概要:
生物における「分子生物」分野は,生命現象を自然科学一般の共通言語である「分子」で論じる学問である。本講義では生命現象の根幹にある「遺伝子」に着目し,その構造や機能、発現機構を理解することで医学,工学,農学といった応用分野での研究につながる基礎知識を身に着けることを目標とする。また,「生物」の研究や応用に「微生物」は欠くことができない。「微生物」は生態系の一端を担い、多くの化学工業の発展をもたらし,各種疾患の要因となるなど,ヒトをはじめとする生物が生きる上で非常に重要な必要不可欠なものである。生物学,生物化学,化学工学,無機化学,有機化学などのこれまで学んだ化学の知識を基礎とし,化学・生物学双方から微生物を理解し,その応用利用を学ぶ。
授業の進め方・方法:
微生物学(化学同人)の教科書に従い,さらにプリントを配布する。プリントの内容はパワーポイントでも投影し,同時に板書も行う。
注意点:
中間テストは行わない。教科書を予習すると同時に,各単元終了時に自学自習のためのプリントを配布する。自学自習し提出すること。それによって加点おこなう。学習単位科目であるため、事
前・事後学習としてレポート等を実施します。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス。DNAの構造と機能 |
DNAの化学的な構造と機能について説明できる
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2週 |
遺伝子の複製Ⅰ |
真核生物と原核生物で複製の仕組みを説明できる
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3週 |
遺伝子の複製Ⅱ |
真核生物と原核生物で複製とその正確さを保つ仕組みを説明できる
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4週 |
遺伝子の複製Ⅲ |
真核生物と原核生物で複製とその正確さを保つ仕組みを比較して類似点と相違点を説明できる
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5週 |
遺伝子の転写Ⅰ |
転写の過程について真核生物と原核生物で説明できる。
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6週 |
遺伝子の転写Ⅱ |
転写の過程について真核生物と原核生物で類似点と相違点が説明できる。
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7週 |
遺伝子の転写Ⅲ |
転写の過程について特に真核生物特有の事象も含めて説明できる。
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8週 |
遺伝子の転写Ⅳ |
転写の過程について核内から細胞質への輸送について説明できる。
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2ndQ |
9週 |
遺伝子の翻訳Ⅰ |
翻訳の過程について真核生物と原核生物で説明できる。
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10週 |
遺伝子の翻訳Ⅱ |
翻訳の過程について真核生物で,特有の事象も含めて説明できる
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11週 |
遺伝子の翻訳Ⅲ |
翻訳の過程について真核生物と原核生物で類似点と相違点が説明できる。
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12週 |
遺伝子の翻訳Ⅳ |
翻訳後のタンパク質について説明できる。
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13週 |
微生物学概論 |
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14週 |
微生物の分類1-原核生物,真核生物,ウイルス‐ |
原核微生物の種類と特徴について説明できる。
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15週 |
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16週 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
微生物の分類2-原核生物,真核生物,ウイルス‐ |
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる
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2週 |
微生物の分類3-原核生物,真核生物,ウイルス‐ |
ウイルスについてその定義や性質を説明できる。
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3週 |
微生物の取り扱い 増殖と培養 |
微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。 微生物の育種方法について説明できる。
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4週 |
微生物の取り扱い 増殖と培養 |
微生物の育種方法について説明できる。 微生物の培養方法について説明でき
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5週 |
微生物の取り扱い 滅菌と消毒 |
微生物を安全に取り扱うための滅菌,消毒を効果的に行うために,生体物質の性質を理解している
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6週 |
微生物の取り扱い 滅菌と消毒 |
微生物を安全に取り扱うための滅菌,消毒方法について理解し説明できる。
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7週 |
微生物の応用と利用 |
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。 抗生物質や生理活性物質とその微生物による生産について理解している。 微生物の培養方法について説明でき、安全対
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8週 |
微生物の応用と利用 |
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。 抗生物質や生理活性物質とその微生物による生産について理解している。
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4thQ |
9週 |
カルタヘナ法と生物多様性条約 |
遺伝子組換えや生物を用いた実験を行うための国際法について理解できる
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10週 |
分子生物と微生物の融合ー遺伝子工学技術 |
バイオテクノロジーでよく用いられる技術についてその原理が理解できる
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11週 |
遺伝子工学技術 |
バイオテクノロジーでよく用いられる手法を使った具体的研究について理解できる
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12週 |
遺伝子工学技術 |
バイオテクノロジーでよく用いられる手法を使った具体的研究について理解できる
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13週 |
バイオテクノロジーでよく用いられる手法を使った具体的研究について理解できる |
バイオテクノロジーを用いた技術について例をあげ,その原理と仕組みを説明できる.
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14週 |
バイオテクノロジーでよく用いられる手法を使った具体的研究について理解できる |
バイオテクノロジーを用いた技術について例をあげ,その原理と仕組みを説明できる.
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15週 |
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | ライフサイエンス/アースサイエンス | ライフサイエンス/アースサイエンス | 地球上の生物の多様性について説明できる。 | 4 | 前1,前14,前15 |
生物の共通性と進化の関係について説明できる。 | 4 | 前1,前14,前15 |
生物に共通する性質について説明できる。 | 4 | 前1,前4,前14,前15 |
生態系の構成要素(生産者、消費者、分解者、非生物的環境)とその関係について説明できる。 | 4 | 前1,前14,前15 |
生態ピラミッドについて説明できる。 | 4 | 前1,前14,前15 |
生態系における炭素の循環とエネルギーの流れについて説明できる。 | 4 | 前1,前14,前15 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 基礎生物 | 原核生物と真核生物の違いについて説明できる。 | 4 | 前2,前13,前14,後1,後2 |
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。 | 4 | 前2,後1 |
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。 | 4 | 前2,後1 |
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。 | 4 | 前2 |
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。 | 4 | 前5,前7,前14,前15 |
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。 | 4 | 前1 |
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。 | 4 | 前1,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12 |
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。 | 4 | 前1,前2 |
細胞周期について説明できる。 | 4 | 前2,前3,前4 |
分化について説明できる。 | 4 | 前8,前12 |
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。 | 4 | 前1,前9,前10,前11,前12 |
生物化学 | タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。 | 4 | 前1 |
ヌクレオチドの構造を説明できる。 | 4 | 前1,前2,前3,前4 |
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。 | 4 | 前1,前2,前3,前4 |
DNAの半保存的複製を説明できる。 | 4 | 前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8 |
RNAの種類と働きを列記できる。 | 4 | 前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12 |
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。 | 4 | 前9,前10,前11,前12 |
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。 | 4 | 後7,後8 |
生物工学 | 原核微生物の種類と特徴について説明できる。 | 4 | 前13,前14,後1,後2 |
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。 | 4 | 前14,後1,後2 |
微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。 | 4 | 前15,後3,後4 |
微生物の育種方法について説明できる。 | 4 | 前15,後3,後4,後5,後6 |
微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。 | 4 | 前15,後4,後5,後6 |
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。 | 4 | 後7,後8,後14 |
食品加工と微生物の関係について説明できる。 | 4 | 後7,後8,後14 |
抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。 | 4 | 後7,後8,後14 |
微生物を用いた廃水処理・バイオレメディエーションについて説明できる。 | 4 | 後13,後14 |