電気電子工学特別研究Ⅰ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 電気電子工学特別研究Ⅰ
科目番号 0041 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実習 単位の種別と単位数 学修単位: 4
開設学科 電気電子工学専攻 対象学年 専1
開設期 通期 週時間数 8
教科書/教材 各指導教員による指示
担当教員 新國 広幸

到達目標

電気電子工学と各テーマに関係する応用工学分野を理解した上で,その分野における問題を改善または解決するための手法を開発し,それを検証するための数値実験プログラム開発および検証実験のための装置開発に取り組むことで課題抽出および解決能力を育成すると同時に実践的なものづくり能力を育成する。また、学修内容のプレゼンテーションを通じて,思考を深める討論のスキルを習得させ、修了後も自ら学び続ける能力を養う。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1自主的に研究背景および課題について説明ができ,その課題解決方法が提案できる.指導教官の下で,研究背景および課題について,説明ができ,その課題解決方法が提案できる.指導教員の下で,研究背景および課題について,説明がある程度できる.指導教員の下で,研究背景および課題について,説明ができない.
評価項目2自主的に課題解決方法の提案と計画の立案ができ,計画に従い実行できる.指導教官の下で,課題解決方法の提案と計画の立案ができ,計画に従い実行できる.指導教官の下で,課題解決の計画がある程度できる.指導教官の下で,課題解決の計画が実行できない.
評価項目3自主的に研究結果について,文献調査などを行い考察ができる,また,明確なプレゼンテーションおよび論文の作成ができる.指導教官の下で,研究結果について,文献調査などを行い考察ができる.また,明確なプレゼンテーションおよび論文の作成ができる.指導教官の下で,実験結果の考察がある程度できる.また,プレゼンテーションおよび論文がある程度できる.指導教官の下で,実験結果の考察ができない.また,プレゼンテーションおよび論文ができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本科と専攻科4年間の学習を総括する科目に位置付けられる専攻科2年次の特別研究Ⅱに連続する科目であり,その1年目にあたる科目である。各担当教員の個別指導の下,より専門性の高いテーマに主体的に取り組み,エンジニアリング能力を養う。
授業の進め方・方法:
各指導教員に従い,課題を遂行すること.

綾野秀樹「電力変換装置の高性能化に関する研究」
 本研究では,電力変換器の高性能化(例えば,低損失高効率化技術,小型化実装技術,低ノイズ化技術)について検討する.具体的には,方式検討・理論解析または計算機シミュレーション評価,および実験装置の試作・性能評価を行う.また,外部の専門家と議論する機会を設ける.

伊藤 浩「機能性材料の作製と評価に関する研究」
 本研究では,特に半導体を中心とした機能性材料の薄膜及び微細素子を作製し,結晶・薄膜成長,表面電子物性,電気的特性,光学的特性などの物性評価を行い,光センサ,太陽電池,透明導電膜,MEMSセンサなどの応用へ向けた基礎研究を行う.

新國広幸「光波を利用したセンサに関する研究」
 本研究では,電気を用いたセンサでは危険な化学分野や原子力分野などで安全に使用できる光を利用したセンサの開発を目標としている.さらに,MEMS技術を利用することで,センサの小型化,高性能化の検討を行う.

木村知彦「システム同定および制御器設計に関する研究」
システムを制御するためには,制御対象の特性を理解し,安定性,速応性,定常特性などを考慮して制御器設計をする必要がある.本研究では,前述に示したシステムの制御に関する研究に取り組む.

舘泉雄治「コンピュータ・ネットワークシステムの構築とその評価に関する研究」
 パソコンやスマートフォン,各種のサーバとを結びつけるネットワークを考え,システムの構築や運用,評価などについて実践的に学ぶ.更に,セキュリティの確保や新たなヒューマンインターフェイスの提案,改善などにも取り組む.

