コンピュータの内部構造や原理を、主にハードウェア設計技術の観点から習得する.コンピュータを構成する装置類の関連と処理、主要構成技術,アーキテクチャ上のトレードオフについて基礎理解に基づき説明でき,代表的なコンピュータシステムの分類や応用システムについても説明できるよう,さらにはシステム設計手法についても説明できるよう,実験・実習も含め,学習を進める.
概要:
ユニットⅠ(1週~)では,コンピュータの基本構成と原理,演算方式,命令制御方式,ユニットⅡ(6週~)では,回路の構造と設計,割り込み,入出力,メモリアーキテクチャ,ユニットⅢ(10週~)では,プログラムの実行とコンピュータの性能,様々なアーキテクチャと関連設計技術を学ぶ.
汎用コンピュータアーキテク チャの基礎を中心に,ハードウェア設計,コンピュータシステム,システム設計,最近の動向についても学習の幅を広げ,コンピュータの可能性と限界、再構成可能デバイスの応用等を理解することにより,コンピュータをより有効に利用する力を養う.
コンピュータアーキテクチャに関する基本的な知識について定期試験で確認する.レポートは課題を理解し,課題に沿った報告になっているかで評価する.
この科目は10年以上企業で通信・分散プロセッシングを担当していた教員が、その経験を活かしコンピュータの構成や設計手法などについて主として講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
教室での座学を中心とした授業形式で行う.PC,回路・測定装置・CADなどを使用した実験や演習も行う.
ユニットを区切りとして進めるため毎回の授業ではある程度順序等が前後する場合がある.また、アクティブラーニングを取り入れており、毎日の練習問題状況などに基づき最適な学習となるよう順番を入れ替えるなどの場合もある。
適宜配布する課題シートを使って,演習或いは授業内容の整理に,各自及びグループで取り組む.レポート等に関わる事項について指名による回答を求める場合があるので,各自で考えて答える.
原則的に毎回の授業の冒頭は復習に充てるので,前回授業を思い出して当該回の授業に備える.
この科目は学修単位科目のため、自学自習により事前・事後学習として予習、復習及び演習を行うこと。
注意点:
前提として,電子計算機の基礎とプログラミング言語の基本を学んでいることが望ましい.
レポートは必ず指定期限までに提出する.
定期試験だけでなく予習・復習の自学自習も含めて評価されるので、自学自習の習慣を身につけることが必要。授業の予習・復習及び演習については自学自習により取り組み学習する。
板書とスライド(パワーポイント)を併用する。時間は確保するので各自でノートをとり復習等に役立てる。
授業で配布する課題シートは、特に指示しない限り当該回の授業内に提出する。その他のレポート等も必ず指定期日までに提出する。
授業全体を通し、a)グループ内で役割を持って実験ができ、b)CPUとI/O等の並列動作するコンピュータのハードウェアとソフトウェアの関係を理解し、c)マイクロコンピュータ及びCADを用いたシステム設計実験と知識習得を相補的に取り組むことが望まれる。
定期試験だけでなく予習・復習の自学自習も含めて評価されるので、自学自習の習慣を身につけることが必要。HBの黒鉛筆と消えない赤ボールペンを持参し,定期試験にはHBの黒鉛筆と消しゴムを持参する。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
コンピュータの基本構成と原理 |
コンピュータ構造の概要(CPU・主記憶・入出力),コンピュータの動作原理を理解する.
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2週 |
コンピュータにおけるデータ表現 |
符号無し整数,符号付き整数,固定小数点数,浮動小数点数,文字の表現,10進数の表現を理解する.
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3週 |
演算方式 |
符号無し整数,符号付き整数,固定小数点,四則演算,論理シフトと算術シフト,論理演算とALU,命令セットの例,アドッレシングモード,命令フォーマット,種々の命令や命令セットを理解する.
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4週 |
命令制御方式(1) |
制御の実現方式,複雑なコンピュータの命令制御,CISCとRISC,バス制御回路,実際のコンピュータシステムの例を理解する.
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5週 |
命令制御方式(2) |
制御の実現方式,複雑なコンピュータの命令制御,CISCとRISC,バス制御回路,際のコンピュータシステムの例を理解する.
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6週 |
回路の構造と設計 |
プログラマブルロジックとメモリ,再構成可能デバイス,基本回路設計とハードウェア記述言語,CADによ る設計及びシミュレーションを理解する.
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7週 |
割り込み |
割り込み要因,割り込み処理を理解する.
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8週 |
入出力 |
入出力装置,入出力制御を理解する. プロセッサなど内部処理論理の測定方法の基本を理解する.
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2ndQ |
9週 |
メモリアーキテクチャ |
基礎知識,記憶階層,キャッシュ,仮想記憶を理解する.
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10週 |
プログラムの実行とコンピュータの性能(1) |
オペレーティングシステム(OS),ファイルシステム,性能評価方法,集中/分散処理システム,システム設計プロセスとプロジェクト管理を理解する.
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11週 |
プログラムの実行とコンピュータの性能(2) |
分散処理システム,システム設計プロセスとプロジェクト管理を理解する.
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12週 |
様々なアーキテクチャと関連設計技術(1) |
パイプライン制御方式,スーパーパイプライン,スーパースケーラ,デュアル/マルチプロセッサシステム,VLIW,ハードウェア設計要件間トレードオフを理解する.
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13週 |
様々なアーキテクチャと関連設計技術(2) |
パイプライン制御方式,スーパーパイプライン,スーパースケーラ,デュアル/マルチプロセッサシステム,VLIW,ハードウェア設計要件間トレードオフを理解する.
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14週 |
様々なアーキテクチャと関連設計技術(3) |
パイプライン制御方式,スーパーパイプライン,スーパースケーラ,デュアル/マルチプロセッサシステム,VLIW,ハードウェア設計要件間トレードオフを理解する.再構成可能デバイスの応用・計算機基本構造・処理について実験・実習を通し理解する.
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15週 |
復習 |
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 情報系分野 | 計算機工学 | 整数・小数をコンピュータのメモリ上でディジタル表現する方法を説明できる。 | 3 | |
基数が異なる数の間で相互に変換できる。 | 3 | |
整数を2進数、10進数、16進数で表現できる。 | 3 | |
小数を2進数、10進数、16進数で表現できる。 | 3 | |
基本的な論理演算を行うことができる。 | 3 | |
基本的な論理演算を組合わせて、論理関数を論理式として表現できる。 | 3 | |
論理式の簡単化の概念を説明できる。 | 3 | |
簡単化の手法を用いて、与えられた論理関数を簡単化することができる。 | 3 | |
論理ゲートを用いて論理式を組合せ論理回路として表現することができる。 | 4 | |
与えられた組合せ論理回路の機能を説明することができる。 | 4 | |
組合せ論理回路を設計することができる。 | 4 | |
フリップフロップなどの順序回路の基本素子について、その動作と特性を説明することができる。 | 4 | |
レジスタやカウンタなどの基本的な順序回路の動作について説明できる。 | 4 | |
与えられた順序回路の機能を説明することができる。 | 4 | |
順序回路を設計することができる。 | 4 | |
コンピュータを構成する基本的な要素の役割とこれらの間でのデータの流れを説明できる。 | 5 | |
プロセッサを実現するために考案された主要な技術を説明できる。 | 5 | |
メモリシステムを実現するために考案された主要な技術を説明できる。 | 5 | |
入出力を実現するために考案された主要な技術を説明できる。 | 4 | |
コンピュータアーキテクチャにおけるトレードオフについて説明できる。 | 5 | |
ハードウェア記述言語など標準的な手法を用いてハードウェアの設計、検証を行うことができる。 | 3 | |
要求仕様に従って、標準的なプログラマブルデバイスやマイコンを用いたシステムを構成することができる。 | 3 | |
コンピュータシステム | ネットワークコンピューティングや組込みシステムなど、実用に供せられているコンピュータシステムの利用形態について説明できる。 | 3 | |
デュアルシステムやマルチプロセッサシステムなど、コンピュータシステムの信頼性や機能を向上させるための代表的なシステム構成について説明できる。 | 3 | |
集中処理システムについて、それぞれの特徴と代表的な例を説明できる。 | 3 | |
分散処理システムについて、特徴と代表的な例を説明できる。 | 3 | |
システムプログラム | コンピュータシステムにおけるオペレーティングシステムの位置づけを説明できる。 | 4 | |
プロセス管理やスケジューリングなどCPUの仮想化について説明できる。 | 4 | |
排他制御の基本的な考え方について説明できる。 | 4 | |
記憶管理の基本的な考え方について説明できる。 | 3 | |
情報数学・情報理論 | 集合に関する基本的な概念を理解し、集合演算を実行できる。 | 3 | |
集合の間の関係(関数)に関する基本的な概念を説明できる。 | 3 | |
ブール代数に関する基本的な概念を説明できる。 | 3 | |
論理代数と述語論理に関する基本的な概念を説明できる。 | 3 | |
コンピュータ上での数値の表現方法が誤差に関係することを説明できる。 | 3 | |
コンピュータ上で数値計算を行う際に発生する誤差の影響を説明できる。 | 3 | |
情報量の概念・定義を理解し、実際に計算することができる。 | 3 | |