高分子化学

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 高分子化学
科目番号 0157 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 高分子合成化学 (井上祥平著、裳華房)
担当教員 中川 修

到達目標

高分子化合物の構造上の特徴と発現する性質について、低分子化合物と比較しながら説明できるようになる。高分子合成にはいくつかの方法があるが、その種類やその方法で得られる代表的な高分子化合物を説明できるようになる。ラジカル重合とイオン重合の特徴を理解し、それらの相違点を説明できるようになる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
高分子化合物の特徴な構造および性質を説明できる高分子化合物の種々の特徴を低分子化合物と比較して説明することができる。高分子化合物の種々の特徴を説明することができる。高分子化合物の構造の特徴を挙げることができる。高分子化合物の構造の特徴を挙げることができない。
高分子化合物の一次構造と性質の関係を説明できる高分子化合物の一次構造と性質の関係について説明することができる。高分子化合物の一次構造を挙げ、説明することができる。高分子化合物の一次構造の種類を挙げることができる。高分子化合物の一次構造の種類を挙げることができない。
高分子化合物の熱的性質が説明できる高分子化合物の状態変化を構造に関連付けて説明ができる。高分子化合物の状態変化およびガラス転移について説明ができる。高分子化合物の状態変化を説明できる。高分子化合物の状態変化を説明できない。
重合反応の種類について説明できる縮合重合、付加重合などの重合反応を相違点を明確にしながら説明できる。縮合重合、付加重合などの重合反応を説明できる。重合反応の種類を挙げることができる。重合反応の種類を挙げることができない。
ラジカル重合について説明できるラジカル重合の反応速度など、動力学について説明できる。ラジカル重合の素反応を説明できる。ラジカル重合の素反応を挙げることができる。ラジカル重合の素反応を挙げることができない。
イオン(アニオン・カチオン)重合について説明できるイオン(アニオン・カチオン)重合の特徴をラジカル重合と比較しながら説明することができるイオン(アニオン・カチオン)重合の特徴を挙げ、説明ができる。イオン(アニオン・カチオン)重合の特徴を挙げることができる。イオン(アニオン・カチオン)重合の特徴を挙げることができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
3年・4年で有機化学の基礎、また、3年の化学Ⅵで高分子化学の入門編的な知識を学習済みである。本講義では、高分子化合物の特徴を低分子化合物と比較しながら学習したのち、高分子を合成する反応すなわち重合反応について詳しく学習する。
授業の進め方・方法:
使用する教科書の内容を具体例を挙げながら説明していく。要点を黒板にまとめていくので、講義用ノートを用意すること。途中で理解度を確認するため中間試験を実施する。
この授業は学修単位科目であるため、毎回与えられる課題にも取り組む必要がある。
注意点:
有機化学および3年次の化学Ⅴ・Ⅵの講義内容を再確認しておくこと。ノートを準備しておくこと。
欠課時間数が授業時間数の3分の1を超えた者には単位を認定しない。
評価は下記のとおり原則として定期試験で行うが、毎回の学修課題やその他の提出物をすべて提出済みであることが評価の前提となる。
予習・復習を欠かさず自学自習の習慣を確立させること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス、化学Ⅵの復習 天然高分子化合物と合成高分子化合物の違い、それらの分類について説明できる。
2週 高分子化合物の構造的な特徴 高分子化合物の一次構造、高次構造について理解し、分子量などの一次構造と性質の関係について説明できる。
3週 高分子化合物の状態変化 高分子の状態変化および熱的性質について説明ができる。
4週 高分子化合物の種類と性質 代表的な高分子化合物を理解し、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の分類と熱的性質について説明できる。
5週 重合反応の分類 縮合重合、重付加、付加重合、開環重合など、重合反応の分類とそれらから得られる代表的な高分子化合物について説明ができる。
6週 縮合重合(1) 縮合重合の反応速度式、反応率と平均重合度の関係について説明ができる。
7週 縮合重合(2) 縮合重合では、反応させる官能基の量比が重合度に影響することを説明できる。
8週 中間テスト 本講義前半の達成度を確認する。
2ndQ
9週 ラジカル重合(1) ラジカル重合の素反応である開始反応、成長反応、停止反応、連鎖移動を説明できる。
10週 ラジカル重合(2) ラジカル重合の方法、すなわち、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合の特徴を説明できる。
11週 ラジカル重合(3) ラジカル共重合におけるモノマー反応性比、Q-e値を理解し、ポリマーの構造を予測できる。
12週 アニオン重合(1) アニオン重合の素反応である開始反応、成長反応、停止反応を説明できる。
13週 アニオン重合(2) アニオン重合性のモノマーとアニオン開始剤の種類について説明ができる。
アニオン共重合の特徴をラジカル共重合と比較できる。
14週 カチオン重合 カチオン重合するモノマーの特徴とカチオン開始剤の特徴について説明できる。カチオン重合で留意すべき副反応を説明できる。
15週 まとめ 学習範囲で理解度が低いところがあれば、復習すべき内容を確認する。
16週 期末試験答案返却 本講義後半の達成度を確認する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。4前1
高分子化合物がどのようなものか説明できる。4前2,前8
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。4前4,前8
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。4前2,前8
高分子の熱的性質を説明できる。4前3,前4,前8
重合反応について説明できる。4前5,前8
重縮合・付加重合・重付加・開環重合などの代表的な高分子合成反応を説明でき、どのような高分子がこの反応によりできているか区別できる。4前5,前8
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の反応を説明できる。4前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の特徴を説明できる。4前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16

評価割合

試験合計
総合評価割合100100
基礎的能力3030
専門的能力7070