物性物理

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 物性物理
科目番号 0037 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械情報システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 特になし 必要に応じてプリント等を配布する
担当教員 大野 秀樹

到達目標

この授業を通じて、現象の物理的な見方、考え方を身につけて自然現象を系統的、論理的に考えていく力を養っていく。
本講義では、物性物理の基本的な事項について学ぶ。結晶構造と量子力学の基礎、バンド理論の概説に触れ、次のような到達目標を設定する。
【1】ブラペー格子、逆格子空間、逆格子ベクトル、ミラー指数、ブラッグの条件についてその概要を説明でき、関連する基本的な計算ができる。
【2】定常状態のシュレディンガー方程式(無限に深い1次元の井戸型ポテンシャル中)、物理量の期待値、2乗ゆらぎ等について基本的な計算とその意味が理解できる。
【3】円環状における自由電子、周期的ポテンシャル中の電子について、それら電子の取り得るエネルギーの違いについて基本的な事が理解できる。また、それに関する基本的な計算ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1ブラペー格子、逆格子空間、逆格子ベクトル、ミラー指数、ブラッグの条件についてその概要を説明でき、関連する基本的な計算ができる。ブラペー格子、逆格子空間、逆格子ベクトル、ミラー指数、ブラッグの条件についてその基本とつながりを説明できる。ブラペー格子、逆格子空間、逆格子ベクトル、ミラー指数、ブラッグの条件についてその基本を説明できる。ブラペー格子、逆格子空間、逆格子ベクトル、ミラー指数、ブラッグの条件についてその基本を説明できない。
評価項目2定常状態のシュレディンガー方程式(無限に深い1次元の井戸型ポテンシャル中)、物理量の期待値、2乗ゆらぎ等について基本的な計算とその意味が理解できる。定常状態のシュレディンガー方程式(無限に深い1次元の井戸型ポテンシャル中)、物理量の期待値、2乗ゆらぎ等について基本的な計算ができる。定常状態のシュレディンガー方程式(無限に深い1次元の井戸型ポテンシャル中)、物理量の期待値、2乗ゆらぎ等について基礎的な説明ができる。定常状態のシュレディンガー方程式(無限に深い1次元の井戸型ポテンシャル中)、物理量の期待値、2乗ゆらぎ等について基礎的な説明ができない。
評価項目3円環状における自由電子、周期的ポテンシャル中の電子について、それら電子の取り得るエネルギーについて、基礎的な計算ができる。また、その計算結果から電子の取り得るエネルギーの違いがわかり、エネルギーバンドがどのようにできるか理解できる。円環状における自由電子、周期的ポテンシャル中の電子について、それら電子の取り得るエネルギーについて、基礎的な計算ができ、その計算結果から電子の取り得るエネルギーの違いがわかる。円環状における自由電子、周期的ポテンシャル中の電子について、それら電子の取り得るエネルギーについて、基礎的な説明がてきる。円環状における自由電子、周期的ポテンシャル中の電子について、それら電子の取り得るエネルギーについて、基礎的な説明ができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 C5 説明 閉じる

教育方法等

概要:
物性物理の基本的な事項「量子力学の基礎」と「結晶構造の基礎」について理解し、電子線回折やX線回折の簡単な実験データを解析ができるようになること、バンド理論の概要が理解できるようになることが目標である。
授業の進め方・方法:
主に講義形式で行うとともに、課題を課す。
なお、この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習として、予習・復習を行うこと。
注意点:
評価割合の項目別では、それぞれ以下の評価が行われる。
「試験」は1回行われるテストの成績である。
「レポート」は課題レポートの成績である。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス、前期量子論 前期量子論について説明できる。
2週 シュレディンガー方程式の導出 前期量子論を踏まえ、定常状態のシュレディンガー方程式の導出ができる。
3週 無限に深い1次元の井戸型ポテンシャル中の自由電子① シュレディンガー方程式を用いて、波動関数や電子のエネルギーを求めるとともに、その物理的解釈ができる。
4週 無限に深い1次元の井戸型ポテンシャル中の自由電子② シュレディンガー方程式を用いて、位置、の期待値と2乗ゆらぎを求めるとともに、その物理的解釈ができる。
5週 無限に深い1次元の井戸型ポテンシャル中の自由電子③ シュレディンガー方程式を用いて、エネルギーの期待値と2乗ゆらぎを求めるとともに、その物理的解釈ができる。
6週 無限に深い1次元の井戸型ポテンシャル中の自由電子④ シュレディンガー方程式を用いて、運動量の期待値と2乗ゆらぎを求めるとともに、その物理的解釈ができる。また、不確定性原理の概要について説明できる。
7週 シュレディンガー方程式のまとめ シュレディンガー方程式とその解やその性質についてまとめる。
8週 円環上での自由電子 円環上での自由電子の波動関数や電子がもつエネルギーを求められる。
4thQ
9週 周期的なポテンシャルを持つ円環上での電子 ブロッホの定理を理解し、周期的なポテンシャルを持つ円環上での電子の波動関数を表すことができる。
10週 クローニッヒ・ペニーのポテンシャル中での電子 ブロッホの定理とクローニッヒ・ペニーのポテンシャルを用いることで、周期的ポテンシャル中の波動関数、エネルギーに関した計算できる。
11週 エネルギーバンド 前週にひきつづき計算を行い、エネルギーをバンドがどのようにできるかが分かる。
12週 ブラベー格子、空間格子と並進ベクトル、ミラー指数 ブラベー格子を理解できる。立方晶系について、その並進ベクトルとミラー指数を理解し、逆格子ベクトルを求めることができる。
13週 逆格子とX線・電子線回折との関係、ブラッグの条件 逆格子空間を用いて、結晶の回折条件を導き出せる。
14週 多結晶(X線回折実験)データの解釈 具体的な実験データを基に簡単な結晶構造解析を行い、結晶について理解を深める。
15週 本科目のまとめ 本授業のまとめ
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
仕事と仕事率に関する計算ができる。3
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3後3,後11
安全を確保して、実験を行うことができる。3後3,後11
実験報告書を決められた形式で作成できる。3後3,後6,後11
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3後3,後11

評価割合

試験発表相互評価態度レポートその他合計
総合評価割合75000250100
基礎的能力75000250100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000