化学Ⅴ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 2019
授業科目 化学Ⅴ
科目番号 1166 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 (東京書籍)改訂 化学
担当教員 町田 茂

到達目標

物質は大きく分けると、無機化合物と有機化合物に分類される。まず、有機化合物がどのような化合物であるかを説明できるようになること。次いで、官能基に着目して有機化合物をさらにいくつかのグループに分類できるようになり、それぞれの性質や反応性を説明できるようになること。高校の教科書に記載された有機化合物の基本的な知識の定着が目標となる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
有機化合物の特徴と構造有機化合物の特徴と分類のしかたを説明でき、化学式を決定することができる。有機化合物の特徴と分類のしかたを説明できる。有機化合物の特徴と分類のしかたがわかる。有機化合物の特徴と分類のしかたがわからない。
炭化水素炭化水素の構造式を記述することができ、性質および基本的な反応について高度な説明ができる。炭化水素の構造式が記述でき、性質について標準的な説明ができる。炭化水素の構造やそれらの簡単な性質について説明ができる。炭化水素の構造やそれらの簡単な性質について説明できない。
酸素を含む有機化合物アルコール、エーテルなど酸素を含む有機化合物の構造式を記述でき、性質および基本的な反応について高度な説明ができる。アルコール、エーテルなど酸素を含む有機化合物の構造式が記述でき、性質について標準的な説明ができるアルコール、エーテルなど酸素を含む有機化合物の分類やそれらの簡単な性質について説明できる。アルコール、エーテルなど酸素を含む有機化合物の分類やそれらの簡単な性質について説明できない。
芳香族化合物芳香族化合物の構造式を記述することができ、性質および基本的な反応について高度な説明ができる。芳香族化合物の構造式が記述でき、性質について標準的な説明ができる芳香族化合物の分類やそれらの簡単な性質について説明できる。芳香族化合物の分類やそれらの簡単な性質について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
2年生までに学習した化学Ⅰ~化学Ⅳ、ものづくり基礎工学とともに、化学および工学の基礎科目として位置づけられる。3年生以降の専門科目を理解するうえで重要な科目であり、特に、有機化学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、高分子化学、物質工学実験と密接に関連する。有機化合物の特徴と構造について学習した後、基本的な化合物の反応性と性質を学ぶ。
授業の進め方・方法:
高校の検定教科書を使用して、単元ごとに理解すべき要点を説明していく。具体的には、第5編「有機化合物」を授業計画に従って進めていく。章内の問題および章末の問題を解くと理解が高まるので、予習・復習に役立てること。
注意点:
本科目の成績は定期試験のみならず、予習・復習等の自学自習の実施状況も考慮して判断される。したがって自学自習の習慣も身につけることが重要である。
化学Ⅰ~化学Ⅳ の内容を適宜復習すること。講義用ノートを準備し、授業に集中すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 1章 有機化合物の特徴と構造
1.有機化合物の構造
有機化合物の多様性を説明できる。炭化水素の分類ができる。官能基を分類できる。
2週 1章 有機化合物の特徴と構造
1.有機化合物の構造 2.有機化合物の構造式の決定
有機化合物を構造式で示し、異性体の説明ができる。有機化合物の構造式が決定できる。
3週 2章 炭化水素
1.飽和炭化水素
アルカン・シクロアルカンの構造や基本的な反応について説明できる。
4週 2章 炭化水素
2.不飽和炭化水素
アルケン・アルキンの構造や基本的な反応について説明ができる。シスートランス異性体を説明できる。
5週 3章 酸素を含む有機化合物
1.アルコールとエーテル
アルコールを構造に着目して分類でき、性質や基本的な反応について説明できる。アルコールとエーテルの違いを説明できる。
6週 3章 酸素を含む有機化合物
2.アルデヒドとケトン
カルボニル化合物の構造を理解し、アルデヒドとケトンの構造および性質の違い、基本的な反応について説明できる。
7週 3章 酸素を含む有機化合物
3.カルボン酸とエステル
カルボン酸の誘導体を構造に着目して分類でき、性質や反応について説明できる。鏡像異性体について説明できる。
8週 中間試験 前半の学習内容を確認する。
2ndQ
9週 3章 酸素を含む有機化合物
3.カルボン酸とエステル 4、油脂とセッケン
エステル化反応や油脂のケン化について説明ができる。また、界面活性剤のはたらきを説明できる。
10週 4章 芳香像化合物
1.芳香族炭化水素
芳香族炭化水素の構造異性体について説明できる。また、ハロゲン化やスルホン化などの基本的な置換反応の種類を挙げることができる。
11週 4章 芳香像化合物
2.酸素を含む芳香族化合物
フェノール類の性質をアルコールと比較して説明できる。芳香族カルボン酸を挙げ、性質・用途などを説明できる。
12週 4章 芳香像化合物
3.窒素を含む芳香族化合物
芳香族アミンを挙げ、性質・用途などを説明できる。
13週 4章 芳香像化合物
4.芳香族化合物の分離
エーテルを用いた芳香族化合物の分離方法を原理とともに説明することができる。
14週 5章 有機化合物と人間生活 身の回りにある有機化合物を挙げ、構造や性質に加え、利用方法を説明できる。
15週 前期末試験 後半の学習内容を確認する。
16週 まとめ 化学Ⅴの学習内容をふりかえり、定着度を確認する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。3
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。3
σ結合とπ結合について説明できる。3
混成軌道を用い物質の形を説明できる。3
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。3
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。3
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。3
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。3
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。3
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。3
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。3
無機化学結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。3
水素結合について説明できる。3
物理化学実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。3
混合気体の分圧の計算ができる。3
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。3
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。3
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。3

評価割合

試験課題合計
総合評価割合1000100
基礎的能力1000100
専門的能力000