物質工学基礎実験I

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 物質工学基礎実験I
科目番号 1132 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 物質工学科 対象学年 2
開設期 前期 週時間数 6
教科書/教材 プリント(担当者で作成したもの)・基礎分析化学実験(東京化学同人)
担当教員 北折 典之,中川 修,城石 英伸,山本 祥正

到達目標

1年生のものづくり基礎工学では、化学実験を経験し化学のおもしろさを体感することが大きな目標であったが、2年生の物質工学基礎実験Ⅰ・Ⅱでは、各分野の基本的な実験単位操作を学び、3年生の物質工学実験Ⅰ・Ⅱ、4年生の物質工学実験ⅢA・ⅢBで行うより高度な実験操作に対応するための基礎をつくることを目標とする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
実験実習の取組実験実習に参加し、実験手順および結果を明瞭なレポートにして報告することができる。実験実習に参加し、実験手順および結果をレポートにまとめることができる。実験実習に参加し、実験器具を扱うことができる。すべての実験実習に出席していない。
滴定操作滴定操作を実施し、その手順および測定値を示すことができ、水溶液の濃度を正確に求めることができる。滴定操作を実施し、その手順および測定値を示すことができる。滴定操作ができる。滴定操作ができない。
pH測定pHメーターで酸性水溶液のpHを測定し、その手順および測定値を示し、強酸と弱酸の違いを理解できる。pHメーターで酸性水溶液のpHを測定し、その手順および測定値を示すことができる。pHメーターを用いて水溶液のpHを測定できる。pH測定ができない。
電気めっき電気めっきの操作を行い、その手順および測定値を示し、ファラデーの法則の検証ができる。電気めっきの操作を行い、その手順および測定値を示すことができる。電気分解の装置を組み立て、電気めっきができる。電気めっきの操作ができない。
パソコンの仕組みとセキュリティパソコンの仕組みを理解し,コンピュータのセキュリティについて実践できるパソコンの仕組みとセキュリティが理解できる最低限のパソコンの仕組みとセキュリティが理解できるパソコンの仕組みとセキュリティが理解できない
パソコンを使った作図パソコンを使って図をきれいに作成できるパソコンを使って図を作成できるパソコンを使って簡単な図を作成できるパソコンを使って図を作成できない
表計算ソフトや数式処理ソフトでの計算とグラフ作成ExcelやMaximaで高度な計算ができ,適切なグラフを作成できる表計算ソフトや数式処理ソフトで簡単な計算ができ,簡単なグラフを作成できる表計算ソフトや数式処理ソフトで最低限の計算ができ,最低限のグラフを作成できる表計算ソフトや数式処理ソフトで計算ができず,グラフも作成することができない
VBAを使ったプログラミングVBAを使って思い通りのプログラミングができる。VBAで書かれたプログラミングが理解でき,改造できる。VBAで書かれた基本的なプログラミングが理解できる。VBAで書かれたプログラミングが理解できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
1年生のものづくり基礎工学で化学のおもしろさを学んだあと、本科目では各分野の実験における基本的な単位操作を学び、操作スキルを確実に身につける。また、3年生の「物質工学実験Ⅰ・Ⅱ」では基本的な単位操作を組み合わせた実験を行い、実験の再現が可能な実験操作手順を示すことが求められるので、その前段階として各単位操作の原理を理解する科目とも位置づけている。また,コンピュータを用いた作図・動画作成・実験データの処理等に必要なプログラミングの知識も学習する.
授業の進め方・方法:
6限のうち,4限は実験実習にあて,残り2限はコンピュータを用いた実習を行う.
注意点:
実験実習では専用の実験ノートを用意すること。指示された持ち物を忘れないこと。事故や危険を避けるため指導者の指示を忠実に守ること。実験計画の提出がない者には実験させない。
コンピュータ実習は演習室で行う。演習室利用規則に従う事。授業の予習・復習及び演習については自学自習により取り組み学修すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 (実験実習)ガイダンスと安全講習
(情報実習)情報セキュリティ(コンピュータウィルス),化学系のWord,Excel入門
(実験実習)化学実験に潜む危険を学ぶ。
(情報実習)コンピュータウィルスの対策方法がわかる.また,化学系でよく使用するWord,Excelの機能が使用できる.
2週 (実験実習)講義   : 誤差、ガラス器具の取り扱い、用途、容量測定について
(情報実習)情報リテラシー(SNSの注意点,情報の信頼度),コンピュータを用いた作図
(実験実習)器具の基本的な特徴を理解する。
(情報実習)情報の信頼度やSNSの注意点が把握できる.また,コンピュータを用いた作図ができる.
3週 (実験実習)実験1-1: 各種ガラス器具による水100mLの体積測定
(情報実習)Excelの使い方(正規分布,標準偏差他)
(実験実習)ビーカー、メスフラスコ、ホールピペット、メスシリンダー、駒込ピペット等の器具の取り扱いを覚える。
(情報実習)正規分布が理解できる.標準偏差等を算出することができる.
4週 (実験実習)実験1-1をもう一度行う。
実験1-2: ビュレットで既定量を決まった時間で滴下する。
(情報実習)Maximaの使い方(1)
(実験実習)メスフラスコ、ホールピペットを決まった時間で扱えるようにする。
(情報実習)数式処理ソフトを使って,代表的な数式の処理をしたり,グラフが書けるようになる.
5週 (実験実習)実験1-2をもう一度行う。
実験1-3: おかわりの問題:100mL測定するのに、10回・2回・1回で採取する場合の誤差など
(情報実習)学園祭での発表計画
(実験実習)採取する誤差を理解する。
(情報実習)グループで発表計画を立てる
6週 (実験実習)講義   : 標準溶液の測定:水酸化ナトリウム溶液の調製と濃度測定に関する講義
(情報実習)数式処理ソフトMaximaの使い方(2)
(実験実習)中和滴定の原理を理解する。中和点を計算で求めることができる。
(情報実習)数式処理ソフトを使って,方程式や微分を解くことができる.
7週 (実験実習)実験2-1: 水酸化ナトリウム溶液の調製、フタル酸水素カリウム標準溶液の調製
(情報実習)Excelの高度な使い方(1)
(実験実習)試薬の調製ができること。
(情報実習)条件付き書式,グラフ第2軸,ゴールシークが使えるようになる.
8週 (実験実習)実験2-2: 0.1M水酸化ナトリウム溶液の調製
(情報実習)Excelの高度な使い方(2)
(実験実習)決まった濃度の試薬の調製ができること。
(情報実習)ソルバー,度数分布・ヒストグラムが書けるようになる.
2ndQ
9週 (実験実習)実験2-3: 0.1M水酸化ナトリウム溶液を用いて未知濃度の食酢の濃度決定
(情報実習)Excel VBA(1)
(実験実習)中和滴定で、濃度を定量できること。
(情報実習)関数を作成することができる
10週 (実験実習)講義   : 化学反応の相性の問題(定性分析)と基本操作を学習:pH調整、分離・濾過などの操作
(情報実習)Excel VBA(2)
(実験実習)化学反応の進み方、基本法則等について理解すること。
(情報実習)VBAの基本構文がわかる.
11週 (実験実習)実験3-1: 各種溶液のpH測定:強酸と弱酸の希釈
(情報実習)Excel VBA(3)
(実験実習)電離とpHについて理解すること。
(情報実習)VBAの基本構文がわかる.
12週 (実験実習)実験3-2: 定性分析:塩化銀の沈殿生成と確認
(情報実習)Excel VBA(4)
(実験実習)定性分析の基本を理解すること。
(情報実習)文字列操作・ファイル操作がわかる.
13週 (実験実習)実験3-3: 電気めっき
(情報実習)Excel VBA(5)
(実験実習)電気めっきの実験でファラデーの法則を説明できること。
(情報実習)
14週 学園祭に向けた実験の動画撮影 (実験実習)実技やレポートの問題点について理解する。
(情報実習)モンテカルロ法がわかる.
15週 講評 実験実習および情報実習について振り返り、後期の実習に向けた課題を明確にする。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。3
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。3
測定と測定値の取り扱いができる。3
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。3
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。3
ガラス器具の取り扱いができる。3
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3
試薬の調製ができる。3
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3
情報リテラシー情報リテラシー情報セキュリティの必要性および守るべき情報を認識している。3
個人情報とプライバシー保護の考え方についての基本的な配慮ができる。3
インターネット(SNSを含む)やコンピュータの利用における様々な脅威を認識している3
インターネット(SNSを含む)やコンピュータの利用における様々な脅威に対して実践すべき対策を説明できる。3
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】分析化学実験中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。4
陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。4
物理化学実験温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。3

評価割合

実験取組態度情報実験実習レポート情報実習レポート情報実習試験合計
総合評価割合42281515100
基礎的能力00101020
専門的能力42285580