概要:
電気電子工学およびその関連分野における高度の演習を行い、問題解決能力の育成を図る。「情報・通信」、「電子物性・デバイス」、「回路・エネルギー・制御」の3つの分野から、課題を選択する.
授業の進め方・方法:
各指導教員との話し合いにより,指導記録書を作成しながら研究課題を取り組む.下記テーマの中から各自4テーマを選択すること.
(1)綾野秀樹:「半導体電力変換工学」
英語文献を参考に,電力変換技術について理論を学習する。
参考文献はJ.G.Kassakian 著 Principle of Power Electronics などを使用する。
(2)一戸隆久:「材料評価技術演習」
半導体などの材料評価に用いられる計測機器を用いて実際に測定を行い、材料評価技術について学習する。
(3)伊藤 浩:「集積回路工学」
集積回路設計CADソフトを使ってシフトレジスタや加算回路などの回路を設計し,回路抽出と回路シミュレーションによる動作確認を行ない,集積回路設計の基本技術について学ぶ。
(4)大塚友彦:「CMOSインバータのパルス応答波形解析演習」
MOSトランジスタを用いたCMOS論理回路の基礎として、CMOSインバータのパルス応答波形について、回路微分方程式を解析する。
(5)加藤 格:「文献検索法の修得と文献調査」
学術研究を行う上で、関連分野の研究論文や特許を検索し、既応の研究について把握することは重要かつ最初の仕事である。そこで、種々の文献検索方法について学習し、自分自身の研究に役立てるための検索方法について調査する。自分の研究キーワードを設定して、文献検索を行い、検出された文献の中から適切な論文を選び、丁寧に解読しレポートにまとめる。
(6)姜 玄浩:「ディープラーニングの基本」
ディープラーニング(深層学習)は人工知能の急速な発展を支える技術として,様々な分野への実用化が進んでいる.今回の特別演習では,様々な簡単な例題を通じて実際に実習してみることを目標とする.
事前にPythonの理解,ノートパソコンの用意が必要である.
(7)木村知彦:「システム同定に関する演習」
制御系設計ツール(MATLAB/Simlink)を用いたシミュレーションにより、過渡応答データ(実験によって得られる「データ」)を利用した制御対象のモデルを推定する手法について学ぶ。
(8)小池清之:「ディジタル通信システムのシミュレーション」
ディジタル通信システムのモデル化に関連する課題を与え、C言語によるプログラミングを通じて研究遂行に必要なシミュレーション技法を習得させる。
(9)武田美咲:「計算論的神経科学概論」
ヒト脳の情報処理機構の解明を目的とする「計算論的神経科学」という分野を紹介する。
計算論的神経科学を学ぶために必要な工学知識は何かを理解する。
特に、運動制御において発展してきた最適化理論に基づく軌道計画モデルについて学ぶ。
(10)舘泉雄治:「計算機工学」
ハードウェア、OS・ソフトウェア、ネットワーク・セキュリティの3項目について、UNIXワークステーション、ネットワーク機器などを用いて実機を操作しながら学んで行く。
(11)玉田耕治「電気電子材料工学」
半導体工学関連の演習を行う。英語による半導体工学の演習問題を解くことにより、電子材料工学の基本的な計算能力と本授業の目標にある英語の読解力と表現力を養う。
(12)永井 翠:「生体情報工学」 → R3年度は開講せず。
体が発生している電気について発生原因などについて習得する.また,体の持っているセンサがどのように工学的に応用されているか検討する.