玉田耕治「新規性電気電子材料の作製と基礎評価」
 電気電子材料に関して,作製および評価技術を学修を最終目的とし,実践的な電気電子材料開発の能力を育成する.また,修了後も自らを成長させ続けていくための基礎力を養成する.

大塚友彦「デジタルシステムにおける多次元信号解析に関する研究」
 本研究では,生体信号や生態情報等の多次元信号解析について検討する.医療工学,防犯・事故防止技術,生態認証等へ応用するための方式検討・理論解析または計算機シミュレーション評価,及び実験装置の試作・性能評価を行う.

加藤 格「物理的・化学的手法を用いた機能性材料の開発及び物質の有効利用に関する研究」
 本研究では,資源リサイクルや環境浄化および機能性材料の開発などのテーマに取り組み,実践的開発応用能力を育成する.また環境評価手法を用いて,製造プロセスやリサイクルプロセスの環境評価を行い,総合的な考察力を育成する.

加藤 格「先端電子材料の開発と応用に関する研究」
 磁気光学材料、電子光学材料、熱電材料などの機能性材料を応用することで、従来の電子材料では実現できない新規デバイスの実現が期待できる。そこで本科目では、機能性材料をベースとした新規デバイスのシミュレーション、作製、及び評価を行う。

小池清之「ディジタル無線システムにおける通信信号処理に関する研究」
 通信システムのモデル化から始め,その中で通信の信頼性を担う符復号システム,変復調システム,通信チャネルにフォーカスを当ててゆく.そこにある問題をリサーチし,それを解決する従来手法の改良や新たな手法の提案を試みる.

一戸隆久「荷電粒子を用いた薄膜材料創成に関する研究」
 新しい機能性・特性を有する電子材料の開発が現代エレクトロニクスの発展に寄与している.本研究では最先端の論文を引用しながら材料プロセスが薄膜材料の物性に与える影響について基本的な薄膜評価技術を用いて実験的に調べ,薄膜材料創成について検討する.

安田利貴「医療福祉機器の開発のための基礎研究」
 電子工学,メカトロニクス,情報工学を基礎として,これらを複合的に活用することで,医療,福祉機器の開発,評価技法を習得する.特に,工学者としての倫理を元に,安全性を考慮した実験計画を構築する.また,必要に応じ外部研究機関において議論などを行い,説明能力を習得させる.
注意点:
評価は,研究発表および普段の研究態度などの総合的な判断とする.評価法の各項目60%以上の達成度で「合」と認定する.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3
技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。3
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。3
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。3
社会における技術者の役割と責任を説明できる。3
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。3
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。3
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。3
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。3
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。3
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。3
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。3
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。3
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。3
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。3
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。3
他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。3
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。3
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。3
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。3
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。3
他者の意見を聞き合意形成することができる。3
合意形成のために会話を成立させることができる。3
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。3
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。3
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。3
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。3
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。3
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる3
複数の情報を整理・構造化できる。3
特性要因図、樹形図、ロジックツリーなど課題発見・現状分析のために効果的な図や表を用いることができる。3
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。3
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。3
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。3
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。3
事実をもとに論理や考察を展開できる。3
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。3
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。3
目標の実現に向けて計画ができる。3
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。3
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。3
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。3
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。3
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。3
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている3
法令やルールを遵守した行動をとれる。3
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。3
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。3
自身の将来のありたい姿(キャリアデザイン)を明確化できる。3
その時々で自らの現状を認識し、将来のありたい姿に向かっていくために現状で必要な学習や活動を考えることができる。3
キャリアの実現に向かって卒業後も継続的に学習する必要性を認識している。3
これからのキャリアの中で、様々な困難があることを認識し、困難に直面したときの対処のありかた(一人で悩まない、優先すべきことを多面的に判断できるなど)を認識している。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業や大学等でどのように活用・応用されるかを説明できる。3
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。3
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。3
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。3
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。3
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。3
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合0301515040100
基礎的能力0105501535
専門的能力0105501535
分野横断的能力0105501030