現代物理実験学(2022年度以降入学生用科目)

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 現代物理実験学(2022年度以降入学生用科目)
科目番号 0040 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械情報システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 必要に応じてプリント配付
担当教員 大野 秀樹

到達目標

現代物理学の一つである量子論の基礎と関連する特殊相対論について理解する。19世紀後半から20世紀にかけて、物理学の視点が大きく変わり、量子論が生まれた経緯を理論と実験とあせて理解していくことを目標とする。先人たちの研究過程の一部分を体験しながら学ぶことにより、今後、自らの専門分野でPDCAサイクルを含む持続可能な研究開発を推進できる能力をつけるたの基礎的な知識および実験スキルを到達目標とする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
特殊相対論の基礎質量とエネルギーが等価であることを理解し、量子論やエネルギーとの関係を説明できる。ローレンツ変換、速度の合成、運動量と質量、質量とエネルギーについて説明できる。相対性原理、光速度不変の原理、ローレンツ変換について説明できる。相対性原理、光速度不変の原理、ローレンツ変換について説明できない。
前期量子論光の粒子性と電子の波動性、原子の構造について説明できる。光の粒子性と電子の波動性、原子の構造について、それらと関係する実験と関連づけて説明できる。光の粒子性と電子の波動性、不確定性原理、原子の構造について説明できる。光の粒子性と電子の波動性、不確定性原理、原子の構造について説明できない。
実験測定における不確かさ不確かさについて説明でき、その基本的な計算ができ評価できる。 不確かさについて説明でき、その基本的な計算ができる。 不確かさについて説明できる。不確かさについて説明できない。
実験実験手順に従い、安全に実験を行い結果を得ることができる。また、その結果を評価し理論との関係について考察できる。実験手順に従い、安全に実験を行い結果を得て、その結果を評価することができる。実験手順に従い、実験を行い結果を得ることができる。安全に実験行うことができない。また、実験結果を得ることができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
現代物理学の一つである量子論の基礎について主に学んでいく。初めに特殊相対論の基礎(ローレンツ変換、速度と質量の関係、質量とエネルギーの関係等)を学び、引き続き前期量子論(プランクの量子仮説からボーアの原子構造)について学ぶ。前期量子論では理論(仮説)だけではなく、それらに関連する重要な実験も行い、理論と実験の両面からアプローチし理解を深める。そして、実験から得られたプランク定数などがSI単位をはじめとする様々な分野で重要な役割を果たしていることを理解する。また、実験による測定値の不確かさについてその概要を理解する。
授業の進め方・方法:
量子論の基礎を学び今後必要とされる量子力学(量子現象)の理解を目標とする学修単位の授業である。この目標を達成するためには,前期量子論について、理論と実験の両サイドからのアプローチを相互的に理解することにある。授業は必要に応じて資料を配付して行う。
注意点:
受講生は必ず予習・復習を行うこと。 また、実験ではレポートの提出も求める。基本的な微積分や微分方程式を用いるので苦手な学生は事前に復習しておくこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 特殊相対論の基礎① ファインマン時計、ローレンツ収縮、ローレンツ変換について説明できる。
2週 特殊相対論の基礎② 合成速度、速度と質量の関係、質量とエネルギーの関係について説明できる。
3週 特殊相対論とエネルギー 核分裂、核融合、質量欠損によるエネルギーについて説明できる。
4週 マイケルソン・モーリーの実験 光速に対する地球の速さの比について説明できる。
5週 プランクの量子仮説(空洞放射の実験) ウィーンの輻射、レイリージーンズの輻射、プランクの量子仮説について説明できる。
6週 光量子仮説(レーナルトの実験) 光量子仮説、光電効果について説明できる。
7週 光子の実在粒子(コンプトン散乱の実験) X線、コンプトン効果、光子の実在について説明できる。
8週 電子の比電荷と比電荷、質量(トムソンの実験とミリカンの実験) 電子の比電荷と素電気量について説明できる。
2ndQ
9週 原子の構造(原子スペクトル測定) 水素原子の構造とボーアの量子条件について説明できる。
10週 実験① プランク定数の測定 5週で学んだことについて実験を行い考察する。
11週 実験② 水素スペクトルの測定 8週で学んだことについて実験を行い考察する。
12週 実験③ フランク・ヘルツの実験 8週で学んだことについて実験を行い考察する。
13週 実験④ GM計数管による壊変率の測定 不確かさについての実験を行い考察する。
14週 実験における測定量の扱い方 不確かさの意味を理解するとともに誤差との違いを説明できる。
15週 不確かさの評価 不確かさの評価についてその基本的な事を理解できる。また、得られた実験データ(実験④)の統計的取扱についてその基本的な評価(計算)ができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題・実験相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合75250000100
基礎的能力75250000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000