(13)永野健太:「モーションコントロール」
モータなどの動きを制御するための技術であるモーションコントロール技術について、C言語によるシミュレーションを通して学習する。
(14)新國広幸:「光エレクトロニクス」
光エレクトロニクスの重要要素である光検出器(フォトダイオード、太陽電池等)の原理について学習し、実際に光計測用の検出器の設計、評価を行い、光検出の基礎を修得する。受講者は種々の光検出器に関するプレゼン資料を作成し、全員で議論を行う。最後に取り組み内容をレポートにまとめる。
(15)濱住啓之:「高周波特性測定の基礎」
周波数対振幅特性や周波数対位相特性などの諸特性を簡易なベクトルネットワークアナライザを使って測定することで高周波デバイスに関する基礎知識を習得する。
(16)水戸慎一郎:「スピンエレクトロニクス概論」
光と磁気の相互作用である磁気光学効果を主軸としながら、近年活発な研究開発が行われているスピンエレクトロニクスについて学ぶ。各受講者はスピンエレクトロニクスに関するレポート、プレゼン資料を作成し、全員で情報共有と議論を行う。
(17)安田利貴:「生体工学」
生体の機能や特徴などについて工学的に検討し,医療・福祉機器の開発に関する基礎を習得する。
注意点:
研究者としての倫理を忘れないこと.実験を行う際には,実験の安全の手引などに従うこと.実験ノートを作成すること.電気・電子工学および関連分野の知識をまとめておくこと.各種提出物については,定められた書式,部数および提出期限を厳守すること。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 専門的能力の実質化 | PBL教育 | PBL教育 | 工学が関わっている数々の事象について、自らの専門知識を駆使して、情報を収集することができる。 | 3 | |
集められた情報をもとに、状況を適確に分析することができる。 | 3 | |
与えられた目標を達成するための解決方法を考えることができる。 | 3 | |
状況分析の結果、問題(課題)を明確化することができる。 | 3 | |
各種の発想法や計画立案手法を用いると、課題解決の際、効率的、合理的にプロジェクトを進めることができることを知っている。 | 3 | |
各種の発想法、計画立案手法を用い、より効率的、合理的にプロジェクトを進めることができる。 | 3 | |
共同教育 | 共同教育 | 技術者として、社会に対して有益な価値を提供するために存在し、社会の期待に十分応えられてこそ、存在の価値のあることを理解できる。 | 3 | |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 3 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 3 | |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 3 | |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 3 | |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 3 | |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 3 | |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 3 | |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 現状と目標を把握し、その乖離の中に課題を見つけ、課題の因果関係や優先度を理解し、そこから主要な原因を見出そうと努力し、解決行動の提案をしようとしている。 | 3 | |
現状と目標を把握し、その乖離の中に課題を見つけ、課題の因果関係や優先度を理解し、発見した課題について主要な原因を見出し、論理的に解決策を立案し、具体的な実行策を絞り込むことができる。 | 3 | |
事象の本質を要約・整理し、構造化(誰が見てもわかりやすく)できる。 | 3 | |
複雑な事象の本質を整理し、構造化(誰が見てもわかりやすく)できる。結論の推定をするために、必要な条件を加え、要約・整理した内容から多様な観点を示し、自分の意見や手順を論理的に展開できる。 | 3 | |
態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 日常生活の時間管理、健康管理、金銭管理などができる。常に良い状態を維持するための努力を怠らない。 | 3 | |
ストレスやプレッシャーに対し、自分自身をよく知り、解決を試みる行動をとることができる。日常生活の管理ができるとともに、目標達成のために対処することができる。 | 3 | |
未来の多くの可能性から技術の発展と持続的社会の在り方を理解し、自らのキャリアを考えることができる。 | 3 | |
技術の発展と持続的社会の在り方に関する知識を有し、未来社会を考察することができるとともに、技術の創造や自らのキャリアをデザインすることが考慮できる。 | 3 | |
総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。 | 3 | |
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。 | 3 | |
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。 | 3 | |
クライアントの要求を解決するための設計解を作り出すプロセス理解し、設計解を創案できる。さらに、創案した設計解が要求を解決するものであるかを評価しなければならないことを理解する。 | 3 | |
クライアントの要求を解決するための設計解を作り出すプロセスを理解し、設計解を創案できる。さらに、創案した設計解が要求を解決するものであるかを評価しデザインすることができる。 | 3 | |
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。 | 3 | |
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。 | 3 | |
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。 | 3 | |