チームワークをとって作業を分担する | リーダーシップを発揮してチームをひっぱることができる。 | 自ら次に行うべき作業を考えることができる。 | 指示されたことは確実にこなす力がある。 | 積極的に作業に参加せず、指示されたこともできない。 |
安全に実験できること | 危険を予測して,未然に防止する力がある。 | 実験中常に安全に配慮して行動できる。 | 危険な操作を理解し対応できる。 | 危険な操作の理解が不十分で、ヒヤリハットを起こす可能性がある。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
2年生「物質工学基礎実験Ⅰ・Ⅱ」で基本的な実験単位操作を学び,3年生「物質工学実験Ⅰ・Ⅱ」では,専門化学(座学)の講義内容に基づいた基礎実験を行い,実験スキルの向上をと専門化学の理解を深めた。物質工学実験Ⅲでは,無機化学,化学工学,有機化学の3分野の実験を行い,2年生、3年生で培われた実験結果をまとめる能力を活かして,得られた実験結果について根拠を明確に示しながら論理的に考察する力を培う科目と位置づけられている。
授業の進め方・方法:
この科目は、企業で研究開発に携わった教員が、その実験経験に基づいて4年生に適した無機化学、有機化学、化学工学の実験を行う。4Cのクラスを3班に分けて,5週間でひとつの分野の実験を行いレポートを提出する。レポートでは,2年生,3年生で培われた実験結果をまとめる能力を活かして,得られた実験結果について根拠を明確に示しながら論理的に考察できているかが評価される。実験計画書(実験の目的、理論、装置および方法)を実験開始までに完成させてチェックを受けること。また、この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習として予習・復習を行うこと。
注意点:
実験の前後の予習・復習等の自学自習は特に重要である。実験ノートの記載などの事前学習、実験後のまとめ等の復習の習慣を身に着ける必要がある。
レポート等で評価(レポートが一通でも未提出の場合は不合格)。詳細は実験テキストに記載。実験の予習としては実験計画書の作成、復習としてはレポートの完成と提出を求める。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
1)有機化学分野: 実験講義および実験計画書の作成。 |
安全に精度の高い実験が可能な計画書が作成できる。
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2週 |
ジベンザルアセトンの合成(アルドール縮合反応),吸引ろ過による粗結晶の回収,恒量操作。 |
ジベンザルアセトンの粗結晶が回収できる。
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3週 |
ジベンザルアセトンの再結晶,吸引ろ過による精結晶の回収,恒量操作。 |
ジベンザルアセトンの精結晶が回収できる。
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4週 |
ジベンザルアセトンのNMR測定,IR測定,融点測定。 |
NMR測定,IR測定,融点測定で正確な実験データが得られる。
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5週 |
実験報告書の作成。 |
得られた実験結果について,根拠を明確に示しながら論理的に考察できる。
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6週 |
2)無機化学分野: 実験講義および事前レポートの作成。 |
安全に精度の高い実験が可能な計画書が作成できる。
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7週 |
比重と粘度 |
溶液の比重と粘度の測定
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8週 |
原子量測定 |
アルミニウムの原子量測定
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2ndQ |
9週 |
錯体の合成と測定 |
錯体の合成と可視光スペクトルの測定または食塩水の電気分解
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10週 |
実験報告書の作成。 |
得られた実験結果について,根拠を明確に示しながら論理的に考察できる。
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11週 |
3)化学工学分野: 実験講義および事前レポートの作成。 |
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12週 |
伝熱速度の実験 |
伝熱速度の実験により、熱伝導率と伝熱係数について理解する
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13週 |
流動実験 |
流動実験を通じて、各部位の圧力損失およびレイノルズ数について理解する
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14週 |
蒸留実験 |
メタノールの蒸留実験において、段数計算を理解する
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15週 |
レポート作成 |
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16週 |
※1)~3)を1分野5週間でローテーション |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 物理化学 | 放射線の種類と性質を説明できる。 | 3 | 前1,前3 |
分野別の工学実験・実習能力 | 化学・生物系分野【実験・実習能力】 | 有機化学実験 | 蒸留による精製ができる。 | 4 | |
吸引ろ過ができる。 | 4 | 前1,前2,前3,前5 |
再結晶による精製ができる。 | 4 | 前1,前3,前5 |
薄層クロマトグラフィによる反応の追跡ができる。 | 4 | |
融点または沸点から生成物の確認と純度の検討ができる。 | 4 | 前1,前4,前5 |
収率の計算ができる。 | 4 | 前1,前2,前3,前5 |
物理化学実験 | 温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。 | 4 | 前7,前8,前9 |
各種密度計(ゲールサック、オストワルド等)を用いて、液体および固体の正確な密度を測定し、測定原理を説明できる。 | 4 | 前7 |
粘度計を用いて、各種液体・溶液の粘度を測定し、濃度依存性を説明できる。 | 4 | 前7 |
化学工学実験 | 流量・流速の計測、温度測定など化学プラント等で計測される諸物性の測定方法を説明できる。 | 4 | 前12 |
液体に関する単位操作として、特に蒸留操作の原理を理解しデータ解析の計算ができる。 | 4 | 前14 |
流体の関わる現象に関する実験を通して、気体あるいは液体の物質移動に関する原理・法則を理解し、物質収支やエネルギー収支の計算をすることができる。 | 4 | 前13 |
評価割合
| レポート | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 90 | 0 | 0 | 10 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 90 | 0 | 0 | 10 | 0 | 0 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |