有機化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 2019
授業科目 有機化学Ⅰ
科目番号 1147 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 マクマリー 有機化学概説 東京化学同人
担当教員 町田 茂

到達目標

有機化合物の性質や有機反応を電荷の偏りや電子の流れで理解するために、原子構造、電子配置、原子軌道、混成軌道、電気陰性度の違いによる電荷の偏り、電子の非局在化、反応中間体の安定性等の基本的な考え方を学ぶ。また、アルカン、アルケン、アルキンの命名法、構造、性質、反応性について理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1IUPACの命名法を十分に理解し、複雑な構造のアルカン、アルケン、アルキンについて構造から名前、名前から構造の変換ができる。IUPACの命名法を理解し、標準的な構造のアルカン、アルケン、アルキンについて構造から名前、名前から構造の変換ができる。IUPACの命名法の基礎を理解し、簡単な構造のアルカン、アルケン、アルキンについて構造から名前、名前から構造の変換ができる。IUPACの命名法を理解しておらず、簡単な構造のアルカン、アルケン、アルキンについて構造から名前、名前から構造の変換ができない。
評価項目2原子構造、電子配置、原子軌道、混成軌道について高度な説明ができる。代表的な元素、化合物について、原子構造、電子配置、原子軌道、混成軌道を説明できる。簡単な元素、化合物について、原子構造、電子配置、原子軌道、混成軌道を説明できる。原子構造、電子配置、原子軌道、混成軌道の基本を理解していない。
評価項目3電気陰性度の違いによる電荷の偏り、電子の非局在化を理解し、化合物、官能基毎に高度な説明ができる。代表的な分子、官能基について、電気陰性度の違いによる電荷の偏り、電子の非局在化を理解し、化合物、官能基毎に説明できる。簡単な分子、官能基について、電気陰性度の違いによる電荷の偏り、電子の非局在化を理解し、化合物、官能基毎に説明できる。電気陰性度の違いによる電荷の偏り、電子の非局在化を理解できない。
評価項目4アルカンの構造、性質、反応について高度な説明ができる。代表的なアルカンの構造、性質、反応について説明できる。簡単なアルカンの構造、性質、反応について説明できる。アルカンの構造、性質、反応について説明できない。
評価項目5アルケンの構造、性質、反応について高度な説明ができる。代表的なアルケンの構造、性質、反応について説明できる。簡単なアルケンの構造、性質、反応について説明できる。アルケンの構造、性質、反応について説明できない。
評価項目6アルキンの構造、性質、反応について高度な説明ができる。代表的なアルキンの構造、性質、反応について説明できる。簡単なアルキンの構造、性質、反応について説明できる。アルキンの構造、性質、反応について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
有機化学Ⅰでは、有機化合物の性質や有機反応の機構を、電荷の偏りや電子の流れで理解するために必要な基礎的な知識を学ぶ。また、アルカン、アルケン、アルキンの命名法、構造、性質、反応性について理解する。4年次の有機化学Ⅱや有機化学Ⅲを理解する上で大切な科目であり、電荷の偏りや電子の流れで性質や反応を理解できるようになれば、有機化学は暗記科目ではなくなる。
授業の進め方・方法:
各定期試験までに教科書の2章分を講義する。講義の最初でも前回の講義内容についてもう一度話をするが、基礎科目は反復的な学習が重要なので自宅での復習を必ず行うこと。講義の中で教科書の重要な箇所には印をつけるように言うので、板書内容と併せて重点をおいて復習すると効率が良い。
注意点:
本科目の成績は定期試験のみならず、予習・復習等の自学自習の実施状況も考慮して判断される。したがって自学自習の習慣も身につけることが重要である。
有機化学は基礎科目なので,理解できていない章がないようにすることが重要である。化学Ⅴで学んだことも参考になるので適宜復習すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 原子の構造,電子配置,電気陰性度,結合について学ぶ。 原子の構造,電子配置,電気陰性度,結合について説明できる。
2週 原子軌道,混成軌道について学ぶ。 原子軌道,混成軌道について説明できる。
3週 酸塩基,平衡について学ぶ。 原子軌道,混成軌道について説明できる。
4週 アルカン,アルキル基の命名法,異性体について学ぶ。 アルカン,アルキル基の命名法,異性体について説明できる。
5週 アルカンの物性について学ぶ1。 アルカンの物性について説明できる。
6週 アルカンの物性について学ぶ2。 アルカンの物性について説明できる。アルカンの立体配座について説明できる。
7週 後期中間試験および答案返却・解説。 後期前半を振り返って到達度を確認する。
8週 アルケンの命名法,電子構造,異性体について学ぶ。 アルケンの命名法,電子構造,異性体について説明できる。
4thQ
9週 アルケンの反応,反応速度と平衡について学ぶ。 アルケンの反応,反応速度と平衡について説明できる。
10週 反応のエネルギー図,反応中間体について学ぶ。 反応のエネルギー図,反応中間体について説明できる。
11週 アルケンへの付加反応,Markovnikov則,カルボカチオン中間体について学ぶ。 アルケンへの付加反応,Markovnikov則,カルボカチオン中間体について説明できる。
12週 脱離反応,Zaitsev則,水素化,酸化について学ぶ。 脱離反応,Zaitsev則,水素化,酸化について説明できる。
13週 共役ジエンについて学ぶ。 共役ジエンについて説明できる。
14週 共鳴 について学ぶ。 共鳴 について説明できる。
15週 アルキンの命名法、性質、反応について学ぶ。 アルキンの命名法、性質、反応について説明できる。
16週 後期末試験および答案返却・解説。 有機化学Ⅰの学習範囲を振り返って到達度を確認する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。4
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。3
σ結合とπ結合について説明できる。4
混成軌道を用い物質の形を説明できる。4
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。3
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。4
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。4
共鳴構造について説明できる。3
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。4
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。3
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。3
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。3
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。3
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。3
高分子化合物がどのようなものか説明できる。3
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。3
重合反応について説明できる。3
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。3
反応機構に基づき、生成物が予測できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力0000000
専門的能力80000020100
分野横断的能力0000000