電気機器工学特論(2022年度以降入学生用科目)

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 電気機器工学特論(2022年度以降入学生用科目)
科目番号 0056 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気電子工学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 不要であるが,次の教科書を参考にしても良い。書名:電動機制御工学 著者:松瀬貢規 発行所:電気学会
担当教員 綾野 秀樹

到達目標

持続可能な社会の実現に向けて、産業製品や家電製品ではクリーンな動力駆動技術が求めらえれている。例えば,2030年代にはガソリン車のエンジンは電動化の方向に進み、自動車による地球温暖化の要因となるCO2やNOxなどの排出量を減らし、気候変動を抑制することが世界での共通認識となっている。本科目では、電動駆動技術として使用されるブラシレス直流電動機について、その等価回路による解析法、制御法について理解した上で、制御用の計算機実験ツールを使用した制御設計法を理解する。さらに、ブラシレス直流電動機を駆動制御する電力変換装置の構成を理解する。
【ディプロマ・ポリシー及びSDGsとの関係】 ディプロマ・ポリシー: (1), (2), (3)  SDGs: 7,9,13

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1電動機制御のためのベクトル制御を理解し、制御に適用できる。電動機制御のためのベクトル制御の概要を説明できる。電動機制御のためのベクトル制御の概要を部分的に説明できる。電動機制御のためのベクトル制御の概要を説明できない。
評価項目2制御用の数値計算ツールを使用し、電動機制御を計算機実験した上で現象を説明できる制御用の数値計算ツールを使用し、電動機制御を計算機実験できる。制御用の数値計算ツールを使用し、電動機制御を部分的に計算機実験できる。制御用の数値計算ツールを使用し、電動機制御を計算機実験できない。
評価項目3電力変換器について物理現象を踏まえながら説明できる。電力変換器について概要を説明できる。電力変換器について概要を部分的に説明できる。電力変換器について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
持続可能な社会の実現に向けてクリーンな動力駆動技術として産業製品や家電製品で広く使用されるブラシレス直流電動機について、その等価回路による解析法、制御法について理解した上で計算機実験ツールを使用した制御設計法を理解する。さらに、ブラシレス直流電動機を駆動制御する電力変換装置の構成を理解する。本科目はSDGsの7,9,13の項目に関連する。特に電動化によるモータ駆動技術が環境に与える影響を意識し、産業製品として複合・融合的に応用可能な能力を身につける。
授業の進め方・方法:
企業において電動機制御を行っていた担当教員の経験を活かし、ブラシレス直流電動機の制御方法について学ぶ。特に回転座標変換を伴うベクトル制御法について理解する。また、計算機実験ツールを使用して計算機実験を実施する。計算機実験はノートパソコンを用いるため、ノートパソコンを持参できることが望ましい。この科目は学習単位のため、事前事後学習としてレポート課題を実施する。
注意点:
・電気回路、電磁気学、電気機器学、古典制御理論の基礎を理解しておくこと。授業中においても計算が必要になる。電卓を準備しておくことが必要。授業の予習・復習及び演習については自学自習により取り組み学修すること。
・授業に欠席した際は担当教員と連絡を取り、伝達事項等がないか必ず確認すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 各種電動機の構造と原理 直流電動機、直流ブラシレス電動機の概要、モータ制御の概略について理解する。
2週 直流電動機の等価回路 直流電動機の等価回路からブロック図を理解する。
3週 直流電動機の制御法(1) 直流電動機を例にフィードフォワード制御とフィードバック制御の概念を理解する。
4週 直流電動機の制御法(2) 直流電動機を例に電流制御器の設計法を理解する。
5週 直流ブラシレス電動機の等価回路とトルクの関係 直流ブラシレス電動機の等価回路を理解し,電圧,磁束の位相とトルクの関係を理解する。
6週 直流ブラシレス電動機の制御法(1) ベクトル制御の概念を理解した上で3相2相変換について理解する。
7週 直流ブラシレス電動機の制御法(2) dq変換について理解する。
8週 直流ブラシレス電動機の制御法(3) 非干渉制御について理解し,電流制御器,速度制御器の設計法を理解する。
2ndQ
9週 直流ブラシレス電動機に対する回路シミュレータを用いたシミュレーション(1) 計算機実験ツールの使用方法について理解する。速度指令のブロックを作成する。
10週 直流ブラシレス電動機に対する回路シミュレータを用いたシミュレーション(2) モータ仕様,駆動仕様を与え,制御器を設計する。
11週 直流ブラシレス電動機に対する回路シミュレータを用いたシミュレーション(3) 製作した制御器に対して応答性を確かめる。
12週 直流ブラシレス電動機に対する回路シミュレータを用いたシミュレーション(4) 製作したモータ制御システムに対して動作特性を確かめる。
13週 3相PWMインバータの実装構成 3相PWMインバータの実装構成や電圧利用率について理解する。
14週 3相PWMインバータと電動機を使用した応用例の紹介 3相PWMインバータと電動機を使用した応用例について理解する。
15週 全体の総まとめ 授業全体について総まとめを実施し,最新技術を鑑みながら今後の展開を考える。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電力三相交流における電圧・電流(相電圧、線間電圧、線電流)を説明できる。3
直流機の原理と構造を説明できる。3
誘導機の原理と構造を説明できる。3
同期機の原理と構造を説明できる。3
半導体電力変換装置の原理と働きについて説明できる。3

評価割合

レポート発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力400000040
専門的能力500000050
分野横断的能力100000010